色を科学する その⑫ どうして色が見えないのか?
どうして色が見えるのか?と銘打って、色覚の仕組みを解説するコンテンツはいろいろありますが、逆を考えてみました。
我々の目の網膜には、色覚を担う3種類の光受容細胞(センサー)があります。主に長波長に感度ピークを持つL錐体、中波長にピークを持つ、M錐体、短波長にピークを持つS錐体です(色を科学する その⑨ 色覚の多様性が色彩学の難題を解くカギ<後編>)。
このうち1種類が欠損していたり、(マジョリティと比較して)感度やピークずれがあると、色の見え方が変わったり、特定のペアの色同士が見分けにくくなったりします。
また、2種類が欠損する、つまり、1種類しかないと、明るさのみで色を感じ取れなくなります。
これってなぜなんでしょう?
1種類だけだと、どうして色が見えないのでしょう?
センサーが1種類だけだと どうなる?
下図のような単純化された感度を持つセンサー(錐体)Mを考え、このMの種類しか網膜にないと仮定します。また、入射する光も単純化のため単色光とします。
このセンサーMに、「400nmでその量が100の光」と「550nmでその量が25の光」が入ってくると、センサーからの出力は両方とも25となります。波長の情報はありません、明るさ25という情報のみです。
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