歯科医が答える「国民皆歯科健診義務化」義務にする意味はあるのか?
6月7日に政府が発表した「歯科検診義務化」。
様々なメディアで取り上げられましたが、いろいろな声があります。
インターネット上の書き込みをまとめてみました。
「歯が大切なのは分かるが、なぜ義務化なのか?」
「国民にとってもそれなりの負担増になる」
「生涯医療費がどれくらい削減されるのか伝えなければ理解は得られないのでは?」
なぜ義務化するほどまでに歯科健診が大切なことなのか?
歯科健診により生涯医療費はどのくらい削減されるのか?
名古屋で歯科医をしている私が、詳しく説明します!
1. 「国民皆歯科健診義務化」には意味がある
いま、こどもは定期検診が義務つけられているのですが、大人も年に一回の歯科診断を義務にしようというのが「国民皆歯科健診義務化」です。
歯や歯並びが悪い人は、そうでない人より不健康になる確率が高いです。
私は患者さんに説明するときに、わかりやすく具体的にお話するようにしています。
すこし汚い話になってしまいますが、口の中の菌は排泄物の菌よりも多いです。
口の中には、約400~700種類の細菌が住んでいます。
人は毎日食べ物を食べるときに、菌を一緒に飲み込んでいます。
歯のメンテナンスを行ない、口の中を清潔にしておけばよいのですが、ケアを怠っている場合はどうなるのか。
口から菌が入ってきて全身に影響を及ぼし、病気にかかりやすくなってしまいます。
参考:日本臨床歯周病学会「歯周病とは?」(https://www.jacp.net/perio/about/)
2. 医療費はどのくらい削減されるのか
「歯が大切なのは分かったが、なぜ義務化なのか?」
「医療費はどのくらい削減されるの?」
いま生涯医療費は平均2,700万円ほどといわれています(2015年度厚生労働省)。
厚生労働省によると、生涯医療費の約半分は70歳以上、国は高齢者の医療費を減らしたいというねらいがあります。
トヨタ関連部品健康保険組合の調査によると、定期的に歯科健診を受けている人は、65歳で年間15万円も医療費が安く済んでいます。
年齢が上がるほどに年間医療費はさらに下がっていきます。
定期検診で虫歯チェックや歯石取りなどのメンテナンスを受けることにより、医療費はかなり削減されますね。
3. 国民の利益になる
歯科健診義務化が国民の利益になることは事実です。
歯科健診が義務化されることにより、健康な人が増えていきます。
さらに、生涯医療費は大幅に削減されます。
個人にとっても国にとってもメリットが大きいです。
全身の健康には口から。
私にできることは、すこしでも多くの人がいつまでも健康でいてもらえるように歯科医として尽力することです。
【お願い】
何か歯についての素朴な疑問がありましたら、ぜひコメントから教えてください。
名古屋をはじめとする東海地方にお住まいの方ならご存知、東海テレビに専門家として出演したこともあります。
悩みからふと思ったことまで、私のわかる範囲内でお答えします。
質問をお待ちしています!
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