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「平成ミドル・マネジメント覚書」#22 : 体験的事業開発論③

.メンバーに期待される能力
①   セレンディピティを呼び寄せる「行動力」
・すぐやる。クイック・レスポンス。どこにでも行く。セレンディピティの快感は、経験者にしか分からない。
 
②   自分と異なる他者をリスペクトしつつ、共通点を見い出す「共感力」
・同情とか同一化とは違い、違いを認めつつ共通点を探る力が重要。異文化コミュニケーション力。
 
③   「内省力」
・個々の事象からその背後にある構造を読み解く力。細部に宿る神を発見する力。現場と全体戦略の往復運動を可能にする。現実にワークするビジネスモデルの構築に不可欠。
・もうひとつ、自分の取組を謙虚に反省し、次の一手を考えるとともに、自己変革を進めていく力。
 
④   逆境に耐えるメンタルの力。困難な状況すら楽しむことができる「前向き転換力」
・もっとも重要。
・周りで賛成してくれる人がいないところからスタート。ひとりではいい知恵も出ないので、みんなの力を借りて進める。アイデアを紙に落として、いろいろなひとに叩かれ、上司・幹部に怒られながら前に進めるほかない。意思決定のプロセスでは、現実を知らない幹部がそれぞれの立場から一貫性のない指摘をし、何度も手戻り。その度に、味方をしてくれたひとたちに謝ってやり直し。
・企画が軌道にのってメディアに出れば、「最初からこれはいいと思っていた」と態度を変えるひとや「聞いていない」と寝てしまうひと、陰で足を引っ張るひと。現場の社員は「何を浮かれたことを」と反発。
・うまくいかなくなると、さっとひとがいなくなる。当たり前だが、つらい状況。
・これらを乗り越えるためには、「最終的には何とかなる」という自分に対する自信が必要。これを支えるのは、困難を乗り越えた成功体験。
 
4.事業開発あるある
○「正確なデータ」
・経営企画部門等から意思決定のための「正確なデータ」を求められることがある。言わせてもらえば、正確なデータがとれるような分野は、すでにレッド・ゾーンである。
 
5.事業開発の成果
○事業開発は人材開発
・巨大組織での事業開発は、「新たな収益の柱の確立」を目指して進められることが多いが、ここにたどり着くことは難しい。結局、形にできる成果は人材開発となるが、社内外での連携・交渉を通じて一皮剝けた人材は、巨大組織の枠組みに収まらないことが多い。このような人材は、外に活躍の場を求めることになる。したがって、巨大組織での事業開発の目に見える成果は、残念なことに「転職した人数」となる。
・こうした人材を「鮭の稚魚」と見るか「裏切り者」と見るかは、巨大組織の度量次第である。


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