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【英語】ビジネス英語を攻略した僕の人体実験㉔ 『英語でやると意外と難しい仕事』

シンガポールの高層マンション。窓の外には、スコール上がりの熱帯植物たちが、水滴をびっしりと纏い、まるで深呼吸をするように生い茂っている。僕は冷えたアイスコーヒーを傾けながら、遠い故郷、日本に思いを馳せていた。湿気を帯びた熱帯の夜。エアコンの効いた部屋で、僕は遠い故郷の乾いた風を思い出す。そんな時、いつも思うのだ。英語は、僕にとって、ほろ苦いイタリアンローストのコーヒーのようなものだと。

シンガポールでの生活は、まるで英語という大海原を航海するようなものだ。多様な文化が織りなすこの街では、英語が共通語。流暢な英語を話す同僚たち、英語での会議、そして、英語での採用面接。とりわけ、面接官としての仕事は、僕を未知なる航海へと誘う。

僕はアジア太平洋地域のエンジニア部門の責任者として、様々な国籍の優秀なエンジニアたちと働いている。彼ら彼女らは、皆、僕が面接を通じて採用してきた。僕が自慢できるのは、僕が採用した全てのメンバーは僕より遥かに優秀であるということだ。

面接は、僕にとっていつもスリリングな冒険だ。完璧な英語で自己PRをする候補者、独特のアクセントで話す候補者。僕は、彼らの言葉の波に乗り、その奥底に眠る真珠を見つけ出さなければならない。それは、まるで、リトル・インディアの雑踏の中で、お気に入りのスパイスを探すようなものだ。緊張する僕とは対照的に、候補者たちは自信に満ち溢れている。彼らの流暢な英語を聞きながら、僕は自分の未熟な英語を噛み締めることが何度もあった。

それでも、僕は諦めなかった。毎晩、オンライン英会話で発音を練習し、英語のニュースを読み漁り、同僚との会話からスラングを吸収した。そして、面接の前の晩には、きまって「面接の時に質問されそうな想定質問」を考え、僕なりの回答を作っていた。僕は面接官なのに、応募した候補者のような気持ちになっていたのは、今でも懐かしい思い出だ。

シンガポールの街は、僕にとって最高の英語学校だった。ホーカーセンターでの注文、タクシーの運転手との会話、MRTでのアナウンス。すべてが、僕の英語学習のテキストとなった。そして、いつしか、たどたどしかった僕の英語も、少しずつスムーズになっていった。それは、まるで、シンガポールの街にゆっくりと溶け込んでいくような感覚だった。

ある日のこと、僕は一人の候補者を面接していた。彼はシンガポール出身のシニアなエンジニアで、当時の勤務先では、僕と同じようにアジア太平洋地域の取締役をしている方だった。シングリッシュと呼ばれる独特の英語を話していた。「Can lah, no problem one.」彼の言葉は、僕にとって新鮮な驚きだった。完璧な英語だけが評価されるわけではない。彼の言葉には、シンガポールという街のエネルギーと、彼自身の個性が詰まっていた。僕は、彼の情熱を感じ、彼を採用することに決めた。彼はその後、僕のチームで素晴らしい活躍を見せてくれた。彼の採用は、僕にとって大きな自信となった。多様な文化を受け入れること、それがシンガポールの強さであり、僕のチームの強さでもあるのだと、僕は確信した。

面接は、単なる質疑応答ではない。それは、候補者の人間性、能力、そして情熱を探る旅だ。僕は、彼らの言葉の波に乗り、彼らの心の島へとたどり着かなければならない。それは、まるで、シンガポールの多様な文化が織りなす複雑な迷路を進むようなものだ。時には、嵐のような質問が僕を襲うこともある。特に、給与や待遇に関する質問は、いつも僕を悩ませる。そんな時は、僕は、シンガポールの街並みを思い浮かべる。高層ビル群、歴史的な建造物、そして、多様な人々。この街のように、僕も柔軟に対応しなければならない。

面接官としての仕事は、採用面接だけではない。そもそも採用枠を社内で交渉して勝ち取るところから始まり、募集要項を英語で書き上げ、広告する必要がある。それは、まるで、シンガポールのマーライオンのように、世界中に向けてアピールするようなものだ。そして、応募してきた世界各国の候補者の中から、募集しているポジションに求める条件を満たす経歴を持つ方を見つけ出し、彼ら彼女らの面接をする。それは、まるで、多種多様な料理が並ぶホーカーセンターで、自分の好みに合う一皿を選ぶようなものだ。

面接はもちろんあらかじめ用意している質問内容について聞くだけでなく、候補者の話す内容をメモに取りながら、最後は英語の面接レポートを作成しなければならない。それは、まるで、シンガポールの熱帯雨林を探検し、その多様な生態系を記録するようなものだ。同時に、「全部できます」と言ってくる自信満々の候補者が本当に全部要件を満たすような知識や経験があるのか深堀りし、本当の実力を測らなければならないという採用面接をする上で最も重要なミッションも達成しなければならない。シンガポールへ入国する時のチャンギ空港での入国審査のように、厳しくも公平な目で候補者を見極めるのと似ているのかもしれない。

そして、面接の最後の質疑応答の時間では、正直、どんな角度で質問が飛んでくるのかがわからない。中には、その日の面接の採点結果速報をその場で尋ねてくる方もいるので、的外れではない簡潔な回答を即席英語で説明しなければならないのだ。シンガポールのF1ナイトレースで、突然のトラブルに対応するメカニックのようなスピードとテクニックが求められる重要任務なのだ。この時間だけは、いつも僕は採用面接担当ではなく候補者のような気持ちになり、気合を入れて僕なりの考えを伝えたり情報を提供するようにしている。

僕は今働いているG社で数え切れないほどの面接を経て、少しずつ成長してきた。英語でのコミュニケーション能力はもちろん、人を見る目も養われた。多様な文化背景を持つ候補者たちと接することで、僕は自分の視野を広げることができた。そして何より、面接という航海を通じて、僕は多くの人々と出会い、彼らの物語に触れることができた。それは、僕にとってかけがえのない宝物だ。

日本人の僕が、シンガポールで、英語という大海原を航海している。それは、時に困難を伴う旅だ。しかし、僕はこの航海を続けていく。なぜなら、この航海の先には、まだ見ぬ素晴らしい景色が広がっていることを知っているからだ。そして、いつか、僕もこの大海原を自由に航海できるようになりたい。それは、僕の小さな夢だ。

蒸し暑い熱帯の夜。遠くから聞こえてくるのは、モスクのアザーンと、中華街の喧騒が入り混じった、シンガポールならではの不思議な音色。僕は、窓の外を眺めながら、もう一杯大好きなアイスコーヒーに手を伸ばす。この街の熱気と、英語という大海原。それらは、僕を成長させてくれる。そして、いつか、僕もこの街の一部になれる日が来るだろう。そう信じている。

日本生まれ日本育ちの純粋な日本人である僕が、GAFAMの海外のポジションを視野にこの知識と経験を持っているというのは、ある意味で希少性が高く、恵まれていることなのだと思っている。海外でキャリアを形成するというのは、言語の壁だけでなく、乗り越えなければならないことがたくさんある。どんな質問がされるのかなどについてはもちろん話せないが、どんな準備をしておけばいいのかについては人それぞれの経験からたくさんアイデアを出すことができる。僕はそんな話を誰かとするのがたまらなく好きだし、これは本業を続ける中で偶然得た本業以外の趣味ともいえるのかもしれない。

シンガポールの高層マンション。窓の外には、希望の光が灯っている。僕は、冷えたアイスコーヒーを飲み干すと、再び英語という大海原へと漕ぎ出した。この航海はまだ続く。そして、僕はこの航海を通じて、さらに成長していくのだろう。それは、まるで、終わりなき冒険のようなものだ。そして、僕はこの冒険を楽しんでいる。

次回もまたテーマを決めずに僕が思いついたことを自由に書くことにする。英語は世界につながるどこでもドアを開けるためのカギだから、僕は僕が見た僕にとっての新しい世界を、これからもこのnoteに書き綴っていきたい、いまはそう思っている。

もしこのnoteに少しでも役に立つ情報が入っていたら、僕をフォローして今後のnoteも読んで応援してほしい。僕は、副業には一切興味がないので、これからもnoteに有料記事を書くことはないけれど、そのかわりに、これからもnoteを書き続ける勇気がもらえたら、このnoteも継続できると思う。

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