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【英語】ビジネス英語を攻略した僕の人体実験⑫ 『ビジネス英語と日常英語の違い』

シンガポールの高層マンション。窓の外には、スコール上がりの空に虹がかかっていた。まるで、誰かが僕を祝福しているかのように、あるいは、これから起こる珍事件を予感させるかのように。僕は、深い溜息をつきながら、冷えたコーヒーを一口飲んだ。この物語を語り始めるのも、もう何度目になるだろう。しかし、あの時の記憶は、昨日のことのように鮮やかに蘇ってくる。それは、僕の人生を大きく変えた、片道切符での海外異動の物語、そして、シンガポールでの日常生活で巻き起こる珍事件の数々だ。

これまで、僕は英語との向き合い方、海外で働く上で大切なこと、英語の伝え方、英語脳の育み方、海外出張での経験、英語の壁、海外現地採用のリスク、英語プレゼンのテクニックなど、様々なことを書き綴ってきた。今回は、ビジネス英語である程度コミュニケーションが取れるようになった僕が、今でも苦労している日常会話英語について、シンガポール生活で巻き起こる珍事件を紹介しながら振り返ってみたいと思う。

ある程度英語に慣れてくると、ビジネス英語はむしろ自分の日常業務内の話なので、これまでの経験の応用で対応できることが多い。しかし、日常生活はそうはいかない。穏やかな海で突然嵐に遭遇するように、日本ではまず起こらないような事件がどこからともなくやってきて、突然、巻き込まれるのだ。

僕のように家族を連れて海外移住をしているが家族が英語慣れしていない場合、すべての火の粉は僕に降りかかることになる。それは、まるで、たった一人で戦場に放り出されたような気分だ。しかし、海外移住をするなら覚悟も必要だ。僕は、そう自分に言い聞かせ、日々を過ごしていた。

僕には子供が複数名いるが、すべての子供達はインターナショナルスクールに通っている。シンガポールのインターナショナルスクールは、まるで、小さな地球儀のように、様々な国籍の生徒が集まっている。そこでは、様々な文化が交錯し、時に予想外の衝突が起こることもあった。

教員は、アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人など西洋人が多く、教室で使われる英語はネイティブそのものだ。子供たちは、日々、ネイティブの英語に触れ、自然と英語を身につけていく。まるで、英語のシャワーを浴びて、ぐんぐん成長していく植物のようだった。

しかし、生徒たちは、まるで、異なる惑星からやってきた宇宙人のように、文化の違いから、想像もしていないようなぶつかり合いが発生することも少なくない。

例えば、インド人は主張が強く、強引にでも思い通りにしようとする人もいる。まるで獲物を追う猛獣、あるいは、すべてをなぎ倒す嵐のようなイメージだ。アメリカ人やオーストラリア人は、英語力のハンディがないため、ある意味でずる賢く非ネイティブを追い込む人もいる。巧みな話術で相手を翻弄する詐欺師、あるいは、獲物を罠にかけるハンターのようなイメージだ。

物静かでありながらもマナーを重んじる日本人の家庭からすると、信じられないような自由奔放な生徒に物を壊され、それをクレームとしてあげても、先生も加害者の保護者も「子供のやることだからそれくらい仕方ないよね」というような反応をされることもあり、正直に言えばモヤモヤすることも少なくはない。まるで、壁に向かって話しかけているような、あるいは、砂漠で水を乞うような、無力感に襲われることも少なくはない。

僕は、感情的ではないものの、おかしいと思うものには理路整然とおかしいと主張をするようになった。それは、静かな水面に石を投げるように、あるいは、暗闇に光を灯すように、小さな波紋を起こす行為だった。もちろん、他人に迷惑をかけないことは最低限気をつけているので、モンスターペアレントにならない程度に主張は留めるようにしている。それでも、僕は、言わなければ絶対に伝わることはない、と言う経験を嫌と言うほど経験してきたので、自分の意見はしっかりと伝えるようにしている。

ひとつ、日常生活における英語の「リーディング+ライティング」の例を紹介しよう。

学校で何らかの問題が起こったり、家に帰ってきた子供が泣きながら何かを訴えかけてくる時、最初に行われるコミュニケーション方法は、担任の先生との英語でのメールのやり取りとなる。

そのようなメールが先生からやって来る場合も、こちらから送る場合も、どちらの場合も非常に長文の英語のメールを読んだり書いたりすることになる。終わりのない迷路をさまようような、あるいは、深い森の中で道を探すような、困難な作業だ。英語の辞書でよりふさわしい単語を探し、翻訳サイトを使い、何度も文章を書き直しては、ため息をつく。そんな日々が続くのだ。

自分でマネージできる仕事上のビジネス英語とは異なり、先生と保護者の間では、過剰に丁寧な表現を使うよう気をつけている。それは、僕が失敗することでネガティブな影響を受けるのが、僕ではなく、僕の大切な子どもたちであるからだ。

担任とのメールのやり取りでは、僕は感情を一切出さないように理路整然と起こった事象を説明し、こちらの主張や要望を、まるで、繊細なガラス細工を作るように、あるいは、美しい絵を描くように、丁寧に英語のメールで書き上げたる。先生から届くメールも、まるでテンプレートでも存在するかのような丁寧な表現で受け取ることになる。おそらく、保護者とのメールのやり取りで気をつけるべきことがしっかりと教育されているのであろう。

少なくとも、僕は、この担任とのやり取りを通じて、ビジネス英語でもつかえる丁寧な表現を多く学ぶことができた。

もうひとつ、「リスニング+スピーキング」についても僕の実体験に基づいて紹介する。

もう何年か前の話ではあるが、ある日の夕方、外出中の妻から電話がかかってきた。

「ハウスクリーニングの人から連絡が来たのだけどお風呂場の水道が壊れて水が止まらないらしい。本人も止めようがないから、その状態を私に報告だけして帰ろうとしているの。」

おいおい、正気か。本人の過失かどうかはさておき、水が吹き出ていて水没しかかっているお風呂場の洗面台を放置して、その場から逃げるように帰ろうとしているということか。問題が起きた時の責任回避と逃走、これは日常生活でよく起こることだが、万が一、部屋が水没して下層階に浸透したら、僕は一体何億円請求されるのかわからない。

急いで帰宅すると、水浸しのお風呂場と、まるで逃げるように帰ろうとするハウスクリーニングのスタッフの姿があった。彼女の態度は、火事現場から逃げ出す人々のように、あるいは、嵐から避難する動物たちのように、無責任で身勝手だった。僕の顔をみると、彼女はイライラ全開の状態で僕にこういった。

「掃除をするために水道をひねったらバキッって音がしてそこから水が吹き出して止まらなくなったの。私は悪くないわ。」

僕は今帰ってきたばかりで、特に彼女を一言も責めてはいないが、彼女からの第一声がこれだった。続けて、彼女はこんな事を言っていた。

「私は次のクリーニングの場所に行かなければならないのに、こんなところで足止めされて本当に災難だわ。」

彼女からすると、我が家がどうなろうが知ったことではない。そう思っているのがありありと分かる。僕はただ、せめて僕が帰るまで放水する水が床に浸水しないように洗面台で食い止めるなど、なにかその場でできることをしてほしかっただけだ。そもそも、連絡を受けてから僕が帰るまで15分も経っていない。

僕が帰宅すると言いたいことだけ言った彼女は、イライラを体現しながら僕の家を後にしていった。

僕は彼女にかまっている暇はないので、すぐに水道業者に電話で連絡をした。しかし、業者は、この緊急の状況を理解していないようだった。

「今日はもう忙しいから来週でいいかしら?」

まるで他人事のように答えた。それは、喉が渇いている人に水を飲ませないような、あるいは、助けを求める人に手を差し伸べないような、残酷な仕打ちだった。

僕は、状況の深刻さを説明し、なんとかその日のうちに修理に来てもらえるよう交渉した。まるで、最後の望みにかける賭博師のように、あるいは、絶体絶命の状況から脱出を試みる囚人のように、僕は必死だった。それは、まさに言葉の剣戟を繰り広げる決闘のようだった。

そして、ようやく水道業者が修理を終えた後、夜の8時頃、自宅のインターホンが鳴った。玄関を開けると、おそらく旦那さんと思われる男性を連れたハウスクリーニングのスタッフの女性が立っていた。彼女は、まるで、怒り狂う猛獣のように、あるいは、復讐に燃える魔女のように、僕に鍵を突き出し、「もうあなたの家のクリーニングは請け負わないから」と言った。

僕としては、今後二度と彼女にハウスクリーニングをお願いしようと思っていなかったので向こうからそう言ってくれて助かったわけだが、それにしてもものすごい逆ギレをされ、思わず笑ってしまった。それは、まるで、コメディ映画のワンシーンのような、あるいは、夢の中で見たような、滑稽な光景だった。

僕は彼女に依頼していたクリーニング時間内には既に帰宅をしていたので、そもそも彼女の次のアポイントメントには影響を与えていない。ただ、放水している状況を放置してその場から逃げ去ろうとしていたので15分ほど待たせただけなのだから。

彼女には彼女の言い分があるだろうし、僕は別にそれを否定するつもりはないが、それにしてもあの場で逃げられていたらそれはただの"早退"だ。クリーニングも終わっていないし、時間単価で払っているサービス料の責任を果たしてもいない。

僕の文章が読みやすいかどうかはさておき、日本語で書くのであれば、状況を説明したり、自分の意見を主張することは難しいとは思わないが、放水して浸水しかかっている緊迫する状況で、僕はこれを電話越しに英語で交渉しなければならないところに難しさを感じている。なぜなら僕は、「水道の元栓」「水道の蛇口のパッキン」「水が放水している」「床に水が溜まって浸水しそうだ」など、この状況で起こっていることを英語でなんて言うのか、今でも知らないからだ。

海外で生活をする、というのは聞こえはいいかもしれないが、現実にはこういう事件も起こるのだ。僕は、こういう予期しない事件が大好物なので、問題に遭遇した時、どうやってそれを攻略してやろうかというところにワクワクするが、平穏に生活したいし、言わなくても丁寧なサービスを受けたい人にとっては、きっと大きなストレスになることだろう。

日常会話で求められる英語を流暢に話すことは、異国の地でダンスを踊るような、あるいは、未知の楽器を演奏するような、難しい挑戦だ。しかし、僕は、これらの経験を通して、英語を学ぶことの楽しさを感じている。コミュニケーションの基本である言語を使えないというハンデを背負った時、僕はその状況とどのように戦うことができるのか。この無理ゲーと呼ばれそうな環境が僕にとっては心地よい。最も成長できると感じられるからだ。

僕はネタ集めのために生きているわけではないが、東南アジア特有なのか、海外生活をしていると、ネタは勝手に舞い込んでくるので飽きない。それは、まるで、人生という名の小説に、次々と新しい章が書き加えられていくようなものだ。

このnoteを書いている本日は、午後1時から3時まで、僕の住んでいるコンドミニアムは停電らしい。僕はそれを事前に知っていたので、本日は在宅勤務を諦め、重い腰を上げてオフィスに出勤することにした。そして、このnoteを書きながら、夕方、家に帰ったら何が起こっているのか、今から楽しみにしている。それは、まるで、次のページをめくるのが待ちきれない小説を読んでいるような、ワクワクする気持ちだ。

英語はコミュニケーションツールなので、完璧主義に陥らず、まずは積極的に使ってみることが大切だが、もし今回のnoteで取り上げたような日常会話の英語学習に行き詰まりを感じているなら、ぜひ、以下に僕のおすすめするサービスを紹介しておく。

さすがに「水道が故障して水が吹き出している場合の水道業者との修理交渉」のようなトピックはないが、口語表現で「問題解決」「議論」「状況分析」「交渉」などで使う英語を筋トレできるので、日常生活で求められるスピーキング能力の向上をサポートしてくれるだろう。

次回は、英語のオンライン会議や電話をしなければならないけど、リスニング力に自信がない人に向けて、僕がつかっている無料のツールをいくつか紹介しようと思う。英語はコミュニケーションツールなので、仮に自分ですべてを聞くことができなくても慣れるまではツールを駆使してやりくりすれば、目的は達成できる。学校のテストではないので、どんな方法であれ人に迷惑をかけずに目的を達成できればいいのだ。

もしこのnoteに少しでも役に立つ情報が入っていたら、僕をフォローして今後のnoteも読んで応援してほしい。僕は、副業には一切興味がないので、これからもnoteに有料記事を書くことはないけれど、そのかわりに、これからもnoteを書き続ける勇気がもらえたら、このnoteも継続できると思う。

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