【キャリア】採用面接を攻略した僕の人体実験③ 『採用面接の裏側を理解 part 1』
シンガポールの高層マンション。窓の外には、熱帯夜に浮かぶ月が、ビルの窓ガラスに反射して揺らめいている。僕は、冷えたアイスコーヒーを飲みながら、面接という名の戦場を生き抜くための知識を整理していた。
第2章 採用面接の本番に向けて
前回のnoteでは、面接を攻略するテクニックとして「ビッグマウス」と「ストーリーテリング」が強力な武器になることを話してきた。
しかし、それだけでは勝てないかもしれない。なぜなら、あなたはまだ、面接という舞台の登場人物たちの役割を理解していないからだ。
面接の流れ、やっていいこと、やってはいけないこと。これらを知らずに、面接官という名の獲物を射止めることはできない。さあ、一緒に見ていこう。
第1節 採用面接の登場人物
外資系企業や海外企業への応募方法は、大きく二つある。
一つは、企業の採用ページやLinkedInなどを見て応募する一般的な方法。もう一つは、ヘッドハンターやリクルーターから直接連絡が来る方法だ。
前者は、自分で自分を売り込む必要がある。しかし、後者の場合はどうだろう? 「ヘッドハンティングされた!」と舞い上がってしまうかもしれないが、よほどのエグゼクティブでもない限り、それは珍しいことではない。勘違いして面接に臨めば、失敗した時のショックは大きい。
そこで、面接に登場する3人のキーパーソンを紹介しよう。
ヘッドハンター
リクルーター
採用マネージャー(ハイアリングマネージャー)
ヘッドハンター
ヘッドハンターは、転職支援のプロだ。彼らは、あなたの転職活動を無料でサポートしてくれる。面接対策、履歴書の添削、企業との日程調整、さらには給与交渉まで、まるで家族のように親身になってくれる。
なぜ無料なのか? それは、彼らに報酬を支払うのは、企業だからだ。ヘッドハンターには、大きく分けて二つのタイプがいる。企業から依頼されたヘッドハンターと、人材紹介会社の転職エージェントだ。
前者は、企業から着手金と成功報酬を受け取る。成功報酬は、あなたの年収の50~60%にもなる。一方、転職エージェントは、成功報酬のみだ。報酬は、あなたの年収の30~40%程度だ。
つまり、彼らはあなたの年収が高いほど、多くの報酬を得る。だから、給与交渉にも熱心なのだ。
企業から依頼されたヘッドハンターは、ピンポイントで候補者を探す。彼らが推薦すれば、採用される可能性は高い。一方、転職エージェントは、データベースから条件に合う候補者を複数紹介する。採用される確率は、前者よりも低い。
あなたが業界の有名人でもない限り、ヘッドハンティングと言っても、後者である可能性が高い。だから、油断は禁物だ。
僕自身、面接官として、「御社から声をかけていただいたので来ました」と自信満々に語る準備不足の候補者を見てきた。結果は、言うまでもない。
リクルーター
リクルーターは、企業の人事部に所属する採用担当者だ。彼らは、担当するポジションに最適な人材を見つけ、期限内に採用することを目標としている。
彼らの目標は、「ヘッドカウントを埋める」ことだ。採用できなければ、彼らの評価に響く。だから、いい候補者を見つければ、是が非でも採用したいと思っている。
もし、あなたが魅力的な候補者なら、リクルーターはヘッドハンターのように親身になってサポートしてくれるだろう。
そして、たとえ不採用になっても、リクルーターとの関係はそこで終わりではない。彼らは、あなたのことを覚えていて、将来、別のポジションで推薦してくれるかもしれない。
僕自身、現在働いている企業のリクルーターとは、今でも良好な関係を築いている。あなたをサポートしてくれる人は、あなたの将来を良い方向に導いてくれる。面接でお世話になった人たちとは、ぜひ、良い関係を続けてほしい。
もしかしたら、彼らは「明日は我が社」の社員かもしれないのだから。
採用マネージャー(ハイアリングマネージャー)
採用マネージャーは、面接における最重要人物だ。彼らは、採用したい人数を申請し、承認された予算または人数分を採用する。
採用枠は、年度内に使わなければ消えてしまう。だから、採用マネージャーも、いい人材を早く採用したいと考えている。
また、チームメンバーが辞めた場合など、年度の途中で欠員が出ることがある。この場合も、彼らはできるだけ早く穴を埋めなければならない。
だから、一度不採用になった候補者に、再び声をかけることもある。彼らは、あなたの未来の上司になるかもしれない。だから、不採用になったからといって、SNSで悪口を書いたり、横柄な態度を取るのはやめよう。
ヘッドハンター、リクルーター、採用マネージャー。それぞれの立場や目的は違うが、あなたが魅力的な候補者なら、彼らは全員あなたの味方だ。面接という戦場で、できるだけ多くの味方を見つけることが、勝利への近道なのかもしれない。
第2節 面接前に必ず準備しておくこと
応募する会社について、あなたはどこまで知っているだろうか? 製品やサービス、市場でのポジションといった基本情報は当然として、過去の成長率、競合との違い、応募部署の規模、一緒に働く同僚の職種、そして、あなたに期待される役割。これらを事前に調べておくことで、あなたの経験やスキルを効果的にアピールするストーリーを作ることができる。
さらに、募集の背景や採用人数も知っておきたい。リクルーターや社内の知り合いに聞いてみるのもいいだろう。例えば、最後の1枠なのか、それともまだ多くの枠が空いているのか。それによって、あなたの心の余裕も変わってくるはずだ。
面接でリラックスして実力を発揮できるかどうかは、経験やスキルと同じくらい重要だ。
もう一つ、忘れてはいけないのが、面接官についての情報だ。気になる異性と楽しく会話をするには、相手のことを知っておく必要がある。面接官も同じだ。
面接官の過去の職歴まで調べる必要はないが、最近のニュースで何かポジティブな話題があれば、面接中にさりげなく触れてみるのもいいだろう。
面接が英語なら、YouTubeなどで面接官の話し方やアクセントをチェックしておくのも効果的だ。事前に慣れておけば、聞き返す回数を減らし、スムーズな会話を実現できる。
最後に、社員推薦で応募できないか、人脈を探ってみよう。一般応募よりも、社員推薦の方が、企業側の安心感は大きい。うまくいけば、推薦してくれた人が、面接官にあなたの良い点を伝えてくれるかもしれない。
可能であれば、推薦者と事前にざっくばらんに話しておこう。あなたの熱意を伝え、ストーリーに深みを持たせることができるはずだ。
面接という戦場では、情報こそが最大の武器だ。
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