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【キャリア】採用面接を攻略した僕の人体実験② 『採用面接を成功させる裏技』

シンガポールの高層マンション。窓の外には、熱帯の強い日差しを浴びて、色鮮やかな鳥たちが空を舞っている。僕は、冷えたアイスコーヒーを飲みながら、面接という名の戦場での戦略について考えを深めていた。

第1章 採用面接に効果的なテクニック


前回のnoteでは、面接は「選ばれる」のではなく「選ばせる」もの、そしてそれは恋愛ゲームのようなものだと話してきた。

では、具体的にどんな戦略で戦えばいいのか?その前に、一つ、戦場の様子を確認しておこう。君がこれから戦うことになる「外国人」と、一般的な「日本人」の違いだ。

例えば、こんなケースを考えてみよう。

例1)未経験でスキル不足だけど、英語はペラペラの外国人

「このポジションは、僕のキャリアを100%活かせる。この分野では名の知れた専門家で、経験も豊富だ。君たちは、僕を採用できて本当にラッキーだ。心配するな、僕が来たからには、ビジネスの成功は約束されたようなものだ。」

例2)数年ほどの類似経験があり、スキルは中程度。留学経験もある日本人

「ネイティブではありませんが、留学経験があるので英語も頑張ってきました。このポジションは、私のこれまでのキャリアが活かせると思い応募しました。足りない部分は努力で補いますので、ぜひチャンスをください。」

少し極端な例かもしれないが、君が戦うことになる外国人は、往々にしてこのように積極的だ。日本の奥ゆかしい文化で育った僕たちとは、大きく異なる。彼らは、積極的で、高いコミュニケーション能力を持っている。

僕たちが外資系企業や海外企業のポジションを勝ち取るためには、彼らと同じ土俵で戦わなければならない。もちろん、嘘はダメだ。しかし、多少の誇張や、魅力的に聞こえる表現を使うことは、大いにアリだ。

では、具体的にどうすればいいのか? ここでは、「ビッグマウス」と「ストーリーテリング」という二つの武器を紹介しよう。これらの武器をうまく使いこなせば、君は面接という戦場で、勝利を掴むことができるはずだ。さあ、一緒に見ていこう。

第1節 ビッグマウス

「ビッグマウス」と聞くと、中身のない大口叩きをイメージするかもしれない。しかし、使い方によっては、自己PRの強力なツールになる。もちろん、嘘はダメだ。だが、自分の経験を少しだけ魅力的に見せることは、決して悪いことではない。

例えば、新卒の面接でよく聞かれるこんな質問。

質問例:

「学生時代は、どんなアルバイトをしましたか?」

一般的な回答例:

「ファミレスのキッチンとコンビニでバイトをしていました。」

これは、質問への回答としては正しい。しかし、面接官の心を打つには、何かが足りない。

  • アルバイトを通して何を学んだのか?

  • その経験を、応募した仕事でどう活かせるのか?

これらが完全に抜け落ちているのだ。

こんな風に、ただ質問に答えるだけでは、他の候補者の中に埋もれてしまう。どんなアルバイトでも、何かしら得るものがあるはずだ。それを、ビッグマウスを使って、少しだけ魅力的に表現してみよう。

ビッグマウスな回答例:

「学生時代は、ファミリーレストランのコックと、コンビニのスタッフをしていました。

ファミレスでは、コックのセンター長を務めていました。次々と届くオーダーを瞬時に理解し、シェフたちに指示を出し、ホールスタッフの状況を見ながら料理を提供する。この経験を通して、ビジネスにも応用できるマルチタスク処理能力を身につけました。

コンビニでは、常連客一人ひとりを記憶し、彼らの好みや行動パターンを把握していました。例えば、毎朝同じ時間に来るお客さんがタバコを買うと分かれば、レジに並ぶのと同時にタバコを用意する。こうした工夫を通して、お客様の待ち時間を最小限に抑え、究極のホスピタリティを提供しました。その結果、顧客から信頼を得るために必要な対人スキルを、身をもって学ぶことができました。」

実際には、こんなことを考えながらアルバイトをしていた学生は少ないだろう。でも、表現方法を少し変えるだけで、印象は大きく変わる。

もう一つ、転職面接での例を見てみよう。

質問例:

「これまでで一番苦労した経験を教えてください。」

一般的な回答例:

「2017年にマレーシアを担当した時です。初めての国で、右も左も分からず苦労しました。目標達成率は20%に満たない、散々な結果でした。」

これも、質問には答えているが、面接官の心に響くかは微妙だ。

  • その苦労を、応募した仕事でどう活かせるのか?

  • 困難な状況を、どのように克服しようとしたのか?

これらが伝わってこない。

「マレーシア」というキーワードは面白いが、面接官の印象に残るのは、「マレーシアで失敗した人」というイメージだけかもしれない。

では、これもビッグマウスで表現してみよう。

ビッグマウスな回答例:

「2017年のマレーシアでの経験は、私のキャリアの中で最も大きな挑戦でした。シンガポールに来たばかりで、マレーシアは出張で数回行ったことがある程度。そんな中、組織変更と戦略転換があり、慣れない製品と技術でマレーシア市場を担当することになりました。言語、文化、製品、技術、すべてが一変する、まさに激動の時代でした。

経験不足は自覚していたので、現地のチームやパートナーをフル活用し、週末も返上して新しい知識を吸収しながら戦いました。最終的には、1年間で33回クアラルンプールに足を運び、スロースタートでしたが、ビジネスの立ち上げに成功することができました。」

どうだろう? 単なる失敗談が、成功物語へと変貌を遂げた。

事実を伝えることは大切だ。しかし、面接は自分を売り込む場だ。ネガティブな話も、ポジティブに変換して伝えることが重要なのだ。

第2節 ストーリーテリング

シンガポールの高層マンション。窓の外には、夕暮れ時の街並みが、まるで絵画のように広がっている。僕は、冷えたアイスコーヒーを片手に、面接における「ストーリーテリング」という武器について考えていた。

ストーリーテリングとは、ただ物語を語るだけではない。あなたの経験に、ビジネス的な意味を持たせることだ。

効果的なストーリーを作るには、いくつかのポイントがある。

  • 具体的な事例を含めること

  • しっかりとした流れがあること

  • 質問に合わせて、いくつかの異なるストーリーを用意しておくこと

5つくらいのストーリーがあれば十分だろう。ただし、一つの質問に一つのストーリーを機械的に当てはめるのではなく、状況に応じて柔軟にアレンジできるようにしておくことが重要だ。

なぜストーリーテリングが効果的なのか? 脳科学の専門家ではないので断言はできないが、調べてみたところ、「ストーリーテリングは相手の心に響きやすい」ということが分かった。

では、効果的なストーリーを作るにはどうすればいいか? 僕の経験から、**「状況」「目的」「行動」「結果」**を含めることを意識してみてほしい。

  • 状況: 「いつ、どこで、何が起こり、誰がいたのか」など、状況を具体的に説明する。

  • 目的: 「その状況下で、あなたは何をしなければならなかったのか、または、あなたに何が期待されていたのか」を明確にする。

  • 行動: 「あなたは、どんなステップを踏んで、何を実行したのか」を具体的に説明する。

  • 結果: 「最終的に何が起こったのか、それは成功か失敗か、そしてそこから何を学び、今後どう活かすのか」を伝える。

例えば、こんなストーリーを考えてみよう。

ドラゴンクエストⅣ 第Ⅰ章 王宮の戦士たち - ライアンの場合

  1. 状況: 主人公の少年が幼い頃、バトランド城付近で子供が失踪する事件が発生。王命を受け、事件解決に向かうライアンは、スライムのホイミンと仲間になる。

  2. 目的: 情報収集のためイムル村を訪れたライアンは、モンスターの影響で子供返りしたアレクスを正気に戻し、子供たちがよく行く古井戸の情報を得る。

  3. 行動: 古井戸の底で空飛ぶ靴を手に入れ、湖の塔へ。そこで、事件の黒幕ピサロの手下と対決し、ピサロの真の目的を突き止める。

  4. 結果: ピサロの手下を倒し、子供たちを救出。ライアンは王に「子供である主人公を見つけ出し、守りたい」と伝え、ホイミンと共に旅立つ。

ビジネスの視点で見ると、ライアンはこんな点で優れていると言える。

  • 王からの絶大な信頼を得ている

  • 誰からも好かれ、多くの人を巻き込みながら、ここ一番で結果を出すことができる

  • 目先の目標達成だけでなく、真の問題を発見し、抜本的な解決に挑むチャレンジ精神を持っている

ドラクエをプレイしたことがなくても、ライアンに好印象を持ったのではないだろうか? これが、ストーリーテリングの効果だ。

では、練習問題として、失敗例と成功例を見てみよう。

失敗例:

  • 質問: 困難な状況に対処した時のことをお話ください。

  • 回答: お客様から提案の機会を頂いた時に、提案書がうまくまとまらず期限に間に合いませんでした。チームメンバーの力を借りて可能な限り遅れを補うことで対応しました。結果として、提案内容をお客様に受け入れていただくことができ、チームとして大きな目的を果たすことができました。

ダメな理由: 具体的な情報が少なく、曖昧で中身がない。「どんな提案内容だったのか?」など、追加質問をされてしまう可能性が高い。焦ってしまい、要点が伝わらなくなるかもしれない。

改善方法: 「状況」「目的」「行動」「結果」を具体的に盛り込んだストーリーを作ること。

成功例:

  • 質問: 同僚や上司など関係者を説得する必要があったときの経験を教えて下さい。

  • 回答: コロナ禍が始まったばかりの頃、リモートワークのソリューションを提案していた時のことです。あるお客様との商談で、デジタルトランスフォーメーションを支援する機会をいただきました。

    1. 状況: 提案書提出前に、お客様の課題を解決するためのデジタルトランスフォーメーションの目的を定義する必要がありました。営業担当は、同業他社の提案資料を再利用して効率的に提案したいと考えていましたが、私はお客様ごとに課題は異なるため、それでは納得感が得られないと考えました。お客様は建設業で、タブレットやクラウドサービスの活用は進んでいましたが、FAXによる紙業務が残っているという課題を抱えていました。私は、この紙業務の効率化に目を向けました。

    2. 目的: 上司や同僚を説得し、お客様の課題解決に繋がる提案をすること。

    3. 行動: FAX利用の課題として、以下の3点を挙げました。

      1. 外出先や在宅勤務からの確認ができない。

      2. 紙の原本は紛失しやすく、重要な情報でも見落とされることがある。

      3. 紙媒体は情報漏洩のリスクが高い。

    4. お客様との打ち合わせで得た情報を基に、自社ソリューションから提案できるものを整理し、これらの課題をまとめました。また、日本ネットワークセキュリティ協会の調査報告書などを引用し、「情報漏洩原因の75%は紙媒体」という客観的なデータも提示しました。「デジタルトランスフォーメーション」という言葉は定義が曖昧なので、具体的なソリューションに焦点を当て、誰しもが納得できる内容にしました。

    5. 結果: 提案したソリューションは、FAXデータを自動でPDF化し、クラウド上にセキュアに保存するというシンプルなものでしたが、以下のメリットが評価され、採用に至りました。

      • FAX確認のための移動が不要になる利便性

      • アクセス権制御による情報漏洩リスクの低減

      • 紛失によるビジネス機会損失の低減

    6. 後日、この事例は社内でも注目され、公式ウェブサイトに掲載、さらに英訳されてグローバルにも発信されました。お客様にも何度かイベントに登壇いただき、良好な関係を築くことができました。

    7. この経験を通して、営業とは売りたいものを売るのではなく、お客様が必要とするものを選んでもらうことだと再認識しました。この学びは、今でも私の活動の軸となっています。

どうだろう? ストーリーテリングを使えば、あなたの経験が、面接官の心に深く刻まれるのではないだろうか。

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