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東野圭吾のマスカレードシリーズを読んでカスハラを思う
東野圭吾のミステリー小説、マスカレード・ナイトを読みました。
マスカレード・シリーズのうち、前から3作は読んでいます。
・マスカレード・ホテル(2011)
・マスカレード・イブ(2014)
・マスカレード・ナイト(2017)
・マスカレード・ゲーム(2022)
このシリーズは、木村拓哉、長澤まさみ主演で映画化もされています。
『マスカレード・ホテル』2019映画化
『マスカレード・ナイト』 2021年映画化
映画は、1作目の「マスカレード・ホテル」は見ました。
ホテルで殺人が起こる予告があって、刑事がホテルマンに扮して潜入捜査をするのだけど、敏腕の女性ホテルスタッフにビシバシ鍛えられ、最初はいがみ合いながらも、協力して事件に立ち向かうというのが大筋。
ちなみに、「マスカレード」とは仮面舞踏会の意味で、ホテルに来る客はみんな仮面をかぶっているようなもの、という意味から付けられています。
作中の一流ホテルの名称は、「ホテル・コルテシア東京」です。
原作を読んだのが先だったので、実写化するとこうなるのか、と興味深く見ることができました。
映画自体も、原作にかなり忠実に作られていて、ストーリーを知っていても結構面白かったです。
おっと、今回は書評や映画評じゃなくて。
この小説を読んでいて気になった点を書きます。
「お客様がルール」なのか?
一流ホテルという設定なので、利用客に対するサービス、おもてなし精神が過剰です。
ホテルマンは、決して「無理」と言ってはいけない、という掟(?)があるようで、できる限りお客様の要望をかなえる、どうしても不可能な場合は必ず代替案を示して満足いただく、というのがこのホテルの方針だそうです。
「ルールはない。ルールを決めるのはお客様」のような発言もありますが、おそらくこういう日本の過剰なサービス精神が、モンスターカスタマーを生み出してきたのだろうな、という視点で見ることができました。
ごく一部のトンデモ客の無理難題に、「オイオイ、どんだけ振り回されとるんや」と苦々しく見ることができます😅
フィクションであり、演出であるのは分かっていながら、今の時代ならこのストーリーは厳しいかもな、と思ったりもしました。
まあ、映画もそんなに昔の話じゃないけど。
1作目の「マスカレード・ホテル」が発行されたのが2011年です。
有名な「しまむら土下座事件」は2013年のこと。
2010年代の前半頃から、「モンスターカスタマー」という存在がクローズアップされるようになります。
この頃から、最近の10年ほどで、「モンスターカスタマー」「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉が浸透して、「お客様は神様」神話はかなり崩れたと思います。
理不尽な要求をしたり、他の客に迷惑をかける迷惑客は客ではない、という風潮が広がりつつありますね。
2023年12月には、ついに改正旅館業法が施行されることによって迷惑客の宿泊拒否ができるようになりました。
だからといって、どれだけ効果があるかは分かりませんが。
実際に、ホテルに理不尽な無理難題を言う客が少なくないのかもしれません。
小説や映画はあくまでフィクションと割り切って、無茶な客の要望に、ホテル側がどのように対応するか、というのも見所のひとつ。
深く考えずに観るのが正解なのでしょうね。