いしおかはじめ

意匠及び商標を専門とする弁理士(事務所勤務)です。実務に有用と思われる(特に、弁理士試験と実務のギャップを埋められるような)情報等を、まずは商標を中心にまとめていきたいと思います。

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意匠及び商標を専門とする弁理士(事務所勤務)です。実務に有用と思われる(特に、弁理士試験と実務のギャップを埋められるような)情報等を、まずは商標を中心にまとめていきたいと思います。

最近の記事

「読み」「書き」練習としての論文執筆

概要以下のnoteで、「商標実務の基本スキル」として「読み」、「書き」及び「そろばん」を挙げた。 筆者は、実務と並行して、1.5万~3万字程度の論文を執筆し、公表してきた。そのようなまとまった分量の文章を書くことは、これらのうち特に「読み」及び「書き」のスキル向上に資すると思われる。以下、筆者がどのようなことを考えながら執筆しているか、個人的な経験について述べる。 執筆の効用相応の分量の論文を執筆しようと思うと、相応の数の裁判例、書籍、論文を読まなければならない。読む前

    • 「法域」の語の使われ方

      概要以前のnoteで、「弁理士試験の受験業界にはある種の『方言』があるように見受けられる。」と述べた。その一例として、標題の「法域」の語の使われ方が挙げられると思う。 弁理士業界での「法域」の使われ方たとえば、大手予備校のウェブサイト内には、次のような記述が見られる。 弁理士試験で問われるのは、条約を除けば国内法であるから、この場合の「法域」は、「特許法」、「実用新案法」、「意匠法」、「商標法」などの各法律を指していると理解される。 実務でも、そのような意味合いで「法域

      • 統計情報

        概要本稿では、日本の商標実務に関する統計情報で、実務上、重要と思われ、また、筆者が頻繁に参照するものを紹介する。 筆者はかつて、統計情報が実務の何の役に立つのか、と思っていたことがある。書籍等で、冒頭に統計に言及があったりしても、読み飛ばしたりしていた。しかしながら、現在は、次のように考えるに至っている。 統計情報は、一般には、業界全体の動向(商標実務の場合、出願数など)を知るなどの目的で参照されることが多いと思われる。たしかにそれはそれで重要なのだが、より実務に即効性の

        • 商標法等の重要な改正【2024/4/10追記あり】

          概要弁理士試験では、その試験日時点での現行法令の知識が問われる。弁理士登録をすれば、それ以降の法改正等については、研修でキャッチアップでき(させられ)る。他方で、実務では、過去の法令の知識が必要となる場面が多々ある。にもかかわらず、過去の法令について教わる機会は多くないと思われる。 商標実務上、典型的には、更新業務で過去の登録を見ることが多い。その内容について依頼者から問合せを受けた際、過去の法令を知らなければ正確に回答できないことも多い。また、事件を検討する際には、いつの

          商標実務の基本スキル

          概要本投稿では、これから弁理士として商標実務に就く者及び商標実務を始めたての者にまずは読んでおいてほしいもの、という観点から、書籍及び資料を紹介する。 はじめに大島義則弁護士は、「法律実務の基本スキル」なるものが何なのかということ自体、論争的であると述べられている(大島義則「法律実務の基本スキル(法律実務書MAP)」けいそうビブリオフィル(2016年9月20日)(https://keisobiblio.com/2016/09/20/ls_map02/))。このことは「商標実

          商標実務の基本スキル