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【いちごる読書note】「ものの見方」について~『まなざしのデザイン』より~

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』ハナムラチカヒロ著

※読書noteはあくまで現時点でイチゴルが感じたこと・考えたことを自分のために残すもので、多くの方にとっては興味のないものかもしれない。この本がどんな本かは、「ココロに残ったフレーズ集」から推察いただき、興味を引くものであれば是非本書を手に取っていただきたい。


本書との出会いは、僕が出会いたい本に出会うために活用しているいくつかの情報ソースの1つであるY2Kさんのnoteにて知ることとなった。(正確に言うと下記のnoteで引用されていたnoteで姉妹本?の『まなざしの革命』をきっかけに本書を知ることとなった)

随分と前に紹介されていて、いつか読もうかと思っていたところ、このタイミングになったのは、次のような経緯。

《本書を読むことになった経緯》
自分自身が副業を通じて得た「ものの見方」が、実は独特で、それでいて、この「ものの見方を獲得出来た方法」を形式知化して伝えることが出来るようになれば、もしかしたら人の役に立つのではないか?という想いを、今年に入って抱くようになっていた。

そんな中、読みたい本リストを眺めていたところ、この『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』という、いかにもそれに関連していそうな本に目が留まり、読むこととなった。

世間では今も昔も、よく「ものの見方を変える重要性」が叫ばれてきているように思う。

  • そもそも、なぜ「ものの見方」を変える必要性があるのか。

  • 「ものの見方」とは、どのようなことを言うか。

  • 「ものの見方」を変えるには、はどのようにしたらよいか。

という点を、筆者の専門である「ランドスケープアーキテクト(風景をデザインするイメージの仕事)」の事例や、筆者が実際に主催してきたワークショップでのエピソードなどを交えながら説明している。

さらに、これらに関連して、本書は僕の想像を超える哲学的(?)領域まで踏み込んだ内容であったことは、嬉しい誤算だった。

御多分に漏れず僕が読むと付箋がビラビラに貼り付けられたこの本は、繰り返し読むことになるのだろうから、今回は現時点で2点ほど特に印象的だったことと、その他ココロに残ったフレーズを書き留めておこう。


1.コミュニケーションの難しさ

『弓と禅』に関するいちごる読書note(☞LINK)にて、「本を読むということはどういうことか」という点に関して、「実は案外それは難しいことなのではないか」ということを記載したが、それをより発展させた「コミュニケーションの難しさ」について本書では、以下の通り記載されていた。

コミュニケーションは、単なる言葉のやりとりや意味内容の正確な伝達だけではない。それは言葉にできないような印象や感覚も含んでいる。というよりもこの印象や感覚によって、意味や内容は大きく左右されるのである。
 言葉は意味や定義が一応は定められている。だから言葉のうえではそれが共有されているように見えるかもしれない。しかし言葉で共有されているように見えるからこそ、逆にそれぞれの想像の違いが見えなくなっている。意味が分かっていると思い込んでいるほど、実は私たちは自分の想像の枠の中で物事を見ているのである。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p192-193

なるほど、読書はいわば活字を通じたコミュニケーションであり、自分のペースで情報を摂取できるこの方法においてさえ、それが難しいのであれば、流れるように進む人と人との「口述の」コミュニケーションはなおさら難しいのだろうと、納得した。

同じ言葉を使っていても、その言葉を共にする方々のそれぞれに「ものの見方」があり、コミュニケーションが出来ている様で出来ていない、ということはありそうだ。

そうすると、より効果的なコミュニケーションを学ぶ上でも読書が有効であるとも考えられれ、読書の有用性を再発見するとともに、対面のコミュニケーションのあり方についても考えさせれられた。

2.人それぞれの好き嫌い≒価値観について

私たちは自分の好き嫌いを自分の意思で選択していると思いがちである。しかしなぜそれを選択するのかは、実は無意識の領域にあることがほとんどなのである。自分の肉体の外側に時間的・空間的に大きく広がった文化によって、私たちのまなざしはつくられている。だから私たちの心が何によって方向づけられているのかを知ることは非常に重要なのである。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p255

ここの部分は、僕自身がゴルフレッスンをしていく中で直面している問題点を端的に表している。例えば、ゴルフのスキル向上において、世の中には様々な言説があり、「考え方は人それぞれ」的な風潮がある(ちなみに、これはゴルフに限らず、モノゴト全般にいえることだ)。

だが、僕個人としては、その「様々ある考え方(ひいては価値観)」は、実は現代社会(というと大げさか?笑)のマジョリティを占める考え方・価値観(例えば、定量化して成果を測る、成長出来ない=努力不足など)に影響されたものが多いと感じる。さらには、その価値観に本来そぐわない人も、周りにそうした人が多いものだから、同様の価値観を植え付けられているように見える(スコア悪いと人に迷惑かけるから、練習しないとダメ、など)。

こうなると、ゴルフとの接し方に関する常識が、新規に参入する方のゴルフとの接し方に影響し、それを無自覚に受け入れている場合には、同じ価値観(例えば、「スコア100を切ることが大切」という価値基準など)の中で「考え方が様々」であるだけで、その考え方を「個人で選んだ」というよりは、「社会から植え付けられた」と言った方が近いように感じている。

したがって、「好き嫌いは個人の嗜好」であるとは限らず、それを好きだという理由(もしくは嫌いだという理由)を突き詰めれば、もっと他の考え方があるのではないか。それを知れたら、その新しい考え方の方が実は豊かな体験が出来るのではないか、と思えてならない。

その見方を変えられた時(自分なりにまなざしをデザイン出来た時)、世の中に新しい(もしくは見過ごされてきた)価値を提供できるのではないか。

3.ココロに残ったフレーズ集

見方の枠組みを限定したり指定することは、その枠の中でモノの見方を自由にすることでもある。そうなると見る人のイマジネーションが解放されるきっかけとなる。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p38

⇒これはイチゴル的にはゴルフレッスンの中でも採用している方法。言語化するとこうなるのか、という感じ。

 社会はそれぞれの時代において常識という名の壮大な想像を共有している。そうすることでうまく治められていると言う方が真実かもしれない。仕掛けの有無にかかわらず、人は勝手に幻想を共有するのである。それがうまくいっている時は問題がないように見える。しかし状況が変化し、その幻想がほころび始めているのに、未だにまなざしがその幻想に固定されたままであると問題は深刻化していく。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p61-62

⇒ものの見方を自由にデザインすることの重要性。

 人間は何かを眺めている時に、記憶や想像力を同時に働かせている。心の中で想像しているものと現実に見えている眺めが重ね合わさるのが、人間がもともと持っている習性なのだ。そしてそうした想像力は、その人が持っている「知識」や「情報」や「経験」によって強化される。
 例えば同じ山であっても、植物学者と動物学者と鉱物学者では違う意味を持っているだろう。この三人が同時に同じ山に入ったならば、多分まるで違うものに目を向けている。そしてそれぞれの中では違った風景が生まれているはずである。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p79

⇒上述したコミュニケーションの難しさの一因

これまでは意味や価値がないと思っていたものに新しい意味や価値を「見いだす」こと。その反対に、これまで意味や価値があると思っていたものを疑い、もう一度「見直す」こと。そうやって様々な意味や価値の移ろいを見つめながらモノの見方を深めていくことで、私たちの現実は豊かになっていく。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p204

⇒全く同感。

数字のゼロは、ゼロという存在を「ある」として発見することである。しかし「ない」ということはそのまま発見できない。それは人間の脳では不可能なのである。私たちの想像では「ない」という「存在」を認識できても、「非存在」を認識することはできない。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p295

⇒哲学的な領域になっていった箇所。まだ正直言って理解しきれていないから備忘として。

まなざしのデザインとは自分が見たいものへまなざしを向けることではない。自分の都合の良い空想にふけることでもない。その正反対に自分の都合を取り外すことである。そのためには見たいと思っていない私たち自身にまなざしを向けることが必要である。それは安易なことではない。見たいものしか見ようとしない私たちは、自らの醜い欲望へまなざしを向けたくはない。だから自分の見方を正当化して世界を間違っているとするのである。

『まなざしのデザイン-〈世界の見方〉を変える方法』
ハナムラチカヒロ著、p299

⇒「人は見たいと欲するものしか見ない」というカエサルの言葉が思い起こされる。

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その他、いちごる読書noteはこちらにリスト化してます。

繰り返し読みたい本リスト☞LINK

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