★ゴルフにまつわる数字や数値~スコアについて~
「物事の成果を図るには定量的に把握しなければならない」というスタンスは、ビジネス界をはじめ、多くの分野で主流派である。
この考え方を仮に「測定指標重視」の考え方としよう。
どうやらこれは、あまりに常識的な発想なために、「本当はその測り方でいいの?」という局面でもそれを数値化し比較することが良し、とされている。
この点は、ゴルフレッスン業界(もしくはアベレージゴルファー界)もまたしかりである。ゴルフが大人の趣味として、多くの方を魅了している要素の一つとして、やはり「スコアが良くなっていくこと」を通じて、「成長を実感できる」というところにあるのではないだろうか。
もしくは、人によっては、「ただただ楽しみたい」からスタートしたものが、ベストスコアが出た時の喜びがあまりにも大きいために、いつの間にか「楽しむためにはスコアをよくする必要がある」という考え方に移行し、それが迷走の原因になっているのかもしれない。
「数値化」することは、ゴルファー同士を比較したり、もしくは1年前の自分と今の自分のゴルフスキルを比較する、一つの重要な指標であることは間違いない。
だけど、数値化をすると、数字自体が独り歩きし、それ以外のものが捨象されてしまう(切り捨てられてしまう)ことには注意が必要だ。
例えば、あるラウンドでスコア95の人(Aさん)と108の人(Bさん)は、どちらが上手か?という点で、「スコアが良い方が常に上手」という基準を用いるならば、Aさんが上手ということができるだろう。
だけど、そのスコアの内容を見た時に、
Aさんはドライバーが飛ぶときは280yd。だけどチョロもあり、OBもあり、セカンド以降も(ナイスショットしたいという本人の意図とは裏腹に)度々地を這うようなトップしたボールでなんとかグリーンに近づき、ボギーペースを維持。だが中には、+5となったホールもあった。
一方でBさんは、まだ練習が十分ではないドライバーは200yd弱しか飛ばないけれど、フェアウェイを大きく外すことはなく、チョロやテンプラなどの大きなミスはなし。
距離は短いが狭いホールではドライバーを使わずに確実にボールを前に進め、セカンド以降も基本はショートアイアンで100ydくらいをコツコツと(だけど基本的には及第点のナイスショット)で安定して+2前後を積みかさねたダボペースのボギー。
この二人のゴルフを数字ではなく、定性的にコトバで表現するなら、Bさんのゴルフは、「意図した結果を確実に積み重ねていくゴルフ」だといえるし、逆にAさんのようなゴルフは、「一か八かを狙ったゴルフ」といえる。
人によっては、Bさんのゴルフなんて面白みに欠ける、という人もいるだろうし、一か八かにかけて大きくベストスコアを更新できることがあるなら、そちらの方が楽しいと思う人もいるだろうから、これはその人のゴルフに対する向き合い方(価値観)次第なのだと思う。
だけど、イチゴルとして多少なりとも気がかりなのは、一か八か的なゴルフをする人は、本当にそれを望んで選択しているのだろうか、という点である。
なぜなら、Bさんのようなゴルフをする方は、本当に少数派で、だから、ゴルフはじめたての人が例えば残り150ydのセカンドを打つときに、周りにアドバイスを受けるとしたら、
もしもちゃんと当たればその距離が飛ぶクラブ(それは7アイアンかもしれないし、5アイアンかもしれない!)。
「○○さんは150ydは5アイアンの距離だよね。ハイ、5アイアン。」と。
何もわからない初心者は、こうして疑うことなく、一か八かのゴルフに巻き込まれていく。(そして人によっては、ゴロばかりのゴルフに楽しみを感じられなくなる)
イチゴルはスコアではなく、どのようなラウンドをすれば、「スコアにとらわれない楽しいゴルフ」が出来るかをまず伝えている。
そしてそれが結果的にスコアを向上させる近道であると考えている。
追求してもらっているのは、スコアなどの数字で表されないゴルフの側面。
これを「ゴルフの質(Quality of Golf;QoG)」と呼んでいる。
QoGを意識したゴルフは、アベレージゴルファーにとって新鮮で奥深いゴルフの楽しさをもたらすものだと確信してるので、これからも広まればいいのに、と思っている。
ゴルフに限らず、測定指標重視の世の中にあって、必ずしもその満足度や成果を左右するとも限らないものに踊らされていることはないだろうか。
(働き方改革!→とにかく残業「時間」を削減しよう‼的な)
数字から離れて、本当の意味で満足度を左右するものは何か、という視点で世の中を見ると、他にも自分なりの面白い世界が広がっているのかもしれない。
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