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「ワンダー/君は太陽」-普通な人はいない、称賛の素晴らしさとは-

映画の予告とか名場面とかをよく検索しているといろんな映画の切り抜きが流れてきますよね。

最近流れてきたので印象に残ってるのが
「wonder 君は太陽」でした。見た瞬間から多分感動系の友情ストーリーなのかなぁと思ったんですがそれだけじゃあなかったです。後から知ったんですが「美女と野獣」の監督さんが指揮しているだとか。

そしてこの作品NETFLIXで11/30日で配信終了と聞いて見ようと思ったのも理由の一つです笑(U-NEXTとかだと全然配信してるみたいです)文系大学生の宿命である講義中の睡魔に抗うために見たんですが一度見たら面白くて授業時間フルで使ってみてしまいました。物語が1人の視点ではなくて、複数人それぞれの視点で描かれていることでメッセージに相対性が増し様々な解釈ができる点が面白いところでした。

特に、この映画の見どころは個人的にはやっぱり、数々出てくる名言ですかね〜、特に遺伝子疾患を持つ主人公を取り巻く家族、学校の人物の言葉にはじわーっと来るものがありました。


【キーワード】

①『等速直線運動』と『屈折』 ルッキズムの闇

物語に頻繁に出てくる、理科の授業シーン。その中でも等速直線運動と屈折の講義は物語に関連していると思いました。

『等速直線運動』

・・・外部からの力が加わらない限り物体は運動を続ける。文系の自分でもこのくらいは知っていました。

この物語は"ルッキズム"が大きなテーマとして扱われていると思います。主人公が冒頭「君は何か特別なものを食べるの?」とジュリアンに聞かれるシーン、「ダース・シディアスが好きなの?」と聞かれるシーンはオギーの見た目からくるものでしょう。

物語全体を通し特徴的なのは主人公を中心として彼の魅力に惹かれ次第に周りが集まってくるということ。しかしいきなりみんなが集まったわけではありませんでした。ジャック、サマーなど彼と仲良く話す姿を目にしたり、彼の理科の成績など次第に周囲が【彼の存在を認めていった】、【彼を1クラスメートとして見るようになっていった】ように感じました。

同調圧力によりエスカレートするルッキズム。その流れ(運動)に抗うジャックやサマーのような存在(外部からの力)が加わることによって次第に運動は収まっていったのではないでしょうか。何か物事に変化が起こる時、それはいきなり発生するのではなく小さな小さな事柄から生み出されるのだとそう感じさせてくれました。

そしてもう一つが『屈折』ですね。

『屈折』

・・・光が物体を通過する時、必ず曲がる。
というものですよね。

光というものが人が得る情報そのものだとすれば、その間に何か物体(色眼鏡)を通す事によって本来得られるはずだったそのものに焦点が当てられないことになります。それは実際よりも大きくなったり、変形して歪んだり、そのものの本質をみているとは言えないのではないしょうか。

あのオギーでも自身の経験から、人の靴を見てその人を判断することがありましたよね。この場合屈折の考え方とは少し違いますが相手を真正面から見ることは大切。決めつけることは相手をきちんと理解することから最も遠い行為であることは物語を通して、そして、サマーという少女との関わりを通して彼も知っていったのではないかと思います。

だからこそ、そういう間の障害物をどけ相手をよく知るためには後にも出てくる「よく見る」ことを大事にしなければならないと考えさせられました。


②オギーという【太陽】と家族【地球】
-自分のことを心から思ってくれる人の大切さ-

オギーはその見た目から小さい頃から入退院を繰り返したり、学校にも行かずと目の離せない状況にいました。

そういう背景から物語でも何度も出てきた言葉『太陽」と『惑星』です。家族の中でオギーは太陽。いつも周りに誰かがいてみんなが心から心配を寄せている。一方でヴィアなどをはじめとする母・父は惑星、太陽の周りを回る存在と表現されていました。

ミランダからも「あなたの家族はまるで地球ね」と言われた通りオギーは家族にとって大事な存在でした。

この物語の特徴である、複数視点で物語が語られる点。当然ヴィアの視点ではこの点が語られていました。確かにプルマン家ではオギーは一番目をかけられている存在なのかもしれません。しかしコミュニティーを広げれば、彼女の祖母や親友のミランダ、物語中盤で出てくるジャスティンなど彼女を心から思ってくれる人は多く存在していて、それは彼女の原動力にもなっていました。

このように、誰にでも自分が太陽となる場所はあるし、逆に惑星であるべき時もあるのではないでしょうか。

【個人的に好きな言葉】

①『正しいことと親切なこと、選ぶなら親切なことを』by Mr.Brown

これはブラウン先生の格言に出てきた言葉です。最初聞いた時、正しいことと親切なことってつながってて ない?、何を言ってるのかよくわからなかったのですが、物語を通して自分なりに解釈できました。

この格言はあくまでも生徒に対し諭されたものでその場合で考えると対象はあくまでも生徒です。

この場合、生徒がする『正しい』事と『親切』事とはなんなのでしょうか。

オギーのいじめはクラスのみんなが周知していたと言っても過言ではありません。この場合ジャックやサマーのようにその行いに疑問を感じつつある生徒がとった行動は全て当事者(オギー)に"寄り添う"ということでした。決してジュリアンたちに立ち向かい“正す"ことではありませんでした。

もちろん"正す"ことも大切ですが、人間はそれほど強くできているものではありません。であればどちらかをやれと言われたら"寄り添い、親切の感情を示すこと"が最も大切なんじゃないかと思いました。

②『みんなの心がのぞけたらみんなも普通じゃないと思う、誰だって一生に一度は称賛されるべきだ』by Auggie

この物語を通して、辛いことに苛まれているのはオギーだけではないと感じたはずです。ヴィア、ミランダ、ジャックなど皆それぞれが抱えている悩み、思いがありました。

オギーに注目すると彼らの想いは小さく見えてしまうのかもしれませんが、彼ら彼女らに焦点を当て、心を覗けば誰にも話せない、考えあぐねているなにかがあります。

しかしそんな彼ら彼女らの支えになってきたのは多くが"称賛"です。※"賞賛"ではありません。翻訳でも"称賛"と表現されています。ヴィアにしてみればジャスティンの存在、演劇での歓声、ミランダにしてみれば親友ヴィアをはじめとする温かいプルマン家の人々。

など自身のことを讃えてくれる、肯定してくれる存在は何ものにも変え難いものなのかもしれません。

賞賛は"物質的な賛美"を"称賛は"精神的な賛美"をさします。決して能力として褒められる必要はありません。その人のパーソナリティやその人自身の素晴らしさを肯定する、認めることはその人にとっての存在意義をもたらしてくれると共に人生を歩んでいく上で欠かせない"刺激"なのかもしれません。

以上がこの映画を視聴して特に伝えたかったことです。
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最後まで見ていただけた方ありがとうございます^_^

今後もこうした"素人"目線の映画の感想をはじめとして、色々な投稿をしていきたいので見ていただけると嬉しいです!!

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