増大する米国クレジットカードリスク
2022年以降、急激に伸びが加速している以下の表は何か分かるだろうか。
答えは、米国のクレジットカードの金利だ(利息の平均支払金利)。
2024年8月現在、23.37%。24%超、28%超としているところもある。
いずれにせよ、なかなかの高金利である。
この年利は2024年9月以降、米国ではFRBによる利下げが始まっているため、今後は下落基調に転じていくことが期待できるが、期待通りに下がる保証はない。
なぜならば、クジレットカード金利は、基本的にフェデラルファンド金利(FF金利)に連動した変動金利に基づいて決まるものの、いつどのように金利の引き下げをするかはクレジットカード会社に裁量があるからだ。実際に2024年9月の利下げ以降の金利も期待通りに下がっていない場合も多いようだ。
そして、クレジットカード債務残高は2024年Q2現在1.14兆ドルであり、家計債務総額17.80兆ドルの6.4%を占めている。
クレジットカード債務残高が急速に増えていることが気になる点だ。
また一人あたりの平均負債残高は8,000ドルを超えるとする調査もあり、これを25%前後にも及ぶ金利で返済していけるのだろうか。
事実、クレジットカードの90日以上の延滞率は10.9%と2012Q1以来の高水準になっており、こちらも同じく速いスピードで上昇している。
透けて見えるのが、米国内で高騰する食料品、家賃、突然の予期せぬ出費(ex.高額の医療費)などで苦しむ低所得者層の生活だ。やまないインフレが生活を困窮させ、日々の生活費を賄うためにクレジットカードに依存せざるを得なく、そして高い金利がまた生活を困窮させていくという悪循環がある。
クレジットカード保有者の内、4割近くが限度額あるいは限度額近くまで借りているとする調査もある。最近、複数の仕事をかけ持ちする人が増えているのはこういった事情もあるのだろう。
とは言え、家計債務総額で70%を占める住宅ローンの延滞率は極めて低位安定しているため、景気の下押し圧力にはなるだろうが、クレジットカード債務が引き金で大きなショックに至る確率は低いだろう。
事実、個人破産の件数は現時点で低位に推移している。
しかし、これに収入減や失業が増えてくるとますますの悪循環が始まり、更なるクレジットカードの延滞率上昇や個人破産の増加から、米国全体の消費をも抑えていくことになっていくため、やはり雇用・失業率の動向が鍵だ。
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