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【運動療法×筋持久力】半座位での背筋トレーニングがL4脊柱起立筋に与える影響~脊柱起立筋と股関節伸展筋の疲労を比較~


慢性腰痛に対するトレーニングは色々と考案されてますよね。脊柱起立筋を鍛えるマシーントレーニングもあります。

ただ、
トレーニング毎にどんな効果あるのか?
果たして適切に脊柱起立筋を鍛えられているのか?
股関節伸展筋で代償してないか?

そういった事も考えておく必要があると思います。

今回紹介する研究ではその点について理解できるのではないでしょうか?

タイトル
“Specificity of a Back Muscle Exercise Machine in Healthy and Low Back Pain Subjects.“

日本語訳
「健常者と腰痛者における背筋トレーニングマシンの特異性に関する研究」
となります。

では要約です。


1.【研究目的】

この研究の目的は、半座位で行う動的背筋持久力トレーニングが、健常者および非特異的慢性腰痛患者の背筋群と股関節伸展筋群に及ぼす疲労の違いを検証することです。特に、背筋の疲労が股関節伸展筋よりも大きいかどうかを明らかにすることを目的としています。

2.【対象と方法】

対象

• 健常者:16名(男性8名、女性8名)
• 非特異的慢性腰痛(CLBP)患者:18名(男性9名、女性9名)
• 年齢範囲:20〜55歳
• 健常者はモントリオールの地域広告から募集され、CLBP患者はリハビリテーション施設および広告を通じて募集されました。


方法

1. 測定機器とトレーニング環境

• 参加者は Biodexダイナモメーター を用いた半座位での背筋エクササイズを実施。
• 膝関節は 135度 に設定し、腰部をパッドで安定化。
• 体幹屈曲角度 25度 から -15度(後方伸展) までの動作を繰り返し実施。
• 負荷は 最大筋力の60% に設定。

図:参考姿勢(※こんな感じの機械だよという、あくまでもイメージです。)

[25度屈曲位からスタート→ 屈曲-15度の角度まで運動 → 屈曲25度まで戻る]を繰り返す


2. 評価項目

筋持久力:疲労困憊までの屈曲-伸展サイクル回数を記録

主観的疲労評価:Borg CR-10スケールを用いて上背部、下背部、大臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋の疲労感を測定

筋電図(EMG)測定:
• 測定筋:脊柱起立筋群(L1, L3, L4, T10)、大臀筋、ハムストリングス(大腿二頭筋)、内側広筋
• 瞬時中央値周波数(IMF) を用いた筋疲労評価
• EMG振幅(RMS) を用いた筋活動の変化を分析

3.【主な結果】

I. 群間の違い

最大筋力(MVC) および 持久力(サイクル回数) に関して、健常者とCLBP患者間に有意な差は認められなかった。
主観的疲労評価(Borgスケール) では、CLBP患者の方が健常者よりも全体的に疲労を強く感じる傾向があった(p < 0.05)。

II. 条件ごとの違い

EMG解析による筋疲労評価:
• 背筋群(特にL4部位)で 有意な疲労(IMFの低下) が観察された。
股関節伸展筋(大臀筋・ハムストリングス)では、明確な疲労の兆候は認められなかった。
大腿四頭筋(内側広筋) では、軽度の疲労が観察されたが、背筋群ほどではなかった。

相関分析:
L4部位のEMG疲労指標(IMF低下率)は、運動回数(持久力)と強く相関(r = 0.68, p < 0.01)
股関節伸展筋(大臀筋・ハムストリングス)では、この相関は認められなかった

4.【臨床的意義】

• 本研究の結果から、半座位姿勢での背筋トレーニング(膝135度+骨盤安定化)は、股関節伸展筋よりも背筋群に特異的に負荷を与え、持久力を向上させる可能性が高い ことが示唆される。

腰痛患者においても、健常者と同程度にこのトレーニングを実施できることが確認されたため、腰痛リハビリの一環として活用可能である

特に脊柱起立筋のL4レベルの筋持久力向上を目的とする際には、この運動が有効である可能性がある

5.【まとめ】

いかがでしたか?

慢性的な腰痛のある方へのマシーンを利用した背筋トレーニングは適切に背筋を鍛えられていて、股関節伸展筋で代償的に鍛えるという事はなさそうです。

L4は構造的にストレスがかかりやすい部位であり、ヘルニアの好発部位でもあります。
その周りの筋群を鍛えてメカニカルストレスへの耐性をつける事は有効かと思われます。

代償を防ぐために適切な運動姿勢を評価することも必要になりそうです。

今回も学びがありました。

引き続き、腰痛に対しての学びも深めていきたいと思います。

以上で紹介を終わります。

6.【参考文献】

Larivière, C., Da Silva, R. A., Arsenault, A. B., Nadeau, S., Plamondon, A., & Vadeboncoeur, R. (2010).
Specificity of a Back Muscle Exercise Machine in Healthy and Low Back Pain Subjects.
Medicine & Science in Sports & Exercise, 42(3), 592-599. DOI: 10.1249/MSS.0b013e3181b96029


また学びになる研究がありましたら紹介します。
よろしくお願いします。


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PT yoshi
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