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【運動機能×臨床評価】大腿骨前捻角におけるCraig's Testの臨床的有用性-MRIとの比較による妥当性および信頼性の検討-
下肢関節の変形性疾患の方や腰部疾患の方で股関節の可動性がよくないな、もしくは過剰だなと感じる場合ありますよね?
その際、大腿骨の形態を確認すると、大腿骨前捻角が大きい、もしくは小さいことが確認できることがあると思います。
今回は、そんな大腿骨前捻角を測定する方法、Craig's Test(クレイグ検査)についての研究を紹介いたします。
タイトル
”Concurrent Criterion-Related Validity and Reliability of a Clinical Test to Measure Femoral Anteversion”
訳すと
「大腿骨前捻角を測定するための臨床検査の並行基準関連の有効性と信頼性」
になります。
では、要約です。
1.【研究目的】
大腿骨前捻角を測定する臨床検査(Craig’s Test)の並行基準関連の有効性(MRIとの比較)および信頼性(測定者間・測定者内の一致度)を評価する。
2.【対象と方法】
対象
健康な成人18名(男性9名、女性9名)
平均年齢: 25.4±3.3歳
BMI: 22.9±3.4 kg/m²
方法
MRI測定: 大腿骨前捻角を基準測定
臨床検査(Craig’s Test): 2名の理学療法士が独立して測定
再測定: 1週間後に再度測定し、測定者内信頼性を評価
統計分析:
MRIと臨床検査の一致度を**級内相関係数(ICC)**で評価
測定誤差を**標準誤差(SEM)**で算出
3.【主な結果】
1. MRIと臨床検査の比較(有効性)
臨床検査とMRIの一致度(ICC)
測定者1: 0.69
測定者2: 0.67
標準誤差(SEM)
測定者1: 5.8°
測定者2: 6.0°
臨床検査はMRIと比べて前捻角を過小評価する傾向
2. 測定者間・測定者内信頼性
測定者内信頼性(intra-tester)
測定者1: ICC 0.88(SEM 3.2°)
測定者2: ICC 0.90(SEM 3.1°)
測定者間信頼性(inter-tester)
ICC 0.83(SEM 3.8°)
再現性は高いが、測定誤差が大きい
4.【臨床的意義】
BMIが低い対象者では信頼性が高いが、BMIが高いと誤差が増大する可能性
臨床検査は極端な前捻角異常(過度の前捻または後捻)の判別には有用だが、正確な角度評価にはMRIが必要
臨床場面では、補助的なスクリーニングツールとして活用可能
5.【まとめ】
いかがでしたか?
個人的には下肢関節疾患や腰部疾患の方で大腿骨前捻角に異常がある方は比較的多くいる印象がありますし、その際の評価としてクレイグ検査は臨床でよく使用します。
あれ、この人前捻角に問題ありでは?
と思っても、MRIをとるには時間がかかるので臨床ではクレイグ検査でみるしかないと感じていました。
ただ、問題もありますね。
BMI高値により誤差を生む可能性があるのは納得です。脂肪が厚いと非常に難しく感じますし、薄い方は非常にわかりやすいです。だからこそ極度な前捻角を評価する場合でないと、結果に疑問が出てきてしまうわけですね。
スクリーニングや補助的な評価としては有用と考えられますが、臨床研究をするとなるとBMIも考慮してデータを取得する必要がありますね。
学びになりました。
【参考文献】
SouzaRB,PowersCM.Concurrentcriterion-related validity and reliability of a clinical test to measure femoral anteversion. J Orthop Sports Phys Ther. 2009; 39: 586–592. https://doi.org/10.2519/jospt. 2009.2996 PMID:19648719
https://www.jospt.org/doi/10.2519/jospt.2009.2996
また、学びになる研究がありました紹介していきます。
よろしくお願いいたします。
大腿骨前捻角と股関節の筋力トレーニングに関する研究の紹介もしていますので良ければご覧ください!
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