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【運動療法×治療戦略】膝蓋大腿部痛症候群に対する効果的なアプローチ~股関節筋強化の臨床的意義~

膝のお皿の辺りが痛い事ありませんか?

膝蓋大腿症候群という病気だとその辺りに痛みを感じる事があります。

特に階段昇降で痛みやすい事があるようです。

今回は、そのような膝蓋大腿症候群による膝の痛みに対するアプローチ方法とその有効性についての研究を紹介します。

この要約を読めばどんなアプローチが有効と考えられるかが分かります。

タイトル
“Effectiveness of hip muscle strengthening in patellofemoral pain syndrome patients: a systematic review”

日本語訳
「膝蓋大腿痛症候群患者における股関節筋強化の有効性:系統的レビュー」

では、要約です。


1.【研究目的】

本研究の目的は以下の2点である。
1. 膝蓋大腿痛症候群(PFPS)患者に対する股関節筋強化の効果(疼痛軽減、筋力向上、機能改善)を検討した研究を系統的にレビューする。
2. 選択された研究の方法論的質を評価する。

2.【対象と方法】

対象:
• PFPS患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)

方法:
• Google Scholar、MEDLINE、PEDro、LILACS、SciELOのデータベースを使用し、PFPSと股関節筋強化に関連するRCTを検索。
• 介入群が股関節筋強化を含む場合に対象とし、非介入群または他の介入群と比較した研究を選択。
• 評価項目として疼痛、筋力、機能を含む研究を選択。
• PEDroスケールを用いて方法論的質を評価。

3.【主な結果】

Ⅰ. 疼痛軽減効果
• 7つの研究のうち、ほとんどの研究で股関節筋強化がPFPS患者の疼痛を有意に軽減することが示された。
特に階段昇降時の疼痛軽減が確認された。

Ⅱ. 筋力向上効果
• 股関節筋強化による筋力向上の効果には研究間で相違があった。
• 一部の研究では有意な股関節外旋筋・外転筋の筋力向上を示したが、すべての研究で一致した結果ではなかった。

Ⅲ. 機能改善効果
• 5つの研究で機能改善が確認された。
長期的なフォローアップ研究では、介入後3か月、6か月、12か月にわたって機能が向上したことが報告された。

4.【臨床的意義】

股関節筋強化はPFPS患者の疼痛を軽減し、機能を改善する有効な治療法である。
• しかし、筋力向上の効果には研究間でばらつきがあり、介入の方法や頻度が影響を与える可能性がある。
長期的な疼痛軽減および機能改善が期待できるため、PFPS患者のリハビリにおいて股関節筋強化を積極的に取り入れることが推奨される。

5.【まとめ】

いかがでしたか?

膝蓋大腿部痛の方に対しては股関節筋の強化は非常に有効であるということが言えますね。

実際に私も臨床で膝蓋大腿部痛の方に対して股関節筋の強化を行っていました。

評価をすると股関節周囲筋の筋力低下が認められていたので介入を行ったのですが、今回の論文のように効果が出ていました。

以前投稿した研究でも述べられていますが、股関節筋群への介入は膝や足関節機能の改善にも大きく結びつくようですね。

まずは膝が痛い場合は膝だけでなく股関節にも注目し評価、介入を行っていきましょう。

以上で紹介を終わります。


6.【参考文献】

Santos TRT, Oliveira BA, Ocarino JM, Holt KG, Fonseca ST. Effectiveness of hip muscle strengthening in patellofemoral pain syndrome patients: a systematic review. Braz J Phys Ther. 2015 May-June; 19(3):167-176. http://dx.doi.org/10.1590/bjpt-rbf.2014.0089

また学びになる研究がありましたら紹介します。よろしくお願いします。

膝の痛みに関してはこちらもご覧ください


股関節筋群が足関節に与える影響に関してはこちらをどうぞ


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PT yoshi
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