USスチール買収を子供でも分かるようにスーパーマーケット競争に例えてみた
最近、ニュースを騒がせている日本製鉄のUSスチール買収計画ですが、正直何が起きているの?と思われている方もいるのではないでしょうか。
そこで、本件を”スーパーマーケット競争”に例えて、子供でも分かりやすいように紹介したいと思います。
スーパーマーケット競争
日本製鉄は、『効率的な仕入れと運営で評判の高いスーパーマーケットチェーン』です。日本製鉄スーパーは、品質の高い商品を提供する一方で、無駄を省いた物流システムや最新の店舗管理技術を導入し、地域での信頼と人気を勝ち取っています。一方、USスチールは、『昔からの常連客に愛されているが、運営に苦戦している老舗スーパー』です。USスチールスーパーは、かつては地域のリーダーだったものの、近年は設備の老朽化や商品の多様性の欠如により、売上が減少。さらに、新たな投資が難しく、経営が苦しい状況に追い込まれています。
この地域では、もう一つの巨大スーパー、『中国スーパー』が存在しています。中国スーパーは、圧倒的な商品量と低価格戦略で市場を席巻しており、地元のスーパー全てがその影響を受けています。特に、中国スーパーは大量生産による安価な商品を提供し、地元のスーパーの顧客を奪っています。
USスチールスーパーは、経営を続けるために買収されることを望んでおり、そのパートナーとして日本製鉄スーパーが名乗りを上げました。日本製鉄スーパーは、USスチールスーパーを買収することで、以下の戦略を描いています:
商品ラインナップの強化: 日本製鉄スーパーの高品質な商品とUSスチールスーパーの定番商品を組み合わせ、より幅広い顧客層にアピールし、特に専門性が求められる商品(例えば、高級食材や特殊な食品)でも競争力を高めます。
運営効率の改善: 日本製鉄スーパーの効率的な運営手法を導入し、USスチールスーパーのコスト削減とサービスの改善を行います。これにより、競争力の回復と常連客の信頼を取り戻すことを目指します。
地域経済への貢献: USスチールスーパーの閉鎖を回避し、雇用の維持や地域への投資を行うことで、地域社会への貢献も図ります。
しかし、この買収計画は他の地元スーパー(アメリカの鉄鋼会社)から懸念されています。彼らは次のように考えています:
競争力の増大: 日本製鉄スーパーとUSスチールスーパーが合併することで、地元市場での競争力が増すことは間違いありません。これにより、彼らは既に厳しい中国スーパーの圧力に加え、新たな強力な競争相手を迎えることになります。
市場シェアの脅威: 買収が成功すれば、統合された新しいスーパーチェーンが市場シェアを奪う可能性があり、特に小規模なスーパーや同じく苦戦している地元スーパーは更なる経営の困難に直面するでしょう。
このように、日本製鉄スーパーのUSスチールスーパー買収は、地域のスーパーマーケット業界全体に大きな影響を与える可能性があります。地元スーパーたちは、この買収が成功すれば、自分たちの生存がさらに難しくなることを懸念し、反対の声を上げているのです。
終わりに
バイデン米大統領は3日、このUSスチール買収計画を阻止する決定を下した、との報道がありました。建前上は国家安全保障上の問題による判断とのことですが、実際はバイデン大統領の支持基盤である労働組合、特に全米鉄鋼労働組合(USW)の意向を尊重した判断との見方もあるようです。
さらには、買収されるUSスチール側のCEOからもこの判断を酷評するようなコメントも出ているとのこと。
ここにきてアメリカの保護主義の色がより強くなってきましたが、日本でもホンダと日産の経営統合の話には、台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」による日産株式の取得を経産相が阻止したい思惑があった、などの噂もありましたね。
過剰な保護主義は、かえって業界の衰退を招くのではないかと懸念していますが、今後の動向を注視していきたいと思います。
Yoshi