ハドソン研究所:太陽光発電SPCにおける強制労働について
新疆ウイグル地区における強制労働、人権問題は欧米などを中心として、色々取り上げられて来ました。米国では、国防権限法などで、こういった事態が起きないよう規制を掛けてきました。米国ハドソン研究所からのレポートの概要です。
3月9日に行われたハドソン研究所の対談で、中国が支配する「ソーラーパネルと関連技術のサプライチェーンにおけるウイグル人強制労働の役割」に改めて注目が集まっています。
ハドソン研究所のシニアフェローであるターケル氏が、ソーラーエネルギー産業が強制労働に対して非常に脆弱であることを明らかにした2021年の報告書「In Broad Daylight」を共同執筆したマーフィー氏と話をしました。
英国のシェフィールド・ハラム大学で、人権と現代の奴隷制を研究するマーフィーは、「中国の新疆ウイグル自治区が世界のポリシリコンの45%を生産している」ことを報告書に記しています。
この報告書によると、中国のポリシリコン産業は約5年前に新疆ウイグル自治区にシフトした。安価な石炭エネルギーに魅せられたこともあるが、ウイグル族の強制的な「余剰労働者」の利用に対する補助金など、金融や税の優遇措置があったからであるという。
「ウイグル地域のすべてのポリシリコンメーカーは、労働者移転プログラムへの参加を報告しており、また参加した原料会社から供給を受けている」と、報告書の要約は述べている。
「中国の強制労働に関与している企業が、この人権危機への加担から自らを引き離すために、何ができるのか考えなければならない」とターケル氏は、この対談を紹介しました。この対談は、監視団による「Amazonの複数サプライヤーが、ウイグル人の強制労働に依存している」との報告から2日後に行われたものです。
彼は、米国で新たに制定された「ウイグル人強制労働防止法」と呼ばれる、新疆ウイグル自治区で調達・製造された商品を違法とする法律を歓迎した。
「これは前例のない強制労働のシステムであり、私たちはその対処法を学んでいるところです」とマーフィーは述べています。「今日、企業として責任ある行動をとるには、その地域から完全に撤退するしかありません」と。
「労働力の徴用だけでなく、パスポートの取り上げ、礼拝や断食の拒否、人々の移動の制限など、政府が用いた他の強制的な戦略も含めて、抑圧的な政策がゆっくりと展開されています。これらの事は、世界が注目しない中でゆっくりと展開されてきたのです」とマーフィーは述べています。
昨年、北京から制裁を受けた米国の宗教自由関係者4人のうちの1人であるターケル氏は、マーフィー氏に「ウクライナ侵攻後、ロシアからすぐに撤退した企業が、なぜ新疆からの撤退にこれほど遅れているのか」と質問した。
「彼ら白人CEOは、自分と重ね合わせているからなんでしょうが、それは問題です。しかし、もうひとつの問題は、中国政府が、私たちが世界中で消費している多くの商品の市場を実質的に掌握していることです」と彼女は答えた。「彼らは本当に卑怯者、絶対的な卑怯者です」と。
以前ハドソン研究所のイベントにおいて、「中国共産党(CCP)が、防衛に不可欠なバッテリーのサプライチェーンを独占した場合、米国経済や国家安全保障にどのような影響力を及ぼすだろうか?」というテーマで、専門家が議論しました。
ドナルド・トランプ大統領下で、国家地理情報庁の最高技術責任者を務めた新アメリカ安全保障センター非常勤研究員のヴィンチ氏は、「バッテリーとサプライチェーンの問題は、通常の経済競争から経済強制、さらに経済戦争へと移行するという一線を越えてしまったのか」と指摘する。
「まだそこまでには至っていないが、「戦場の準備」と呼ぶべき状態にあることを提案したい」と。