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Wha!-和・輪・話- 『平和の為に輪っかになって話をしよう。』

2021年4月30日
yosemic主催のオープンマイクイベントがマンハッタンのチャイナタウンで約一年ぶりに復活した。今回はそのオープンマイクの副題に込めた想いとイベントの回想を言葉で残そうと思う。

みなさま
はじめまして、おひさしぶり。
yosemicのKotaroです。
先ずはお前誰やねんって方の為に簡単に自己紹介しておきます。
・大阪出身ブルックリン在住のyosemicの名付け親です。
・現地で組んだバンドのギタリストをしてます。
Osaka Vagabondと云う名義でソロ活動もしております。
簡単な自己紹介に二回も大阪って単語が出てくるくらいの大阪人です。
今日はボクなりにオープンマイクイベントに込めた想いを当日の写真とともに文字にして残そうと思います。

画像1(筆者近影)

閑話休題

yosemicのオープンマイクイベントが出来なくなってから早一年。パンデミックの影響でメンバーの多くは日本への帰国を余儀なくされた。だが厳しい状況にもかかわらず、地道な活動を続けた結果、東京に新たな拠点を創った仲間たちは一足先に素晴らしいイベントをしてくれた。(その模様に関しては下記記事を参照)
https://note.com/robertsmkt/n/nc72b50c90206
遅れること約一週間、yosemic発祥の地であるニューヨークでオープンマイクイベントをやっと復活させることができた。

画像1(この日の為に友人のアーティストが描き下ろしてくれた作品)

今回のオープンマイクの副題として"Wha!"と云う響きを選んだ。
英語でそのままWhatの意味で捉えてもいいし、力強い掛け声なんて解釈もありだ。ただボクらが込めた思いは此のnoteの副題にもした、和・輪・話である。

要は『平の為にっかになってをしよう。』って事だ。
一年の間に余りにも多くの事があり過ぎたし、変わり過ぎた。
今までの当たり前が当たり前でなくなってしまった。
そんな状況でyosemicとして、表現者のコミュニティとして何をするべきか考えた時、自然とみんなでこう結論づけた。

画像2(みんなで輪っかになってストレッチをする様子)

パンデミックを引き金にアメリカでは数多くの社会問題が巻き起こった。
特に人種差別は人種の坩堝(るつぼ)と呼ばれるニューヨークでは決して無視できない問題であった。イベントの準備期間中にもメディアではヘイトクライムの報道が数多くあり、路上でハラスメントを受けたり、危害を加えられそうになる事も決して他人事ではなかった。そんな時、一つのムーブメントが起こった。 #StopAisanHate だ。

アジア人に対する人種差別への抗議運動だ。当然ボクらは賛同した。友達の中にもヘイトクライムの被害にあった人がいる。何かをしなければいけないと誰もが思ったに違いない。そんなある日、#StopAsianHateのサインを出しながら路上でギターを弾いていると一人の男性がこう声をかけてくれた。
"Instead of #StopAsianHate , put #StartAsianLove ."と。

彼の発言に深い意味があったのか、もしくは単なる小粋なジョークだったのか、真相は彼にしかわからない。ただボクはその言葉を聞いてえらく納得してしまった。たしかに嫌われるのをやめてもらうよりも好きになってもらう方がポジティブだし平和的だ。その日からボクは#StopAsianHateのサインを外し、代わりにこのサインを置き始めた。
"Peace and Freedom"

画像3(飛び入りでマイクの前に立ってくれた詩人の足元)

此の精神をなんとかオープンマイクで表現したいと思った。
yosemicが掲げる"誰もが表現者になれる場所"はそんな場所だと思ったからだ。
誰もが自由に自分を表現して、それを誰もが受け入れて、そして好きになる。
そんな場所が今のニューヨークには絶対に必要だと思ったからだ。

当たり前のように存在していたステージも、ショーも、美術館も、ギャラリーも、ライブハウスも、劇場も、イベントも、パーティーも、クラブも、学校も、レストランも、会社も、本当に色々なモノが当たり前ではなくなってしまった。
そんな時期を乗り越えたから今だからこそ、誰かの前で自分を表現できる場所が必要だと思ったのだ。

画像1(人前で歌うのが嬉し過ぎて感極まっているシンガー)

今回のイベントではRound Talk Timeを準備した。みんなで色々な事を話す時間だ。今までのイベントではどうしても参加者と表現者の間に壁というか、境目みたいなモノができてしまっていた。マイクの前に立つ人と、それを見る人。当たり前の事なのかもしれないけれど、yosemicとしてはそれすらも取っ払ってしまいたかった。
"誰もが表現者になれる場所"に境目なんてないはずだから。

MCのミッキーが参加者に話を振る。
"パンデミック中はどんな事を考えていたの?"とか
"ワクチンについてどう思う?"とか、
コロナ渦ならではのテーマから始まった話が気付けば、
"Dogecoin(仮想通貨)買ってる人いる?"や
"ヘイトクライムについてどう思う?"など
色々な事へ自然と話が広がっていった。みんな同じ空間の中で多くの人が意見を交わす場所が久しぶりで嬉しそうだった。最初の方は恥ずかしがっていた人も最後にはマイクの前で話してくれた。誰かが話をしている時はしっかりと顔を向けて聞いていた。人と面と向かって話をする。それすらも当たり前ではなかったのだ。

誰も声を荒げたりしなかった。誰も他人を傷つけたりしなかった。そこには色んな人がいた。年齢も職業も趣味も性別も国籍も人種も名前もみなバラバラだった。だが同じ空間で同じ時間を過ごせた。ただただ平和に時間が過ぎていった。その事が何よりも嬉しかった。

画像1(集合写真)

"和を以って貴しとなす"は、かの有名な聖徳太子の言葉であるが、この言葉は本当に核心を突いていると改めて思った。聖徳太子は和やかな状態でお互いが納得するまで話をする事を尊重したと云われている。今回のイベントの精神性はまさしくそれである。1400年以上が経った今でも素晴らしい考え方である。

一年前に見たかった光景が一年越しに見れた。
yosemicが創りたかった場所があの日には創れた気がした。
そして何よりも情熱や創造性をみんなで共有できる空間に浸れて幸せだった。
イベント終了後に参加者の多くが感謝の意を伝えてくれた。感動して泣いてくれる人もいた。黙ってハグをしてくれる友達もいた。ここからまた色々な人やモノが繋がっていく。そんな人の力を、輪が広がっていく感覚を強く感じた。

平和は何処にだって、何時だって、誰にだって、創れる。
そんな事を帰り道に考えた。

All Photo Credit: Mickey Ono

<締>



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