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「怒り」という、なんとも不要な感情について
「怒り」「イライラ」といった感情を直接表に出す行動が問題解決の最善策になるというケースはほとんど無いと思います。それなのに、何故だか世の中に蔓延っています。
冷静になって考えてみると、これはこれはとてもおかしなことに思えます。
生物にとっての怒りとは何か
人間は生まれた直後は「興奮」という1つの感情しか持ち合わせていません。そこから月日が経つにつれどんどん分化していって、5歳になる頃には「嫉妬」だったり「羞恥」だったり「愛情」にも複数あったりと、とても人間らしい複雑な感情を持つようになります。
「怒り」はその中でも、生後6ヶ月の時点ですでに形成されるつまりかなり原始的な感情と言われています。
思い出してみると、犬も猫もハムスターもカマキリも、むやみやたらに触ろうとすると怒っているポーズを見せたりします。
そういったことからもやはり、「怒り」というのは生物的にかなり基本的な感情なのだと思われます。
そもそも、生物は何のために「怒り」の感情を持っているのでしょうか。
脳科学者の中野信子さんはこう言っています。
(怒りを感じたとき)脳では、別名「闘うホルモン」とも呼ばれるノルアドレナリンが分泌されます。神経を興奮させ、血圧や心拍数を上げるノルアドレナリンの働きによって、動物は相手を攻撃する準備をする。
なるほどたしかに、常に死と隣り合わせの世界で生きている動物たちにとって怒りは、戦闘態勢に入るトリガーとして重要な役割を持つ感情のようです。
では人間にとっての怒りとは
ところで私たち人間は、先にあげたような動物たちとは違って食うか食われるかという物理的な意味で弱肉強食な世界には生きていません。
「瞬時に戦闘準備を整え、フルパワーのパンチを繰り出せます!」
そんなことができても別に生活はまったく有利にならないというか、むしろ本当にパンチをしたら逮捕されてしまう世界で生活しています。私たちはそういうルールによって身の安全が最低限保証されていて、その上でパワー以外のより知的な部分で競争することによって文明がつくられ発展してきた生き物なのだと思います。
つまりこの秩序ある社会で生きる私たちにとっては、直接的な肉体どうしの争いはもう全然無意味で、そのために重要な感情である「怒り」も要らないじゃないか、と思うのです。
もちろん「怒る」という行動が最善なケースはあると思います。
ただ、ここで言う「怒る」はあくまで "自分が不快であったことを相手に伝えるための手段" であって、わざわざ剥き出しの感情をのっける必要は1つもないはずです。
友人が待ち合わせに寝坊で遅刻したならわざわざ空気を悪くせずとも丁寧に思ったことを伝えれば分かってくれるでしょうし、部下が同じミスを繰り返すなら冷静に解決策を問うたり一緒に考えたりすればいいですし、電車で大声で電話してる人がいたら強く言わなくても優しく言えばふつう伝わります。
剥き出しの感情を他人にぶつけるということは、ただただ自己中心的な迷惑行為で「悪意」にほかならず、また目的のためであるとするなら明らかに非効率な手段に思えます。
多分誰でも分かること
「怒りやイライラをそのまま外に出すことは迷惑だし非効率」
冷静にそうなのです。
これはたぶん、考えてみたら誰でも分かることですし、わざわざ迷惑な人間になりたいとか非効率な人間になりたいとか、そんな風に思う人はなかなかの物好きです。
でも生物である以上、いくら「怒りの感情が不要だ」と言ったって、ふと怒りやイライラが生まれてしまうということは仕方なくあるでしょう。
そういうとき「怒りやイライラの無意味さ、不毛さ」を頭で理解できていてちゃんと定着してさえいれば、意外となんてことないのだ、と私は思っています。
そういった考えが定着していれば、たとえ怒りやイライラが湧いてきても、自分の中で起こったその感情の動きにまず気づくことができて、そして客観的に「この怒り、このイライラ、膨らませたりぶつけたりしたところでなんにもいいことないな」と理性的に処理できるように脳が適応していくと思います。
私が現にそうなので「頭で分かっていれば怒りは理性で解決可能」と本当に思っています。
ただ、性格や育った環境が違えば全く別の意見もありそうかもしれないな、とも思っています。
なのでもし意見があればぜひ聞かせてください。
なににせよ、みんなが不毛に怒らずもっと穏やかになったらそれは素敵な世の中なのにな。
おしまい。
aso
P.S.
怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」についてちょっと触れている記事、こちらもよければ読んでみてください。(written by Mikey)