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エジプト旅行記①〜ラクダから眺めるピラミッドと地平線〜

6泊8日でエジプト&トルコの旅に出かけてきました。まずは前半のエジプト編をお届け。

エジプトの感想を一言で伝えると、「文化の違いに感性の扉を開かされた」。なぜかスピっぽくなってしまったけれど、ほんとにそう。

エジプトの生活が日本と違うというところはもちろん、エジプト観光は「古代エジプト遺跡」がメインになってくる。

そうすると、遺跡をめぐる中で4000年以上前の生活の知識を得たり、想いを馳せたりする。その中で「何をどうしたらこんな本気でピラミッド作るの!?」など疑問が湧きまくる。

そんな常識を超えた感情との出会いが、心の領域をグイッと広げてくれた。それでは古代ロマンの旅へレッツゴー!

1日目(15時間フライト&カイロ到着)

始発で成田空港へ。トルコのイスタンブール空港を経由して、カイロ空港へ目指す。最初のイスタンブールまでは成田から13時間。このレベルの長時間フライトは人生ではじめてなので、どのくらいしんどいかも予想できなかった。

出発前にダウンロードしまくったNetflixを漁っていると、機内食のお時間に。「ビーフorチキン?」と言われてチキンを申し出ると、和食メインのメニューが出てきた。

鶏と野菜の黒酢あん的な

想像以上の和食だった。大戸屋営んでるのかな。ターキッシュエアラインのごはん、あたたかくて超絶おいしい! あとおしぼりめっちゃいい匂いする。

機内食後もたっぷりと時間があるので、読書、映画鑑賞、ポッドキャスト視聴にふける。だがしかし、約9時間をすぎた頃。頭をかすめたのはこの思考。

「コンテンツが何も入らぬ」

人間、インプットしすぎると頭が何も受け付けなくなることがわかった。最終的にオフラインかつ脳死でできるガラケー時代のゲーム「おばちゃんと毛虫」をやるくらいの気力しか残っていなかった。

隣でぐっすりと寝ているミネ君(今回の旅の相棒)を眺めながら、こちらはミイラになった気分で悠久の時を耐え忍ぶ。

そしてなんとか13時間のフライトを終え、イスタンブール空港に到着した。今回はツアーでの参加のため、一同が添乗員さんの元へ集合。驚いたことが一つ。約30人のツアーで、その9割が同世代と思われし人だった。ツアーというとお仕事を引退されたご夫婦などのイメージが強いのに。エジプトが平均年齢を下げている説…?

次のフライトまで約5時間あるので、イスタンブール空港を散策。

保安検査後エリアでこの広さ

「カフェでひと息つきますか」と思い値段を見るも、コーヒーとパンで日本円換算で軽く2000円を超えるお値段。ひぃ! いじけたので大人しくベンチで過ごした。通り過ぎる人を眺めるだけでも、ヨーロッパ、中東、アジアといった様々な方の服装の違いや共通点を見出せるので楽しい。

そしてカイロ発の飛行機へ乗り込む時間に。ここからは2時間半のフライト。先ほどの13時間と比べると「めっちゃ短いな」と思える。けれど、気力ゲージが赤色の状態スタートなのでこっちの方がきつかった。ヘロヘロになりながらカイロ空港へ到着。

残された気力でこの1枚だけ撮ってた

そこからバスで宿泊ホテルへ。飛行機が遅延したこともあり、到着したのは深夜2時。心身限界を迎えていたけれど、ホテルのロビーが古代エジプトの宮殿すぎて元気が出た。

こんなホテルに泊まることは二度とないだろう

このロビーのゴージャス感にも関わらず、部屋の扉の建て付けが悪く上手く閉まらなかったり、シャワーの水がピャーって横に飛散してしまう問題に直面した。悪戦苦闘しながら倒れ込むように就寝。


2日目(ギザの三大ピラミッド・階段ピラミッド・赤いピラミッド)

朝早く出発し、「三大ピラミッド」が並んでいるエリアのギザへ。道中のバス内から、ピラミッドが街中から頭を出しているのが見えた。人生ではじめてピラミッドを観た感想として、「ピラミッドだ…」しか口から出なかった。だって現実感がない。

街の背景に不自然にピラミッドが佇んでいるのだ。現実世界なのに加工されているような違和感が拭えない。実感が湧かない不思議さを抱えながら、ピラミッドとの対面を待つ。

とうとうバスが到着し、歩いてピラミッドに近づいていく。想像以上の大きさに迎えられ、胸の高鳴りが一気に全身をざわつかせた。

デカすぎておさまらない

こちらはエジプトで最大の大きさを誇る、クフ王のピラミッド。内部の見学も可能なのだ。入場列に並び、いざ4500年前の世界へ。

入り口は洞窟のよう(盗掘用に掘られた穴)
大回廊はとても天井が高い

中にはかなり屈んで進む必要がある場所もあり、気分はトレジャーハンター。男の子心がくすぐられる。最終的には王のミイラが安置されていた玄室にたどり着いた。

密閉された環境からか、この時点で汗だっくだくだったけれど、それを均衡するレベルのワクワクがうずく。

そして古代エジプト人の技術力に脱帽する。大回廊の写真からも分かる通り、石材のカットと配置のレベルが高すぎる。これだけ精緻なものをどう設計図に落とし込み、計画的に積んでいったのか不思議でならない。

クフ王のピラミッドを後にし、カフラー王とメンカウラー王のピラミッドが同時に見られるスポットへ。こちらは遠くから写真を撮影。

良いフォームで飛べた

ここで何枚も写真を撮ったけれど、もはや合成にしか見えない。背景が綺麗すぎてフリー素材と化してしまう事象が世の中にあることを知った。

そしてラクダが乗れるスポットへ移動。たくさんのラクダ乗りが周りを歩いている。だが気をつけなければならないのが、ボッタクリ。うかつにラクダの写真を撮ったものなら写真代を要求されるらしい。

悪質な業者のラクダに乗って仕舞えば、「ラクダを立たせるのにいくら」「進ませるのにいくら」「降ろさせるのにいくら」と各ステップごとに多額の料金を請求されるという。たまったもんではない。

そこで現地ガイドさんが仲介に入り、値段を確定させた上でラクダに乗せてくれた(ちなみに10ドル)。コブの間にまたがり、姿勢をしっかりと正す。

ラクダ乗りの合図で、4つの足が立ち上がった。グンっと視線が上がる。それは想像以上で、目の前に見える景色の範囲が一気に広がった。

ラクダがトコトコと歩き出す。果てしなく広がる砂漠。そびえ立つピラミッド。あたりを歩くラクダたち。見えているもの全てが今までの自分になかった世界だけで構成されている。知らないものは美しくて、わからなくて、寂しくもあたたかかった。

ラクダからの景色

太陽の光に目を細めて地平線を見たとき、地球のどこかと、自分の心の一部が混じり合った感覚がした。とても大げさだけれど、自分にとってはそれくらい胸を締め付けられた瞬間で、涙が出そうだった。このあとも数々の印象に残る出来事が待っているけれど、エジプトで1番心を震わされた一瞬といえばここになる。

ラクダの口がハムスターみたいでかわいかった

ラクダの後に目指すはスフィンクス。そもそもなぜスフィンクスが建造されたのか? については諸説あるらしいが、現地ガイドさんによる説はこの通り。

クフ王が自身のピラミッドが完成したのを見たとき、憤慨した。なぜなら、ピラミッドの前に大きな岩が存在していたから。
「景観を損ねる」と機嫌を損ねたクフ王は、家来たちに大岩を削って建造物に変えるように命令した。
その結果、守神としての役割を果たすようにデザインされたスフィンクスが誕生したのだ。

ピラミッドよりもスフィンクスが早期に建造された説もあるので、真偽はわからないけれど、想像の余地があるのがエジプト遺跡のおもしろいところ。「あなたはいつなんのために建てられたの?」と心の中で語りかけながら眺めた。

「日本でいう隈研吾みたいな人の趣味デスヨ」

ちなみに、昔「トリビアの泉」という番組で「スフィンクスの見つめる先にはケンタッキーフライドチキンがある」と紹介されていたが、本当にあった。

インパクトある遺跡たちを堪能したあとはお待ちかねのランチ。

石窯で焼きたてお出迎え

エジプト料理って日本で全然知られてないよね。全く無知の状態で行ったのだけど、まず前菜としてはナンのようなパンが基本らしい。こちらを胡麻ベースのソースにつけて食べていく。

胡麻ソースにもはや日本らしさを感じる

ごはんには焼きそばのようなものが練り込まれており、完全に「そばめし」だった。たきこみごはんのようにほんのりと味もついていておいしい。

ちなみにピクルスのようなものは「スーーン」と刺すような辛さで悶絶したけれど、そのおかげで「これ辛すぎません?」と他のツアーの人と話せた。

午後はサッカラに移動し、再びピラミッドめぐり。ここからは3つのピラミッドからあふれ出る個性をお楽しみください。

階段ピラミッド

最古のピラミッド。建造は今から4800年前。たしかに新しいピラミッドと比べると洗練されていないイメージはある。最近のゴジラを見た後に、初代ゴジラのフォルムを見た気持ちになった。でも、あっちはあっちでいいよね。

守り神感を出す野犬

続いてはダハシュールへ。

屈折ピラミッド

途中で辺が屈折している。理由は諸説あり、計画ミスや安全性の確保による変更とも言われている。相棒のミネ君は「遊び心じゃないかな。俺がファラオだったら人と違うやつ建てたい」と漏らしていた。そんなもんかもしれない。

最後はこちら。

赤いピラミッド

使われている石材が少し赤っぽく見えることから。個人的にはこのピラミッドのフォルムが1番美しく感じた。いろんな味のピラミッドを見ると、違いがわかるようになってくる。この先の人生で役に立つ感覚とは思えないものの、ちょっと嬉しい。

ちなみに、写真からもわかる通り観光客がほとんどいない。ギザの三大ピラミッドはアクセスがいいため賑わっていたけれど、後半のピラミッドは「東北の観光地の方がたくさん人いたぞ」というレベルだった。世界中の人が知っている光景を貸切しているような気持ちは、ただただ不思議だった。

ピラミッドめぐりを終え、バスで夕食へ向かう。17時ごろ、市街地でラクダたちが歩いているのが窓から見えた。ガイドさんによると、「家に帰ってる」とのこと。観光業にお勤めのラクダたち、ホワイトのようで安心した。

ラクダの退勤

レストランに着き、1日ピラミッドめぐりにはしゃいだ身体を落ち着かせる。すぐ外に目を向けると、目線の先には美しい三角錐があった。エジプトではピラミッドが街と同化している。

現代社会に溶け込む王の墓

とにかくたくさんのピラミッドを見た1日だった。計算された美しいフォルムを、「きっと人生でもう眺めることはない」といくらでも目に焼き付けていられるような心地だった。

そして、なぜこれほどのお金と時間をかけて建造されたのかいまだに解き明かされていないというロマンに想いを馳せているだけで、宙に浮かんだ気持ちになれる。古代エジプトは宇宙のように広大でつかみどころがない。

そんなフワフワとした非日常に全身をくるめられて、2日目が終わった。

〜つづく〜


*エジプト予習編はこちら*

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