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トルコ旅行記②〜青い礼拝堂と猫が近寄る街〜
エジプト・トルコ旅行記最終回。これまでの記事はこちらに。
6日目(モスクと宮殿とボスポラス海峡クルーズ)
カッパドキアを離れるため、カイセリ空港からイスタンブール空港へ。保安検査のとき、ぼくの前の列の人が男性スタッフに質問をされていた。
「飲みものはない? iPadはない?」
ああ、外に出さなきゃダメだもんね。同じ質問をされることを構えて、ぼくの番が来た。すると、トルコ人スタッフからやたら多く質問が飛んできた。さっきより訊かれてること多くない? 不安になりながら頷いていると、だんだんと内容が理解できてきた。
「コーヒーはない? カフェオレは? 紅茶は? ジュースは?」と尋ねられている。
「いや全部飲みものやないかーい」とツッコむべきギャグだったのだろう。そこまでの語彙力と器量がなかったので半笑いで頷くことしかできなかったけれど。
トルコ人、愉快すぎる。日本じゃ絶対に起こらないやりとりだ。
*
ポップな幕開けでスタートしたイスタンブール。市街地に到着し、まずはランチ。
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「箸使いたいな〜」と悪戦苦闘していると、隣に座ったツアーのお兄さんが「スッスッ」と華麗にナイフとフォークでスズキを召し上がっていた。
おしゃべりしている内に、外科医のお仕事をされていることがわかった。お兄さんは「ナイフは使い慣れてますからね」と言葉を漏らす。スズキがオペされている…!
*
午後は歴史的な建造物めぐりへ。まずはブルーモスク。1609年から7年かけて建造されたイスラム教の礼拝堂。
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青い装飾がメインで、中も青いステンドグラスに覆われている。
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天井をずっと見上げていられるくらい精巧な作りで、思わず背筋が伸びてしまう。
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普段「祈り」というものが日常に染みついていない環境で育っているため、イスラム教徒の方がどのような想いでここに来ているのかまでは想像ができない。けれども、「信仰」というものが創り上げる空間に身を置くだけで、何かを信じて生きていくことの力強さが体の中に入っていく感覚がした。
続いてはトプカプ宮殿へ。こちらは15世紀中頃から19世紀にかけてオスマン帝国の君主が居住した宮殿。
トルコ旅行の前にNetflixで『オスマン帝国 皇帝たちの夜明け』というトルコ版大河ドラマを見ていた。そこで演出されていた世界観そのもので、「あの歴史が渦巻いていた華やかな舞台だ!」と興奮が止まらない。
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その後はイスタンブールの街中を散策。ここで、ニャンコ好きへの朗報です。イスタンブールにはいたるところに猫がいる。しかもとっても人懐っこい。ちょこちょこ近づいてきたり、体をすりすりと寄せてくる。国民性ならぬ国猫性、日本と違う。
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日が傾いてきたところで、フェリーに乗り込む。夕陽を眺めながらボスポラス海峡のクルーズへ。
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海を眺めながらお酒を飲んで、「本当に日本から遠いところにいるんだ」ということをあらためて感じる。そしてごはんを食べている最中、突然ケーキが出てきた。ツアー中に誕生日を迎えたぼくのことをみんながお祝いしてくれたのだ。
ガイドさんにはマグカップをもらう。トプカプ宮殿にいるとき、ガイドさんが土産屋で何かを買っているのを見て、「めっちゃ旅行気分じゃん」と思っていた。あれ、ぼくへのプレゼントだったんだ。遊んでたと勘違いして申し訳ない。
プレゼントとバースデーソングはいい年なので恥ずかしくはあったけれど、くすぐったいほどの嬉しさは久しぶりだった。たまたま日程がかぶってしまっただけだけど、トルコで迎えた誕生日のことは忘れそうにない。
日本にいたら起こらないだろうリッチな体験にホクホクしてフェリーを降りる。すると、遠くで花火が打ち上がっているのが見えた。
お祭りがあったのか? と疑問に思っているとガイドさんが一言。
「たぶん、誰かの結婚式だね」
ハレの日に盛大に打ち上げるトルコ人の感性、ダイナミックすぎる。ちなみにツアーの人は「バチェラーじゃない!?」と息巻いていた。そうであってほしい。
*
クルーズの後はホテルへ向かう。ここでも何匹もの猫たちに遭遇した。
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ホテルに到着したのが8時ごろだったにも関わらず、連日の疲れが溜まっているのかぼくもミネ君もベッドで眠りにつく。ところまではよかったのだけど…。
これまで体調がすこぶる良く、なんなら日本にいる時より元気だった。おなかを壊すこともなく、毎食ばくばくと完食。しかし、ここで突然お腹が悲鳴をあげる。おなかと頭がかち割れるように痛く、眠りたくてもうなされて眠れない。
でも無理もない。おなか側の気持ちになって考える。海外出張に連れ出されたと思ったら、通常よりも多い仕事量を与えられていたのだ。慣れないタスクを大量に押し付けられ、ここ数日は長時間労働が常態化していた。おなかが「もう働きたくない!」とストライキを起こしてもおかしくない。
「逆によくここまで頑張ってくれた…」とおなかを労い、祈るように翌日を迎えた。
7日目(エジプシャンバザールと帰国)
とうとう旅行の最終日。体調は少しよくなったものの、まだまだ微妙だ。この日は朝食バイキングのメニューがめちゃくちゃ充実していたのだけど、おなかが「仕事量を減らしてください」と所望してきたので、従業員に耳を傾ける経営者としてお皿に入れるメニューを絞りに絞った。
スイカ、メロンといった果物を中心に食べた。本調子でなくとも「おいしい!」と思えるほどみずみずしいものばかりだった。(今思えば果物もリスクがあったかもしれない。結果オーライすぎる)
朝食後はホテル周辺を散策。やはりここは猫の街だ。個性豊かな面々にそこかしこで会える。
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本日の行程はエジプシャンバザールからスタート。こちらはエジプトのお土産が買えるというわけではない。元々はエジプトから香辛料を輸入することが多く、輸入品に課税が行われていたことからついた名前らしい。
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お菓子のお店が多かったのだけれど、量り売りのスタイルが多く新鮮だった。
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お店の人がとてもフランクで、「君いくつなの?」みたいな感じで話しかけてくる。こちらも訊き返すと、結構自分より年下の店員さんだとわかったりする。しかしトルコ人、堀が深いのでとても大人っぽい。「トルコ人から見た日本人なんてどう見えてるんだろう」と不思議な気持ちになった。
*
そしてとうとう旅行は終わりを迎える。名残惜しさを抱えながらイスタンブール空港へ。現地ガイドのムッさんとお別れを告げる。国際的イケメンのあなたのことは忘れないよ…!
スーツケースを自動預け機に持って行く。ここでは出力されたラベルを荷物に貼って、ゲートに通す。しかし、ぜんっぜん上手くいかない。何回やっても差し戻される。後ろには列ができているので、「後ろの人怒ってるよな…」とさらに焦りが止まらない。
痺れを切らしたのか、後ろに並ぶヨーロッパ系の女性2人組が話しかけてきた。ひぃ! ごめんなさぃ! とおよび腰になっていると、彼女たちはぼくの荷物の位置を調整し始めた。
「ここにラベルの読み取り機があるから、うまいことやんなきゃなのよ!」的なことを言い、通過を手伝ってくれた。怒っている感じはなく、「ただただどうにかしたい」というオーラを感じる。
その後も悪戦苦闘したけれど、何度も挑戦してスーツケースがゲートを通過したとき、2人はバンザイをして「よかったわね!」と満面の笑みをくれた。ブチギレてもいい場面なのに本当に優しい…!「very sorry」と「thank you very much」しか手持ちの語彙がなかったので、何度も頭を下げて伝えた。
そしてとうとう搭乗口へ。フライトまでは時間があるので、イスでしばしうたた寝…のつもりが、疲れのせいか爆睡していた。ミネ君と慌てて起きたころには最終搭乗時間ギリギリになっており、最後の乗客として慌てて駆け込む。
なんとか間に合ってよかった…。これで逃していたらどうなるんだろう…と息を切らしながらふと携帯を見る。すると、ツアー参加者のLINEグループが動いていた。
「〇〇さんと〇〇さんがまだ搭乗していないです!」
スズキのグリルをナイフで華麗にさばいていた外科医の方たちだ。どうにか間に合ってほしい…! 祈るようにして時が過ぎるのを待っていると、「搭乗口閉まっちゃいました…」と報告が。えええ!
ひと足早いお別れを告げ、11時間のフライトが始まった。どうかお元気で…! (お二人はイスタンブールにもう一泊し、翌日出発できた)
*
帰り道はだいたい寝ていたようで、ほとんど記憶がない。ぐでんぐでんの体力と気力で成田空港に到着していた。
本当に、夢のような6泊8日だった。エジプトは古代ロマンの宝庫。4000年以上前の遺跡と古代エジプト人に想いを馳せ、自分と全く違う価値観で生活していたことを想像する時間が楽しかった。
トルコは思い出がカラフルな宝石箱。気球をはじめとした美しい景色に心を震わせ、おいしいごはんと愉快なトルコ人とのコミュニケーションに胸をワクワクさせられた。旅行の楽しさが全部盛り込まれている空間だった。
そしてツアーで一緒だった人たちとの交流も忘れられない。なぜだか同世代の方ばかりで、まるでゼミ合宿に来ているような感覚だった。
みんなコミュニケーション能力がとんでもなく高く、自分の話をとってもしてくれるし、ぼくの話もグッと身を寄せて聞いてくれる。
「海外にいながら同じ空間を過ごしている」という非日常感もトッピングになって、解放的なおしゃべりができたのかもしれない。
今でも写真を見返しながら、「ここに人生でもう一度行くことはあるんだろうか」と考える。一生分の気概で、目も前の景色や出来事を味わえていただろうか。
でもこうして、日記にしたら4つの記事で合計1万字以上になるほどの思い出を持ち帰っている。いつかこれを読み返して、あのとき心に発した波のように押し寄せる感情を思い出したい。
エジプトとトルコは、これだけ文字を書き連ねてしまうような場所。あなたがもし旅行先の選択肢に入れているとしたら、ぜひ足を運んでほしいです。どうかあなたの旅行記も、いつか読めますように。
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〜おわり〜