【短歌】伊舎堂仁さんのトントングラム/BRUTUS -一行で。
伊舎堂さんの歌集「トントングラム」を読みました。
あるといいけれどめちゃくちゃこわいよね飲むとよく眠れる水道水
(屋上の)(鍵)(ください)の手話は(鍵)のとき一瞬怖い顔になる
登校日 すべすべした手でかえされたMONO消しゴムのOが●
いしゃどうに会わせたい人がいないんだ ぜひ会わないでみてくれないか
よく眠れる水しか出ない水道だとしたら…その水で作ったご飯を食べても寝てしまう。怖いです。
気づかなかった面白い発見がたくさんありました。
伊舎堂さんは以前発行されたBRUTUSの「一行だけで」の回で、「名歌に返す、一行。」に参加されています。
また、こちらの雑誌では俵万智さん、穂村弘さん、東直子さん、枡野浩一さん、岡野大嗣さん、木下龍也さんなどなど言葉のプロたちが生きる力をもらったり、励まされた忘れたくない大切な一行を紹介されていました。
眠らむとしてひとすじの涙落つ きょうという無名交響曲
大滝和子さんのこの歌を選んだのは穂村弘さん。
何事もない1日が過ぎて、何者でもない自分が、世界の片隅で眠ろうとする。その時、ひとすじの涙がこぼれた。悲しいとか寂しいとかはよくわからない。ただ今日という日を生きた命の雫のような涙。
と、解説されています。
お腹の奥にずんとくる歌だなと思いました。
今日1日を終えて眠るとき、今日も頑張ったと自分を労いたい。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ではまた