Dorothy
彼女はドロシーにどんな思いを乗せたのだろう。
“嫉妬 愛 真理 華やか ココア味 卑怯 砂漠 氷山 地下 風邪薬 美味しい 何もかも...”
最初にこの曲を聴いた時、彼女の透明な歌声に魅了された。
美しく、可愛らしく、何の嫌味もクセもない透明な歌声。
ゆっくりしたテンポと、サラサラと流れる川のような彼女の歌声が私の心を落ち着かせた。
しかし途中から一気にテンポが速くなる。
まるで終わりに向かうかのように。
速いテンポの中、最後のドロシーを何度も復唱するところが、まるで暗い海に沈んでいくかのような想像を私にさせた。
“助けなきゃ”
そう思い手を伸ばした時にはもう遅い。
真っ暗な海の中、彼女の姿はもう見えない。
まるでバラバラな短い詩を並べたような歌詞。
しかしその短い詩たちは、彼女の想像力の塊だ。
追いつくことのできない想像力。
なのに共感できる、不思議な歌詞だ。
ドロシーは最後、家に帰った。
未来のために祈ったまま、彼女はどこへ行ったのだろう。
ちゃんと帰れたのだろうか。
それとも深い海の底へ沈んでしまったのだろうか。
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