『綺麗を、壊したい』
『綺麗を、壊したい』
吸い込まれていく、あの場所へ。
足先が言うことをきかない。地面を強く蹴って、次の動作へ。強く蹴ることは出来るのに、方向が意図に沿わない。抗ってみても、狂った動きしかできない。知ろうとするなら、食べてみないと分からない。味わって、噛み砕いて飲み込んで、それでも分からない。腸が悲鳴をあげるまで。激痛とともに吐くまで。肌に変化が表れるまで、分からない。愛してたのに。恨むことになるなんて、果たして愛してたのかさえ、分からない。つたってきても、どうして泣くのか、わからない。
一口だけ食べたからって、何がわかるっていうの。
じゃあ、二口、三口、もっともっと。
そうやって食べ尽くしたらさ
もっと大切にしたかった
っていうなら
最初っから、触れなければよかったんだ。
だからといって、壊したかった、なんて
そんなのおかしいよね。