
ヒーローになりたいか?
ヒロアカ熱が冷めません。
我が家では、既にすべて見たヒロアカのアニメをまた毎日のように見ています。
これまで見ていなかった夫も巻き込まれる形で見始め、数話を見たのちに、オトモダチのオジサンに『ヒロアカのアニメを全部見ろ』と傍迷惑なラインを送信しておりました。
うんアナタも3~4話しか見ていないよね。
けどパパにもヒロアカの魅力をわかって欲しかった娘たちは、それが伝わって喜んでいました。
絶対的な「正義」が、
絶対的な「悪」があるのではなく、
それは一人一人の内側に存在していて、揺れ動くもの。
大人が長い時間をかけて作り上げてきた「正義と悪」という幻想の世界から、目を醒ますことを導いてくれるようなアニメです。
そして今の子どもたちは、生まれながらにしてその感覚を持ち合わせているのではないかと、ヒロアカに夢中になって目を輝かせる娘たちを見ていると思うのです。
以前、記事にしたこちらの「少女のエゴ」
もう何度も見ていますが、やはりその度に泣いています。
というか、見る度に泣く度合いが増して行きます。何故なんだ。
もう嗚咽をこらえるのに必死です。
見る度にトガちゃんの気持ちとリンクして、私の中で何かが浄化されているのでは、とさえ感じます。
私はかつてヒーローになろうとしていました。
それは世界に対して。
漫画やアニメのように、特別な能力は持ち合わせていないけれど、
戦禍に苦しむ人たちを、
貧困に喘ぐ人たちを、
暴力に苦しむ人たちを、
何とかして救いたいと思っていました。
特別な能力は何も無いけれど、
私にもできることを。
少しでもやれることを。
NGOの活動を支援したり、
バレンタインにはフェアトレードでチョコレートを大量に買い、"カカオ豆農園で子どもたちが搾取されない取り組みを"とそれを配りながら啓蒙活動をしたり、
周囲の人たちに、「戦争は一人一人の意識が変われば必ずなくせる。」と熱弁したり。
特別な力は何も無いけれど、
私にもできることを。
少しでもやれることを。
その想いは、やがて私自身を苦しめました。
世界に溢れる難民に対して、私の微々たるお金で何が変わるというのか。
それは困っている人のもとに本当に届いているのか。
現地に行く勇気も持ち合わせていないのに、安全な場所でぬくぬく生きている自分の行為はただの偽善ではないのか。
飲む水さえ無く倒れる人たちも居るのに、なぜ自分はご飯が食べられないなどと言えるのか。
どうしてみんな、『戦争はなくならない。人間はそういうものだから。』と言うのか。
私は自分のしていることの意味が、やがてわからなくなりました。
私は世界を救おうとしていました。
今この瞬間にも理不尽に奪われていく命に対して、少しでも、ほんのわずかでも何か出来ることがあるのではないか。
世界の圧倒的な"地獄"に対し、私が出来ることの小ささに、無力感を抱えていました。
その時の私の想いも、行動も、
間違いだったわけではありません。
私が持つエネルギーを、世界に対して、何か、表現したかった気持ちは、
間違いだったわけではありません。
だけど私はそのエネルギーを、
まず内側に向ければよかった。
暴力に苦しんでいたのは私でした。
自分に必要なものを与えていないのは私でした。
命が綱渡りの状況下に晒されていたのは、私でした。
それを直視できなかった。
私は世界中の苦しむ人たちを私の目の前に登場させては、自分の傷を見ないようにしていました。
私が真っ先に救うべきなのは私でした。
私は自分を救えない無念さを、そのまま世界に投影させていた。
自分自身の経験から、苦しむ誰かを助けたいと願う気持ちは、とても、とても尊いものです。
だけどそれには先ず、
自分自身を救えているのか、が優先です。
私は、私にとってのヒーローになれているのか。
いつでも自分を守ってやれているのか。
最も大切な自分の命を、最大限に大事にできているのか。
それは自分一人だけの力でなんとかするということではありません。
本気で自分を救おうとするならば、
必ず、助けてくれる人が現れる。
身近に、本の中に、ネットの言葉に。
助けを求めていい。
「苦しい」と言っていい。
決して一人ではありません。
そしてそのエネルギーは、
必ず、周りに伝播して行く。
あなたの、半径5メートルから。
一人の内側から沸き起こるエネルギーは、
必ず、周りに伝播する。
一人に伝播し、
そこから更に伝播して、
波紋が広がって行く。
一人の人間が放つエネルギーは、世界を変えて行く。
私たちは無力ではありません。
誰かを救いたいと願うなら、
自分を救いたいと願うなら、
それは必ず、叶います。
「君は、ヒーローになれる」