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「小規模事業者持続化補助金」の概要紹介

中小企業診断士、社会保険労務士の萬屋です。

前回に引き続き経営者から聞かれることが多い「補助金」や「助成金」トピックです。前回は「人材開発支援助成金」をご紹介しましたが、今回は「小規模事業者持続化補助金」についてご紹介します。

なお、2024年実施の公募要領等を参考に記事を作成しておりますので、2025年の制度は変更となる可能性が高いことをお含みおきください。


「小規模事業者持続化補助金」とは?

小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」といいます。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。

本補助金事業は、小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。

「小規模事業者持続化補助金」ホームページ(https://r3.jizokukahojokin.info/)より抜粋

細かいので太字部分のみ見ていただければと思いますが、要は以下の点がポイントになっています。

  • 対 象 :小規模事業者

  • 目 的 :生産性向上や持続的発展を支援すること

  • 補助対象:販路開拓、業務効率化の取り組み

  • 要 件 :「経営計画」が必要(→審査されます)

補助対象事業者は?

①下記に該当する法人、個人事業、特定非営利活動法人が対象です。
■商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数 5人以下
■宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数 20人以下
■製造業その他:常時使用する従業員の数 20人以下

また、以下の全ての要件を満たす方が補助対象者になり得ます。
1.資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
2.直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
3.持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規 模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、原則本補助金の申請までに受領されたものであること。 ※「受領された」とは事務局から指摘のあった不備が解消した状態であることを指します。
4.「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと。

小規模事業者持続化補助金 <一般型> ガイドブックより抜粋https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_guidebook_ver8.pdf

細かくなってきましたが、、業種別の従業員数要件、売上金額要件、資本金要件、等があることが見て取れます。
簡単には、売上や従業員数が少ない法人や個人事業主が対象とお考えください。

どんな支出に対する補助が受けられる?

以下のような経費が補助対象経費として掲げられています。

  1. 機械装置等費

    • 補助事業の遂行に必要な製造装置の購入等

  2. 広報費

    • 新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等

  3. ウェブサイト関連費

    • ウェブサイトやECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用に係る経費

  4. 展示会等出展費

    • 展示会・商談会の出展料等

  5. 旅費

    • 販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を行うための旅費

  6. 開発費

    • 新商品の試作品開発等に伴う経費

  7. 資料購入費

    • 補助事業に関連する資料・図書等

  8. 雑役務費

    • 補助事業のために臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員費用

  9. 借料

    • 機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)

  10. 設備処分費

    • 新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等

  11. 委託・外注費

    • 店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼(契約必須)

注意点もいろいろ書いてありまして、例えば「汎用性が高く目的外使用になりえるもの(車・オートバイ・自転車・文房具等・パソコン等)は 補助対象外となります。」等がありますのでご注意ください。

どの程度の補助が受けられる?

補助率は2/3でした(一部例外あり)。ただ、申請の枠によって上限額が変わります。

  • 通常枠   :補助上限50万円

  • 賃金引上げ枠:補助上限200万円

  • 卒業枠   :補助上限200万円

  • 後継者支援枠:補助上限200万円

  • 創業枠   :補助上限200万円

また、"インボイス特例"で補助上限50万円上乗せ、等の措置もありました。

申請以降の流れは?

以下の10ステップです。補助金が振込されるタイミングにご注意ください。

  1. 申請の準備

    • 「経営計画」含めた応募時提出資料一覧を準備する。

    • 地域の商工会・商工会議所窓口から「事業支援計画書」(様式4)の作成・交付を受ける必要がある。

  2. 申請手続き

    • 電子申請または郵送により提出可能。

    • 電子申請は、補助金申請システム(名称:Jグランツ)で行う。

  3. 申請内容の審査

    • 事務局により、外部有識者等により審査が行われる。

    • 必要な提出書類がすべて提出されていない場合は不採択となる。

    • 審査によって、評価の高い案件から順に採択される。

  4. 採択・交付決定

    • 採択決定者には「交付決定通知書」が通知される。

    • また補助金事務局ホームページにも公表される。

  5. 補助事業の実施

    1. 申請時に提出した補助事業計画に沿って事業を実施。

    2. 事業は補助事業実施期限までに完了する必要あり。

  6. 実績報告書の提出(事業者が実施)

    • 補助事業終了後、期限までに補助事業の実施内容と経費内容(支出内容)を取りまとめた実績報告書を郵送。

    • 提出がないと、補助金の支払が受けられない。

  7. 確定検査・補助金額の確定

    • 実績報告書等を事務局が審査し補助金額が確定される。

    • 「補助金確定通知書」が送付される。

    • 内容に不備があり不備が解消されない場合等は、補助金額が減少又は0円になる場合あり。

  8. 補助金の請求

    • 「補助金確定通知書」の金額を確認し、精算払請求を補助金事務局に行う。

  9. 補助金の入金

    • 補助事業者に交付(入金)される。

    • 振込は数週間程度かかるとのこと。

  10. 事業効果報告

    • 補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」(交付規程様式 第14号)を文書等で提出が必要。

2025年の「持続化補助金」はどうなりそう?

中小企業庁の補正予算案を見ると、以下のような変更が行われる可能性がございます。ただ、要求レベルのものなので未確定です。

  • 中小企業対策費(総額)の増額要求:

    • 令和6年度1,082億円→令和7年度1,300億円(要求)

  • 「小規模事業者持続化補助金」の継続可能性:

    • "中小企業生産性革命推進事業【2,000億円(令和5年度補正)】(※ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金・事業承継引継ぎ補助金)"の記載あり。

  • 「持続化補助金」の内容変更可能性:

    • "経営計画の策定に重点化し、枠の整理等、制度を簡素化(通常枠、創業枠等に再編等)"という記載あり。

※参照資料:中小企業庁 概算要求関連

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/gaisan_point.pdf

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_hosei_point.pdf

まとめ

いかがでしたでしょうか。まずは概要で把握いただけたのでは?と思います。

「中小企業診断士」は経済産業大臣認定資格であることもあり、経営計画策定支援は得意分野です。

また私の場合、社会保険労務士資格も保有していますので厚労省系の「助成金」もワンストップで情報提供等可能です。

実際に申請するにあたっては公募要領等に該当するかどうかをしっかり細かく確認する必要がありますので、もし具体的なご相談があればお気軽に、当記事にコメントいただくか、ホームページからWeb面談をご予約ください。

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