がん相談支援者から当事者へ(その8)
今回はがんになって気づいたこと、わかったことを紹介します。
1, とにかく「感謝」
がんになったことで家族や職場の人、知り合いに気づかいやお世話いただきました。
特に妻には感謝感謝でした。
それまで当たり前だったことが当たり前でない、そのことに気づき、とにかくいろんなことに感謝の気持ちでいっぱいでした。
正直「ありがとう」という言葉が増えたことが自分でもわかりました。
2, 神だよりの気持ち
神だよりというよりいろんなことに精神的に頼りました。
知り合いからお守りをたくさんいただきましたが、すべてカバンにつけていました。
何かに頼りたい、そういう気持ちが生まれるものだと知りました。
関係ないですが治療中に岡林信康のコンサートに行きました。
何の関係があるか。
「フォークの神様ですから」
3, 悪い情報に流されやすい
相談員をしていたころは悪い情報はあまり気にしないように、と話をしていたと思うのですが、いざ自分ががんになると悪い情報に流されやすいことに気づきました。
生存率が向上しているというデータを見ても、自分がいいほうになるというより、悪いほうになるのではないか、と意識が向きました。
精神的に不安になると悪い情報のほうが気になるようです。
4, 自分の周りに同じ病気の人が意外と多い
がんを公表したことで、実は私も以前、とかうちの夫が、母が、とか同じがん経験者の声を聞くことが多かったです。
わざわざ言うことではないけど、同じがんだからということで話すことへの敷居が低くなったのでしょうか。
気持ち的に励まされました。
5, 相談員として当事者の気持ちがわかっていたのかという反省
相談員の立場として理解や共感することは大前提ですが、自分が当事者になって今までの相談員としての経験を振り返り、本当にわかって相談に乗っていたのかという反省をしました。
あたりまえのことですが、がんといわれた時の気持ち、抗がん剤の大変さ、家族の負担など経験しないとわかりません。
利用できる制度や治療への不安等への紹介や支援は当たり前ですが、当事者の不安はそんな単純なものではありません。
共感を示し、不安の軽減に努め、制度紹介をすることで満足していたのではないかと猛反省しました。
6,体の芯から湧いてくる漠然とした不安
自分ががんになってから感じたことを一言でいえばこういうことかと思います。
不安や悩みは単純でも具体的でもありません。
とにかく漠然としたものです。
それに対応するコミュニケーション力が必要なんだと思いました。
7、 支援者としてこの経験を伝えたい
自分の経験をピアサポートとして支援にあたっている人は多いと思いますが、私はその逆。
支援者の立場から当事者になりました。
支援者の時には気づかなかったこと、わからなかったことたくさんあります。
自分のがん体験と合わせてその気づきを同じ支援者に知っていただきたいと思います。
次回は再発してからのことを紹介します