なぜ男子校で「ウイニングイレブン」が覇権を握ったか。
こんにちは!よろずです。
以前「男子校で流行っているesports」という記事を書かせていただきました。
大きな反響をいただき、今この記事を読まれている方の多くはこの記事を読んでいただけたのではないかと考えています。
しかしその記事を書いて早数ヶ月、流行の推移はほぼ一新されたと言っても過言ではないでしょう。
そう、タイトルにもありますが、数ヶ月前には自分がその記事を書くにあたって制作したランキングにも乗っていなかった「ウイニングイレブン2019」がダントツの1位に輝いています。
サッカーゲームとして長年人気を博していたこのウイニングイレブンですが、その人気は令和を前にしてさらなる人気を確立しようとしています。
今回はその理由について追求していければなと思います。
※この記事はあくまで自分が通っている学校のクラス内での事だけが情報源になっているので、他の学校でも同じことが起きているとは一概には言えません。
予めご了承ください。
我が校のスマホゲームの歴史
そもそも高校1年生の時、みんながスマホゲームをしていたかと言われると、今ほどではありませんでした。
事の発端は高校2年生になった頃でした。
自分の学校は野球部の割合が非常に高く、クラスにも野球部が多く在籍しています。
野球部は“年功序列”で、1年生がグラウンドの整備をするという決まりがあります。
そのグラウンドの整備が無くなった2年生になると、50分もある昼休みを満喫することができます。
しかしながら、学校の中なので、出来ることと言うのはほとんど限られてきます。
つまりみんな、“スマホゲーム”に集まってくるのです。
そんなこんなで前の記事で書かれたゲームが流行っては廃れていきました。
ランキングには乗らなかったと述べましたが、一部のクラスメイトの中では「ウイニングイレブン2019」(以下ウイイレ)は根強い人気がありました。
常にメジャーになることはなかったものの、ウイイレの圧倒的に他のスマホゲームよりも優れていた点は、“流行り廃りなく、安定している”ということでした。
ゲーマーには多いのですが、同じゲームばかりしていると、そのゲームの内容に満足してしまい、他の面白いゲームがあるとすぐにそのゲームの方へ走ってしまい、そのゲームが置いていかれてしまうという事がありました。
所謂、「モチベーションの欠落」です。
しかし、ウイニングイレブンには、多くのスマホゲームが持つこの弱点を突かれることはなく、いや、寧ろその弱点を“元々持っていない”という点において圧倒的な強さを誇っていたのです。
ウイイレの“圧倒的強所”。
先程“これらの弱点を持たない”という事を述べましたが、どういうことか説明させていただきます。
多くの弱点になりゆる点の1つとして、“新鮮味”が挙げられると考えます。
様々な人気ゲームがある中、その中で人気を出そう、売れさせようと思った時、この新鮮味というのはゲームの行く先を大きく左右する点でしょう。
もちろんそれがユーザーに評価されれば、ネット社会の今瞬く間に注目を浴びます。
しかし、この新鮮味の中に、「今後ユーザーの中に定着し、浸透していくか」と言われれば、かなり難しいのではないかということが伺えるでしょう。
多くのスマホゲームが行き着く先は、“飽き”なのです。
この飽きがなぜ生まれてしまうのかというと、多くのゲームにはランク等の“能力が一目で分かる”部分が必ずと言っていいほど存在しています。
この点はあまりどうこういうことが無いのですが、問題になるのが「このランクを利用したゲーム内システム」です。
〇〇ランク以上しか参加できないクエストであったり、〇〇の条件をクリアすれば参加資格を得ることができるステージなど、“既存”ユーザーのモチベーションを上げる要素はスマホゲームに多く存在します。
これらの要素は既存ユーザーにとって最もモチベーションが上がる要素であり、運営側も利益に繋がる最も強い試作の1つである事には間違いなく、どのゲームもこの制度を採用していることでしょう。
しかしながら、このシステムはもとから“新規ユーザー”には始めるためのモチベーションを形成するのには有効な手段では無いということが予めわかっていました。
この要素が増えれば増えるほど、ゲームとしての難易度は上がり、既存ユーザーに合わせた完成度は常に向上し続けますが、もし仮にユーザーが一斉に離れてしまうケースがあった時、新規の獲得は難しいと考えられます。
そんなシステムばかりのゲームが溢れかえった今、どんなゲームも始めるのに抵抗を感じるようになってしまいました。
このウイイレにはランクの概念がありません。
他のスマホゲームと同じようにガチャは存在し、勿論キャラごとで性能の差は広がってしまいますが、「プレイしているユーザーの差」というのは、ランクが存在しないこのゲームにおいて、物凄く新規参入に優しいシステムになっています。
つまり、既存ユーザーのモチベーションを形成する強所であった1つの要素を持っていないが為に、そんなランク制度で溢れたゲームばかりになった今、その強所は“弱点”に変わり、かつて弱点かと思われたこのシステムは“強所”に変わりつつあるのです。
他のゲームの飽きる点について、最もシンプルな要因は、「そのゲームのシステムに飽きた」というものが想像しやすいでしょう。
毎回同じ作業を繰り返したり、その行為に上達を感じられなくなったり、日々プレイする間に苦痛になっていったり、人それぞれ理由は様々ですが、飽きとしての大まかな理由はこれに尽きます。
しかしながらサッカーは学校教育で誰もが経験し、それでもって体を使うスポーツなので、「ルールはとてもシンプルで誰もがプレイしやすい且つ普段サッカーをする機会が学校以外で余りない且つ長時間サッカーをやっている人も少ない」という"好きだけど満足いくまでやっていない"という常に腹7~8分目の満たすに満たされていない丁度いい欲のバランスが取れているのです。
そして、これは対戦ゲームだけが持つ利点なのですが、対人と戦う戦略は無数にあり、RPGなどのクエストをクリアする事の何倍も何十倍も種類があります。
この対戦ゲームならではの戦略の多さも飽きられない上では非常に有利な点と言えます。
“ゲームではないゲーム”だからこそ得た人気。
ウイイレは言わずもがな“ゲーム”ですが、サッカーをモチーフにしているが故に、RPG、FPS、MOBA等のゲーム特有のジャンルは保有していません。(アクションの部類に入ります。)
当然の事ですが、ゲームの多くはゲームだけが持つことのできる利点を利用したものが多くあります。
分かりやすく言うと、FPSでは銃を持って敵と撃ち合いをしたり、RPGでは自分のスキルや必殺技を使って敵を倒したりなど、現実では出来ない(あまり経験したりする事がないであろう)事を楽しさの一部として取り入れています。
しかし、それも先程説明したように、操作方法やある程度の感覚をつかんでいたり、過去にその手のゲームをやっていた経験がないと、「なんか難しそう」で始める事を拒んでしまう事が多々あるように感じられます。
様々なゲームを遊ぶ事が出来るようになってしまった今、かえって新しいものに“飽きてしまった”のでは無いかと感じています。
サッカーは小中高を通じて必ず授業で経験するスポーツであり、ルールはいたってシンプルです。
だからこそ目新しいものに疲れてしまう事なく、新しいものに抵抗感を感じずに、取り敢えず始めてみようと思える事が、このウイイレの人気が形成された1つの要因になっている事は間違いないでしょう。
ウイイレがトップに輝いた要因まとめ。
いかがだったでしょうか。
前提として、サッカーという誰もが認めているであろうスポーツが、いかに完成されたスポーツかという事を認識して書いています。
サッカーだから人気が出た、サッカーだからウイイレは面白いという当然の事は勿論、今回はあえてウイイレをサッカーではなく、そしてゲームとしてでもなく、スマホゲームとして面白さや魅力を語っていきました。
親世代からは「サッカーやればいいじゃん」と言われそうですが、高校生になってグラウンドに出て外で遊ぶ事は僕の学校ではそうありません。
そして部活動が忙しいのもあって、外で遊ぶ時間なんて中学校の時には既にありませんでした。
みんながやっているスマホゲームの殆どは無料でダウンロード出来るものであり、そのスマホゲームの収入源は"課金要素"だけに絞られています。
その課金を促す為には、そのゲームのファンに対してのサービスに焦点を当てる事の他現状良い点を見出すことは出来ませんが、その結果が生み出した現状が、この記事で述べた事の全てだと考えています。
今回言いたいのは、面白いゲームが増え続けている今の時代だけど、そのゲームを越える為に新鮮味溢れるゲームを作っているこの現状にユーザーは“飽きている”ということです。
だからこそ、悪く言うと「ゲームとしての新鮮味にかけてしまう」このウイイレが、その揺るがないゲームシステムを常にキープし続けてきたからこそこのゲームが飽きられてしまったゲームの上に立っているのではないかと思うのです。
「時代に適応する」という事が色んな箇所で大切だと言われている昨今ですが、そのスピードが速すぎてもいけないんだという事がこのウイニングイレブンというゲームを通じて理解できたような気がしています。
時代がどうのこうの言われても、面白いものは面白いと適切に評価されるのは間違いないのかなと思います。
焦らずゆっくりとゲームを楽しんで、ゲーム製作者の方はどうか焦らずに面白いものを追求して頂ければなと思います。
よろず