道草植物図鑑No.9「コハコベ」
毛むくじゃらの生き物ってどうしてあんなに可愛いのでしょうか?
実用的な面では、毛は体温の維持、皮膚の保護などの役割を担っているそうですが、
もふもふは見るも可愛い触るも可愛い、
最強の装備だと思います。
そして毛といえば、動物!
という思い込みがあったのですが、
実はそうではないということに、植物に興味を持ってから気づきました。
植物にだって普通に毛が生えているし、
毛むくじゃらもたくさんいるのです。
キュウリグサも毛が愛らしい植物です!
植物の毛は正式にはトライコームといい、植物の表皮細胞が伸びたものらしいです。
役割は主に、光からの防御
気孔からの過度の水分損失の防止
害虫からの防御
などがあるそう。
さらにびっくりしたのは、多くの植物がトライコームの中に特殊な物質を貯めているということ。
ミント系の植物やトマトなどは、害虫を寄せ付けない物質をトライコームに蓄えているのだそうです。
植物の毛、恐るべし。
そして、私がその毛の使い方に心動かされた植物が、コハコベです。
在来のハコベと違い、ヨーロッパ原産の帰化植物です。
見分け方は茎の色。
在来のハコベは緑色ですが、コハコベは紫がかった赤色をしています。
慎ましやかな見た目で、小さな白い花をつけます。
そんな一見目立たないコハコベですが、しゃがんで茎をよく見てみると毛が生えていることがわかります。
なぜか、茎の片側にだけ。
「雨水を伝わせて、根元に届ける」
というのが、この毛の役割だそうです!
よく見ると、二股に分かれた茎の内側だけに毛が生えている。
きっと、ここを伝って流れた雨粒は茎の分岐部分で合流し根元に流れてゆくのでしょう。
実際に水が伝っているところは見たことないのですが、「そんな毛の使い方もあるのかっ!」と新たな発見を教えてくれた植物です。
コハコベ
Stellaria media
ナデシコ科ハコベ属
ヨーロッパ原産越年草
花時期 : 3〜9月
生育地 : 路傍、畑地、空き地など
出典 : おもしろ植物図鑑/花福こざる