あのCMが流れるとテレビに「色ベタの帯」が出てくるのなんでだろう〜
一人暮らしの人の家にはテレビがない(!)ことが多いと聞きます。みなさんの家にはテレビがあるでしょうか?
わが家には10年ほど前に買ったテレビがあり、4Kや8Kには対応していませんがまだ健やかに動いています。
ご飯を食べながらぼーっとテレビを見る、という行為は、人によってはもしかしたらリアリティがないかもしれないのですが、わたしはほぼ毎日。
広告業界で働いているからか、CMもけっこう意識して見ています。あるとき、このCMに目が留まりました。楽楽精算のCMです。
楽楽精算のCMに「色ベタの帯」がある理由
気になったのは、画面の上下に「色ベタの帯」があったからです。楽楽精算のCMはいくつかバージョンがあってどれもよく流れていますが、上の場合は青い帯。
別のバージョンでは、赤い帯です。
緑の帯のバージョンもあります。
なんとなく予想がつくかもしれませんが、サービスごとに色分けされているんですね。わたしはなるほど〜!と膝を打ちました。CMは30秒、短ければ15秒の世界。ほとんど一瞬とも言える時間でぼんやりと見ている人の興味をグッとひかなければいけないので、どこで印象を残すかを計算して作られています。
楽楽精算の場合、CMの映像のトーンは抑えめにして色ベタの帯が目立つことによってシリーズ感を出しています。また、上下に色ベタの帯が入ることで、横澤夏子さんや滝藤賢一さんによる経理をめぐるコミカルなストーリーにドラマ性や短編映画のような雰囲気も醸し出せる。
複数のサービスを周知するCMを作る上で、ひとつの大きな「枠組み」として色ベタの帯を採用したのだと思います。
アリナミンのCMは商品パッケージ由来の色ベタの帯
ほかにも、色ベタの帯を印象的に使用しているCMがありました。アリナミンです。
反町隆史さんが砂漠でゼリー状飲料のアリナミンを飲む壮大なスケールの映像。上下に赤い帯が、左に黄色の帯が入っています。砂の白、空の青との対比があざやかですね。
楽楽精算がサービスのCMだったのとは異なり、こちらはアリナミンメディカルバランスという商品のCM。画面を囲む帯の赤と黄色は、商品パッケージを象徴しています。
CMの世界観を決めるとき、商品パッケージも重要な要素になります。商品パッケージが赤なら赤一色で表現することもあるなかで、パッケージの配色をテレビ画面の「物理的な枠」にうまく落とし込んでいると思いました。
ロート製薬のCMはおしゃレトロな色ベタの帯
橋本環奈さんが出演するロート製薬のCMでは、レトロな雰囲気を引き立たせる緑の帯が使われています。
長く愛されてきたメンソレータムの信頼性を表現するために、歴史を感じさせる薬局を現代の感覚でおしゃれにアップデートしています。緑は商品のパッケージの色であり、ブランドの色でもありますね。
緑の帯を「フレーム」として使うことで、名作劇場が始まるようなワクワク感が出ています。一瞬ですが、橋本環奈さんが色ベタの帯に手をかけるシーンがあって、画面に奥行きも生まれています。商品のよさを、単なる情報ではなく物語として立体的に伝えることに成功しているのではないでしょうか。
色ベタは強い型
わたしの会社で制作しているのはCMではなく、平面ビジュアルを主としたグラフィック広告と呼ばれるものですが、「色ベタは強い」とよく言われます。強いとは、目に入りやすいということ。瞬間勝負の広告ではいかに目立つかが命なので、色ベタは効果があるのです。
また、色ベタをフォーマットにしつつ色を変えていくことで、後から制作物を追加していったとしても統一感が守られます。
毎晩CMを見ている身からすると色ベタの帯はまだ少数派のため、差別化されやすいと感じています。これから増えていくのか、はたまた、色ベタの帯を使ったあらたな手法が現れるのか。引き続き、CMに注目していきたいと思います。
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文:シノ