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本の感想「嫉妬/事件」
「嫉妬/事件」
アニー•エルノー
堀茂樹・菊地よしみ訳
ハヤカワepi文庫
「嫉妬」はフランスで2002年
「事件」は2000年に刊行
2004年に日本で出版
2022年にノーベル文学賞を受賞し、文庫化されたので、その時予約して購入した。
フランス文学を読むのが久しぶりで、最初苦手かなぁと思ったが、最後まで読めた。
「嫉妬」
ここまでの嫉妬はした事が無いし、分からないと思ったが、同じ立場だったら、男の新しい相手が誰なのか分からないのは辛いのかも。
でもいま読み返してみると、
相手は6年間付き合って自分から別れた男で、今は時々会うだけの関係なのに、新たに他の女と同居すると言われて嫉妬に襲われる。
誰だか探ろうとしたり、あの人ではないかと妄想したり。当てずっぽうで電話をかけたりもする。
半分妄想の世界で、それをどうやって終わらせたか書いている。
途中で、書く事はパンで人形を作って針で刺す事と違わないかもしれないと。
だが書く事は最後には違う意味になる。
「事件」
帯に1960年代中絶が違法だったフランスで妊娠してしまった大学生の葛藤を描く。
とソフトに書いている。
中絶における世界の状況ついて、獨協大学名誉教授の井上たか子先生が、解説を書いている。
この小説を書いたことはすごいと思う。書くことに葛藤を抱きながらも、過去の話だが埋もれさせてはいけないと。忘れがたいあの出来事を。