でこぼこのおにぎりが並ぶ食卓
春になると、急におにぎりが食べたくなる。
休日は、朝から3合のお米を炊き、「あついあつい」と言いながら、いそいそとおにぎりを握る。
子どもたちと一緒にいつもの公園へ出かけると、青空の下に桜や菜の花。パステルカラーの春の風景のなかレジャーシートを広げ、皆でむしゃむしゃとおにぎりを食べるだけで十分ご馳走だ。
と、最近はおにぎりばかりをつくっている。
Twitterでもこんなつぶやきをしたところ、思いがけず "いいね" や "RT" してもらった。「なんだ~、みんなおにぎり好きなんだなぁ」と、思わず顔もほころぶ。
こちらでも、焼きおにぎりのつくり方を書いておくと。
① ご飯を麺つゆで炊きます。
※上記のレシピは、『ご飯2合に対して麺つゆ(濃縮3倍)を大さじ2』と記載していますが、この分量は子ども向けで薄味。お好みにあわせて醤油や麺つゆを足してください。
② 炊きあがったご飯に、煎りごま(適量)を入れて混ぜ合わせます。
③ おにぎりに成型して両面をこんがり焼きます。このとき、醤油を塗ってから焼くと、香ばしくなり美味しい。
④ 出来上がり。多めにつくったときは、ひとつずつラップに包んで冷凍保存しておきます。
この焼きおにぎりのレシピは、知人が教えてくれた。彼女も、他の誰かから聞いたとのこと。
これまで焼きおにぎりは、白いご飯を握って焼くときに醤油(もしくは味噌)を表面に塗って作っていた。
しかし、これだと味の濃さがまばらになり、子どもはなかなか食べてくれなかった(私は、この昔ながらの焼おにぎりも好きなんだけど)。
一方で、冷凍食品の焼おにぎりは、おやつ感覚でぱくぱくと食べている。
次第に、「冷凍焼おにぎり」の味に近いこのおにぎりが、わが家の定番になっていった。
* * *
おにぎりの握り方は、保育園の頃に母から教えてもらった。
いとも簡単に、三角おにぎりをつくりだす魔法使いのような母の手に、私は魅了されて「わたしも!わたしも、やりたい!」とせがんだのだ。
しかし、教わったようにいくら握っても、母のような正三角形にはならない。
私の手のなかには、いつもべちゃっとつぶれた楕円形のおにぎりが収まっている。
だからこそ、はじめて満足のいく三角おにぎりのつくり方を習得してからというもの。
「いかにきれいな三角形で、いかに同じカタチのおにぎりを、手早く量産できるか?」
振り返ると、わたしのおにぎりづくりは、これに執着していたように思う。
* * *
あれから30年たった。
私は、あのころの母のように、きれいな形のおにぎりを握れるようになったけれど。
いまの食卓のうえには、でこぼこの大きさのおにぎりが並んでいる。
夫には、ひとまわり大きく塩味はきつめ。
私は、小ぶりのふんわり握ったおにぎり。
子どもには、ぽろぽろとお米がほどけないように、ぎゅぎゅっと握った一口サイズで。
ひとりひとりの食べている顔を思い浮かべながら、でこぼこのおにぎりを量産する。
同じカタチじゃなくたっていいし、何の具材をいれてもいい。
わが家の定番の味付けだって、変えちゃっていい。
だっておにぎりは自由なんだから。