バランス感覚
歳をとると、足腰が弱くなると言われる。
確かに、見ているとソファーから、一息で立てなくなったり、歩くときに杖を使わないと、よろけてしまうようになる人がいる。
しかし、これは、足腰が弱ったからだろうか。
足腰の筋肉が衰えたからだろうか。
違うような気がする。
もちろん、筋肉が衰えが影響していることもあるだろう。
ソファーから、一息に立てないようなのは、筋肉が弱くなっているのだと思う。
だけど、そこまで筋肉が衰えていなくても、若者の動きと老人の動きは見ていて違う。歩き方なんか、若者と老人では明らかに違う。
これは、運動神経、バランス感覚の問題のように思う。筋肉の衰えより先に、この運動神経、バランス感覚が衰えてくるのではないかと思う。
だから、筋トレをして、足腰・体幹を鍛えても、運動神経・バランス感覚を鍛えないと、二十代の体にはならない。
反対に、バランス感覚が良いと、立っている時はもちろん、歩いている時も走る時も、しっかり地面の上に立っているという感覚になる。
何を言っている、立つというのは地面に立つのだし、歩いたり、走ったりも地面を歩いたり、走ったりするのだと、思うかもしれない。
私は、一本歯の下駄を持っている。
この下駄で10分間ほど歩いて脱ぎ、素足で立つと、なんと地面というのは安定しているものか!と感じる。
倒れないのはもちろん、姿勢が揺らぐ気が全くしない。
実に鮮烈で、快適な感覚だ。
不安定な、一本歯の下駄を履いて歩く時、バランス感覚を普段以上に使い、下駄を脱いだ時も、その感覚が鋭敏なままなので、このように感じるのだろうと思う。
それくらい、バランス感覚が鋭敏でしっかりすると、立つ、歩く、動くという動作が、思い通りになる。
だから、我々は、バランス感覚を鍛えるということを意識的にするべきだと思う。
その効果は、自分の体を自分でコントローできているという、感覚の獲得で、すこぶる気分のいいものだ。