感情のツボミ

人前で泣けない。泣きたくない。

どうしたって、笑える映画を選んでしまう。

泣きたくないから。見られたくないから。

でも、もう少しで君の前でなら。

って、心が緩み始めている、ような気がする。

冬、硬かった蕾が、

春、次第に緩み始めるように。

何年の付き合いだ

時間がかかる。どうしようもなく。

許せる人はひとりだけ。


ポジティブな感情を見せるよりも、ネガティブな感情を見せる方が難しい。ピエロはいつだって、笑っているし。私は常に笑顔の人の方が、少し怖かったりもする。

ネガティブな感情は決して悪いものではない。

もしもその感情を全力で受け止めてくれる人がそばにいたら、全力で大切にするべきだ。でも、もしも私のように、そんな感情をひた隠しにしないと生き辛いならば、そんな人間が決して自分ひとりではないことを知るべきだ。

そのために、ここにこの文章が、ある。

ひとりきりで涙を流す夜も悪くない。

失恋して、真夜中のコンビニに呼び出したらすぐに駆け付けてくれて、話を聞いて共に涙を流してくれる友人が、いなくとも。

そんな風に、感情のままに、生きられたらいいなあ、なんて、うらやましくもなる。

でも、

硬く閉ざした蕾も、次第に、緩み始める。

何年越しの春になるかは、私にも分からない。

あなたも、きっと知らない色の花が、顔を出す。

そんな春が、待ち遠しい。



#日記 #エッセイ  #ショートストーリー #ひとりごと #詩


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