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雪煙の長野へ(年末年始・信州滞在記)

English version follows.

まずはライド納

年の瀬が見え始めた頃、ふと気づくと「Rapha 500」完走をあきらめた自分がいる。27日まで仕事で時間がなさすぎる残念でならない。といいつつ28日早朝、仲間たちと走り納め。途中リアがシフトしなくなるトラブルに。アプリにコネクトして操作するとシフトするので、どうやら接触等の問題ではなさそう。ということでSIT側の電池を交換するとビンゴ。購入してから4年(おそらく)目で初めての交換。こんなタイミングでこんなことあるだなと。というわけで年も1万㎞をクリアし昨年度よりもいくらか距離及び獲得標高を上回り終了。素晴らしい一年だったなとあらためて思う。


年末最後の試練(冬コミ)

12月29日は娘を伴って冬コミへ。2023年から娘はコミケ初参戦。あのときのこんな会話を思い出す。あれはピザを食べながらだった。

「私はパパが自転車にお金かけることに対してまるで意味がわからないけど、自分のすきなことに熱中してお金使う気持ちは凄くわかるし、そいうことをお互いに理解してあげることが大切なんだよね。ところで「コミケットカタログ」買ってください。」

そんな感じで年末の恒例になった冬コミ参戦である。

コミケの行列という名物は、かつて「混沌の象徴」のように語られてきたが、近年の秩序立った運営にはただ感嘆するばかりだ。娘とその友人たちも目を輝かせ、限られた予算をどう使うか数日前から思考をめぐらす。その思案に何より価値がある。消費と投資の違いを知り、日常の中で自ら選択する。この過程を、娘が中学一年生くらいから少しずつ教えてきた。本質的な理解には程遠いが意識していることが大切だ(今の段階は)

そしてなんとか帰宅。どんなロングライドあるいは高強度ライドよりも体力を使う日だった。そしてここからが私にとっての年末年始休暇だ。


信州への遠征(冬の長野は最高だ)

そしていよいよ年末年始の恒例行事とも言える信州への遠征だ。30日、まだ暗い夜空の下で目覚めたのは午前3時。まるで戦に臨むような心持ちで車に荷物を積み込み、いざ長野へ向かう。最初の目的地は黒姫高原スノーパーク「コンパクトで空いている」がセールスポイントのはずが、今年は驚くほどの盛況ぶりにスタッフさえ混乱気味だった。人込みに慣れていないゲレンデのオペレーションはどうしてもぎこちなく、リフト待ちの行列は蛇のようにうねり伸びる。けれども、それはそれで年末休暇の祝祭らしい雰囲気を醸しているのかもしれない。ウィンターシーズンインとして一発目の滑走としては程よく楽しめた。怪我無くスタートがきれたのでよき。

野尻湖美しい/ Nojiri Lake is Beautiful

そしてその晩はタコパ。最高のたこ焼きをつくるぞということで自宅で仕込んできた大量の種を持参。やっぱり大阪のたこ焼きは最高なわけですが、自宅のたこ焼きはコスト度外視で出汁を贅沢につくることができることがポイントだ。贅沢な出汁さえつくれれば、みんなを笑顔にできる。そして子供たちは「やらせろやらせろ」とくるわけであるが、焼きには想像以上の集中力がいるためになかなかやらせてあげられないw。あらためて「たこ焼き」の奥の深さと職人たちの凄さを実感する。それにしても最高の夜だった。


「The Sauna/LAMP野尻湖」最高の体験

31日は何もしないと決めていた。朝は贅沢に長めの惰眠を貪り、午後からは「The Sauna/LAMP野尻湖」がこの日のハイライトとなる。水風呂の水温は推定4度前後。皮膚に刺さる冷たさがかえって心地よく、外気浴に出れば雪がしんしんと舞い降りる。あまりに寒いので、自然とサウナ→水風呂→外気浴のサイクルが短くなるという、なんとも贅沢なジレンマ。目を凝らすと、白い結晶が真っ黒な森や岩に静かに降りつもっていく。正月を迎えるにふさわしい、内面を清める儀式のようだった。

中学生ごときがこの贅沢なサウナを体験してしまい「最高」だと言い出していることに、これ以上のサウナ体験のかずが知れていることを不幸だと親として思う(笑)それにしてもLAMP野尻湖は最高でサウナ上がりのアップルパイも最高だった。暖かいアップルパイと冷たいアイスの組み合わせにやられてしまう。ノンアルビールも最高だ。サウナ上がりのパックもおじさんでもトーンアップを実感できる程の効果があり、多少老化に抵抗できる気がする。


元日の妙高杉原

そして元日。妙高杉原スキー場は白銀の世界を眺めるにはこの上ない晴天。今日は子どもたち主体の一日と決め、娘を連れてゆるりと雪と戯れる。雪上で弾む笑顔がゴーグルの奥から透けて見え、こちらまで嬉しくなる。それにしてもスクールにも入れてないなかで上達したなと感心する。ここまでくると教えるのが難しいからそろそろスクールにぶち込みたい(笑)。なかなか難しいかもしれないが、親子でバックカントリースキーとかできたら最高かもと妄想する。

気温があがりコンディションがイマイチになった午後2時ごろにはひとまず切り上げ、友人宅で雪のスライダーを作り始める。童心を取り戻すとはこのことか、ほとんど無心で雪を固め、滑らかなコースを彫り込む。出来上がったスライダーは子どもたちの歓声とともに完成し、大人の身体もがっつりと悲鳴をあげる。だがそれもまた、一種の清々しさがある。それぞれが出走する。そこそこのスピードでかつ回転するためヘルメット着用が必須な自前のスノースライダーだ(笑)。悲鳴とともに女子たちが滑走する。途中コースを改修したが、転倒必至カーブでみな餌食になる。笑っているが相当なダメージをうける(歳を感じる瞬間だ)大人も子供も同じように楽しめるとか最高だ。


ツリーランとゲレ飯

2日は野沢温泉スキー場へ。前夜に降った雪でゲレンデコンディションは最高だが、やや湿り気の多い雪が、ゴーグルを曇らせる敵になる。それでも野沢温泉といえばゲレ食(ゲレ飯)。この美食の魅力が娘を熱狂させる。スキーが目的か、食が目的か、もはやわからないほどにメニューを物色して楽しんでいる。一方、自分のお目当てはもちろん野沢の代名詞とも言えるツリーラン。欧米系のスキーヤーやスノーボーダーが多く滑るそのエリアには、静かな興奮と自然への畏怖が入り混じる空気が漂う。やや硬めの深雪に足をとられそうになりながらも、木立の合間をすり抜ける瞬間の陶酔感たるや言葉にならない。何本か滑りを重ねた後、曇天を見上げながら、まだ冷え切った自分の頬を手の甲でそっとなぞる。

いやー最高だ。その後は野沢温泉へ。駐車場から浴場までどうしても距離があるわけであるが、芯から温まる野沢温泉は本当に素晴らしい。湯冷めもせずホカホカのまま自動車まで戻ってきた。野沢は本当に素晴らしいところだな(白馬の次に※個人の意見です)


竜王の絶景

3日はマウンテンリゾートへ。連日の滑走で家族はついに疲労がピークに達し、離脱を決める。ならば遠慮なくソロスキーを楽しもうと、朝一番でリフトに乗り込む。竜王のゴンドラは9時から運行開始だが、8時15分には下部リフトが動き始めるので、まずは美しく整地されたバーンで肩慣らし。広いコースを風のように滑り抜け、体をゆっくり目覚めさせるのも大切な儀式だ。空を見上げると、暗い冬の雲の切れ目から青い空がのぞく。冷たい空気が頬を打ち、瞬間的に雑念が消え去るような感覚がある。キーンとして空気が本当に気持ちがよい。

そしてようやくゴンドラが動き出す。標高1770mまで一気に駆け上がると、目の前に広がるのはドラマチックな景観と、ヘルメット必須・レンタルスキー禁止の上級者用エリア。残念ながら先をこさえれているために。ノートラックとはいかないがほどよい感じだ。ほどなく足元からふわりと雪煙が上がり、周囲の雑音がすべて消えていく。急斜面であることもあり、滑走者がほぼいない。3本滑ったところで満足感が満ちあふれ、というか足の限界のため3時間で終了。家族を拾うために宿泊場所へ戻り、帰宅。渋滞にもほぼ巻き込まれず(ただし環八はダメダメだ)自宅に到着。


今年は年男

年末年始の信州行脚は、今年もまたアクティブに、そして束の間の休息を織り交ぜながら終わりを告げた。黒姫スキー場を除けばどこも比較的空いており、のびのびと滑る幸せを味わえたことは何にも代えがたい。思い返せば、冬コミの熱気からサウナの静寂へ、ゲレ食の悦びからツリーランの緊迫へと、めまぐるしくも心踊る変化に富んだ日々だった。身体はすっかり筋肉痛で悲鳴をあげているが、その痛みこそが活力を思い出させる。こうして年の始まりを迎えられたなら、きっと今年もがんばれる。長野の雪に深く感謝し、来年の再会を心待ちにしながら、また日々の生活へと戻っていくのだ。

HRVも安定しているという意味ではちゃんと疲労も取れた感じある。
そして私は年男でっす。

52年生まれということで貼っておきます。


撮影はInsta360x4


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いもひろし
ロードバイク・スキー・キャンプ 等の機材購入など

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