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Salesforceの運用作業を効率化する視点

Salesforceによる事業の収益・業務効率の向上は管理者の使命です。
既存の仕組みの維持管理のために定常的に発生する"運用作業"に追われていないでしょうか?
そして、効率化とはシステム作りと自動化のことなのでしょうか?

本noteは2024年4月30日発売の著書「成果を生み出すためのSalesforce運用ガイド」の第6章についての事前解説記事を兼ねています。
その他の解説記事は以下のマガジンにまとめてあります。1章あたり5分程度で読めますので、購入前の参考に、積ん読防止の概要把握にどうぞ。



改めて書籍構成

第一部 Salesforceを学ぶ
-第1章 Salesforceをとらえ直す
-第2章 Salesforce学習の課題
-第3章 Salesforceの学び方

第二部 現状の会社とビジネスについて考える
-第4章 Salesforceの標準的なモデルを抑える
-第5章 会社のビジネスモデルとSalesforceの適応を考える

第三部 日々の業務を回せる管理者になる
- 第6章 定常的なSalesforce運用作業をいかに効率化できるか ←こちら
- 第7章 重要な課題への対応と負債の抑制

第三部の狙い

第三部からはついに実務の観点に入っていきます。Salesforceへの理解、ビジネスの理解を深めて広い視野を持ったとしても、現実的には日々向き合う足元の業務が多くあるはずです。
ビジネスは中長期目線、実務は短期的な目線、と切り替えが必要になってきますが、ふと気がつくと日々のトラブルや作業に終われてしまいます。

システムの改善も現場からの不満やUI的改善など、意義はありますが手のつけ易いNice-to-haveなタスクが優先的に消化されていき、
"重要度高-優先度低"の仕事がどんどんと溜まっていきます。

足元手元の日々のタスクをこなしつつ、より重要なテーマに取り組み続けるための考え方について、考えます。

第6章"定常的なSalesforce運用作業をいかに効率化できるか"

以下の節で構成されています。

6-1 Salesforce 管理者業務の目指すところ
6-2 Salesforce 管理者業務の基本方針 3 ステップ
6-3 問い合わせ対応と運用作業
6-4 問い合わせ対応の効率化
6-5 問い合わせ対応の全体像と情報の管理
6-6 運用作業は無理に減らさない

本章でお伝えしたかった主要な事柄

ひとことで言えば、"定常作業の効率化は「そもそもやることを減らす」ことだ"ということです。

Salesforceに習熟してくると、同じ会社の仲間であるユーザの要望・要求への対応力が増します。
すると、"効率化"の考え方も、システムの自動化や改善によって実現しようという観点で考えることが増えるでしょう。
こうした、"効率化のための作業"がSalesforce管理者のリソースを占めることに対して本書は明確に課題提起する立場をとっています

システム改善はSalesforceの習熟を進めてきた管理者の方々にとって、やりがいがあり、ある種アイデンティティとも言える活動と思います。そして、重要な活動の一つであるのは間違いありませんし否定しません。

しかしながら、本書はビジネス価値向上を預かるSalesforce管理者と実務を扱うポジションを取っています。
その限られた人数(人工)と多忙な時間を価値の高い業務に集中することが、会社に貢献しつつ管理者としてのキャリアを高めることに繋がると考えています。

第四部で考える攻めの仕事(価値の拡張)に向かうためにも、日常的な仕事は自動化以前にそもそも減らしていきます。管理者以外に負担を分け合ってもらう、仕事を簡単にして自分以外にも託す、機能リリースによる調整やトラブル等の見えにくいコストを生まないようにする、といったことを考えます。

主なキーワード・図表紹介

・全社のステークホルダーと対等でフラットな協力関係を
Salesforceに関する問題や他者からの要求についても、「自分が苦労すればいい・頑張ればいい」と自分で自分のポジションを低い位置にとってしまうかたも多く見かけます。
会社全体のことを思えばこそ、貴重なリソースである管理者のみなさんの時間は作業者としてではなく、大事に使われるべきです。


・苦戦する現場にありがちなタスクのバランス
本来は価値を次の段階に引き上げる活動が重要ですが、定常業務やトラブル対応によりジリ貧になっていくことが多くあります。
バランスを逆転するためには、定常業務を減らすことを起点に、不具合の対処や、そもそも不具合を抑制するために付加価値の低い改善活動は絞ります。


・割り込みタスクを受け止めるというよりはオーケストレーションする
ルーティンを効率的にしたり、重要度の高い改善活動をするには、計画的でまとまった時間の確保が必要です。割り込みのタスクはそれを難しくします。「流れてくるボールを少なく、持っている時間を短く」するためのワークフローの組み方、具体的なツール等の解説をいれました。


・ルーティン=無駄ではない(自動化のリスク)
ルーティンは元々意味があり、必要性のある作業なので、繰り返し性があるからといって無駄という訳ではありません。逆に、自動化して誰も担当しなくなると本来なぜその作業が必要なのかといった意味合いは自然に伝承されることはなく、結果的に他の臨機応変なタスクにあたる人々の柔軟性が損なわれることがあります。

自動化や不要化は、不具合や属人化のリスクもあるため、設計や実装等の技術が追いついたり、組織が回りはじめてからで良いケースが多いと考えます。
システム化による改善をせずとも、手順を洗練したり改善して後輩や管理者以外の人に任せても良い訳です。



次回

次回は、"第7章:重要な課題への対応と負債の抑制"の事前解説を記載します。


(PR)書籍情報

「成果を生み出すためのSalesforce運用ガイド」
2024年4月30日発売(技術評論社)

https://amzn.asia/d/7XseCbS (2024年3月11日より予約受付開始済みです)

Kindle版の予約購入も開始されました。
購入時にご希望の媒体をお間違えないように注意くださいませ。
※個人的なおすすめは紙書籍(編集の都合上、左右ページにまたがる図表があるため)です。


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