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島 絵奈
2019年3月14日 11:28
菊子の育ったところは、のんびりとした田舎のほうで、家は村の自治会館だった。自治会館といっても当時は木造平屋建て、半分が自宅で半分が村の集まりや、三味線や書道、詩吟教室につかわれる会場であった。平屋の建物に添うように大きな火の見櫓がそびえ立ち、そこからひょいっと屋根に飛びのれたので、菊子はよく屋根に上って叱られた。ちょっと高台になっている家の真ん前には菊子も通った小学校があり、家の前から校庭
2019年3月12日 13:05
頂(いただき)菊子はアラウンド40の平凡な主婦、穏やかな性格の夫、マスオと平和に暮らしている。2人とも早くに両親をなくしていて、平凡だが平穏な毎日を過ごしていた。菊子は、ちょっとした喧嘩や行き違いから、音信不通になってしまった両親の最期に会うことができなかった。誤解や行き違いの理由なんて、些細なことだ。節目節目に、両親のことを思い出したり、親戚の集まりなんかで面白おかしい話題が出たりすれば