小説の神様 - ドラマ盛り上がらない青春ロマンスもどき
ドラマ盛り上がらない青春ロマンスもどき。
“作られたドラマ”感が終始拭えず、感情移入できない。
学校に2人も小説家がいて、合作に取り組む―。
斬新な設定だが、蓋を開けてみればありきたりな青春ロマンスもどき。
創作に取り組む醍醐味は伝わってこないし、最後に降りかかる災難も取って付けたよう。
役者が真剣に演じれば演じるほど嘘くさくみえてしまうこの感じはドラマ仕立てCMにそっくりだ。最後に「◯◯生命保険」とでもロゴを出しておけばしっくりきそう。
それに校内に2人も内緒で作家をやっている生徒がいるならいくらでも波瀾を作り出せそうな気もするが、その設定を十分に活かしきれていない。
身バレハラハラ感なんてまるでなし。
小説制作云々の前に小説並みのドラマを見せてほしかった。作中で語られる「小説は人の心を動かす」ことがこの映画にないのはとても皮肉なことだ。
いまいち盛り上がらず全体として単調、画は美しいかも知れないけど話に深みもなく、引き込まれないまま終わる。ファン以外には退屈かも。
最後に橋本環奈はどうかというと、物語世界と役によくなじんでいて好印象。
物語の雰囲気が地味だから詩凪のSっ気が際立っている。1往復半ビンタ、机の下で足蹴り、上から目線。畳み掛けるような命令口調が最高だ。
そうかと思えば雨の後の共同作業シーンでは、一也(佐藤大樹)との関係の機微をうまく表現してくる。
鑑賞年月日
2021年11月
評価点数
3.0
作品情報
『小説の神様 君としか描けない物語』(日本 2020年)
監督:久保茂昭
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