「多様なメンバー構成」で価値を生み出す、バフの心得
こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。
これから求められる人材、「バフ人材」。彼ら彼女らが発揮する「バフ(=チームの能力を最大限発揮させる行為)」に関するnoteです。
「バフ人材?」という方は、先にこちらをご覧ください。
1分で読みたい方向け まとめ
・これからのチームは、なるべく多様な(スキルと視点を持つ)メンバー構成の必要がある
・なぜなら、プロジェクト開始時には問題が予測できないから
・多様なメンバー構成と、リーダー/メンバー構成は、2項対立「ではない」
・ヒエラルキーには、「支配型」と「尊敬型」の2種類がある
・人間のみ、尊敬や共感でリーダーを生み出し、ヒエラルキーを構築できる
・チーム内で尊敬や共感の連鎖を生み出す=あなたができるバフ
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戦士・戦士・戦士・盗賊?
あなたが、ゲームで次の4職業から4人パーティを選ぶとき、どのような構成にするでしょうか?
①戦士(体力が多く、物理攻撃が得意)
②魔法使い(魔力が高く、攻撃魔法が得意)
③僧侶(魔力が高く、回復・補助魔法が得意)
④盗賊(素早さが高く、罠を回避でき、敵からアイテムを盗める)
おそらく、(よほどの初心者で無い限り)多くが、①〜④までを1名づつのパーティにするでしょう。
しかし大切なのは、なぜそのパーティに(無意識/意識問わず)したのか?
ここに、これからのチームに多様性を担保する鍵が隠されています。
(問題が)わからないから、多様性(を担保する)
結論から言います。
「冒険(=プロジェクト)で、どんな敵や障害(=問題)が出てくるか、スタート時には予測出来ないから」です。
・あるダンジョンに行ったら、罠がある宝箱だらけだった
・ある街と街の間には、物理攻撃が一切効かないボスがいる
理不尽で複雑な問題に(なるべく)対処するため、パーティには多様性の担保が求められます。
裏をかえすと、問題が単純かつ明確であれば、多様性は不要です。
「このゲームには、電撃魔法に弱い敵ばかり」がわかっていれば、チームは②魔法使いメインのパーティ構成、かつ個々人は電撃魔法習得が、第一命題です。
多様性のあるチーム VS 均質で優秀なチーム
とはいえ、現実に置きかえた際、あなたが疑問を抱くのも、わかります。
だれしもが「多様なメンバー構成のチームが、必ずしも生産性が高いとはいえない」を、体感しているはず。
気心知れた身内であれば、ものの1時間で決まりそうなテーマとアクション。
しかし、上司や他部署の社員で構成されたプロジェクトとなると、2〜3ヶ月間毎週のように議論しても、光明が見えない。
ここからしばしば、「多様なメンバーで構成されたフラットな組織」VS「均質で優秀なリーダーとメンバーで構成された組織」が、組織論でもトレードオフかのように、語られます。
「均質で優秀な組織」の弊害
米国、そして世界の高学歴者で構成される、CIA(=アメリカ合衆国の対外情報機関)。しかし20年前、同時多発テロを見逃した一因も、彼ら彼女らです。
また、1980年代のイギリス最大の愚策、人頭税(=所得の多い人の税率が上がる「累進課税」ではなく、「一人あたりの額」を固定した税)。
主導したイギリス政府の審議会は、ほぼ上流階級出身者で構成されていました。
共通するのは、視点の画一性です。
ひとは、無意識に自らの人生で得た知見を軸に、論理や意見を構築します。
これが、同じ尺度を有する集団ではより強固になっていき、互いの論理を補強し合います。
結果、盲点も生まれやすくなります。
哲学者ソクラテスは「無知の知」を唱え、生物学者チャールズ・ダーウィンは「無知は知識よりも自信を生み出す」と説いています。
※「CIAやイギリス政府が無能だった」を言及するのではなく、「均質な組織は盲点を生む可能性が高い」を示唆する内容です。ねんのため。
Googleでさえ失敗する
では、リーダーとメンバー、つまりヒエラルキーを無くした組織が最上なのでしょうか?
Googleは2001年に、管理職を廃止しました。
しかし結果は、責任や指示系統の不明確さから組織に大混乱を起こし、1年ほどですぐさま撤廃しています。
実はヒエラルキーは、サルや犬などの哺乳類、はては、昆虫のアリや甲殻類のロブスターにまで、存在します。
つまり、「ヒエラルキーの有無」が問題ではなく、「何を軸にヒエラルキーを構築するか」が核です。
「支配型ヒエラルキー」と「尊敬型ヒエラルキー」
1906年から1908年、イギリスの人類学者アルフレッド・レジナルド・ラドクリフ゠ブラウンは、インド洋のアンダマン諸島で現地の狩猟採集民族とともに暮らしました。
彼は「一部の島民が、決して支配的な行動をとらないのに、共同体の中で大きな影響力を持ち、尊敬を集めていること」を発見。
これは従前国家や他の哺乳類にみられる「軍事力や権力、地位をベースにしたヒエラルキー=支配型ヒエラルキー」と対比し、「尊敬型ヒエラルキー」と呼ばれます。
後に、ハーバード大学の人類進化生物学教授ジョセフ・ヘンリックと心理学者のジョン・メイナーは、「支配型ヒエラルキーは、他の哺乳類にも観察されるが、尊敬型ヒエラルキーは現状、人類にしか観察されない」と、比較表を作成。
つまり、人類だけが現状、「特殊技能への尊敬」や、「有益な情報共有への共感」で、リーダーを設定し、ヒエラルキーを構築できるのです。
目指すところは
このnoteを読んでいるあなたは、ディレクターや(プロジェクト)マネジャーなど、チーム内外の調整役が多いと思います。
上記ポジションは国内ではときに、エンジニアやデザイナーよりも「立場で上」と表記/扱われることが多いでしょう。
しかし、そこに安心し盲点を生み出してしまっては、2001年以前のCIAやイギリス政府と同じ道を歩みます。
・チームメンバーの特殊スキルや、「考え方」への尊敬を積極的に伝える
・クリエイターの苦難や「創造したいセカイ」へ共感し続ける
これら(=バフ)をチームに生み出し続けられれば、「尊敬型ヒエラルキーのトップ」以上の報酬が、あなたにも届くはずです。
まとめ
・これからのチームは、なるべく多様な(スキルと視点を持つ)メンバー構成の必要がある
・なぜなら、プロジェクト開始時には問題が予測できないから
・多様なメンバー構成と、リーダー/メンバー構成は、2項対立「ではない」
・ヒエラルキーには、「支配型」と「尊敬型」の2種類がある
・人間のみ、尊敬や共感でリーダーを生み出し、ヒエラルキーを構築できる
・チーム内で尊敬や共感の連鎖を生み出す=あなたができるバフ
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次回は2021年10月09日(土)更新予定
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