L:61 Audibleで感じる身勝手な違和感
2024.11.3
最近をまた聴き始めた。通勤や散歩の時間に聴くことが多い。いつもはPodcastを聴いていて、バイリンガルニュース、Rebuild、Huberman Lab Podcastを聴くことが多い。
上の二つは週1、2週に1回ぐらいの更新なので、毎日、1時間のペースで聴くと、聴くものが足りなくなる。HubermanのPodcastは全部ゴリゴリに英語の対談が多いので、内容が3割程度ぐらいしかわからず、毎度毎度聴くには負荷が重い。
ということで、無料体験版の時にAudibleを聴き始めた。最初はビジネス系の本を聴いていたのだけど、ある時に森博嗣さんの小説を聴いて、それがすごくおもしろくて、家にいる時間でも聴きたなるぐらい楽しんで聴いていた。
無料体験版の期限が切れるタイミングで、Audibleをやめていたのだけど、3ヶ月半額で使えるプロモーションが出てきたので、この1ヶ月ぐらいずっとAudibleを聴いている。
前回の無料版の時から森博嗣さんのS&Mシリーズ、Wシリーズ、WWシリーズと合計すると27冊分聴いたことになる。
これだけを読もうと思うと私のスピードだと数年かかる。そういう意味でAudibleは私の読書体験を革新的に変えてくれた。特に10年以上、小説と呼ばれるようなジャンルの本を読んでいなかったので、娯楽として読書が復活した感じがある。
いろいろ良い点はあるのだけど、オーディオブック(Audible)の良いところは、作品にもよるが、プロが読んでくれるということだ。小説のように、登場人物が複数いて、情景描写などもある場合、読み手が作り出す作品の世界観は自分の朗読とは雲泥の差がある。ただし、これが大きな問題で、今日はこのことについて書きたい。
もう一つ、よいのは読むスピードを変えられることだ。森博嗣さんの本だと、標準速度だと一冊7時間〜15時間くらいかかるのだけど、私はいつも1.5倍速で聴くので、より効率的に聴くことができる。これはこれでやや問題を感じてはいるのだけど、量を読める(聴ける)という点では、ありがたい。
さて、そんな感じで、かなり楽しんで森博嗣さんの小説を聴いていた。
概ね登場人物が決まっているWシリーズ、WWシリーズは100時間以上、17冊読んできた。ミステリーで、私の推理はいつも全然当たらない。おもしろさを支えてくれているのは、ナレーターの福原安祥*(男性)さんだと思っている。
老若男女、機械的な面々、多くの登場人物が出てくるのだけど、まぁこんなに一人でキャラクターを読み分けられるものだなと感じていた。最初こそ、男性が女性のキャラクターの話し方をするのが、しっくりこなかったのだけど、1冊が終わる頃に、馴染んでしまった。また、行間で感じるものがあるというか、ちょっとした声のトーンで、心境の変化や雰囲気が伝わってきて、お上手だなぁと感心していた。
今回のタイトルにある身勝手な違和感なのだけど、こんなことが起こった。
これまで17作の中で1作目から15作目まで福原さんがナレーターだったのだが、終盤の2作はナレーターが別の方に替わった。
これが自分の中では大混乱をもたらした(笑)新しく替わったナレーターの読み方だと、どれがどのキャラクターかを判断するのに少し時間がかかるようになってしまった。ナレーションのスキルというよりは、完全に聴き慣れた声が変わったことに、自分がついていけず、作品に没入できなくなってしまった。
レビューを見ると、やはり、このナレーターの変更はかなり評判が悪くなっており、点数も下がっていた。そのことからも、多くの人が違和感をもったのだと思われる。
この体験を考えてみると、そういえばアニメの声優が替わる時のファンのザワザワや、海外映画、ドラマのシリーズものの吹き替えの役者の変更に不満を言うファンなども、似たようなことだと言える。アニメや映画は、一役ごとに声優(俳優)がついているので、声とキャラクターの結びつきがより強いのかもしれない。
ただ、Audibleについて思ったことは、そもそも、私が本でこれを読んでいたら、起こらなかった経験だということ。自分で読めば、こんなことにはならない。しかも、ナレーターが変わった最後の2冊でも、私が読むより遥かに作品の雰囲気を出してくれているのだから、私が読むより全然いいはずだ。
自分ではできなかったであろう作品の味わい方をプロの人に読んでもらうことで引き出してもらっているのだけど、私は最初に聴いた福原さんの声にすっかり慣れてしまい、替わった人の読み方に馴染む前に作品が終わってしまったと思う。
自分はそんなに繊細に物語を味合うタイプではないと思っていたので、こんなに作品の印象が変わるものかと驚きがあった。
実は福原さんの1.5倍速と標準スピードで聴き比べると、これも全然印象が違う。正直、1.5倍速に慣れてしまうと標準で話すキャラクターがずいぶん、愚鈍に感じられる(笑)種明かしの場面で、1.5倍だとキレキレで解説をしている感じのキャラクターが、標準速度で話すと、だる〜い感じに聞こえる。
つまり、私は1.5倍速で聴いている時点で、作品の雰囲気にずいぶんな味付けをして聴いてきた。そんな自分が、ナレーターが替わったことによる味変は受け付けませんと言っている。そんな自分がずいぶん身勝手に感じられた。
だいたい、私は大好きなNHKのシャーロックホームズで、ワトソン役のイギリスの俳優がシリーズで替わっているのに気づかなかったし、吹き替えの長門裕之さん、福田豊士の変更も違和感なく受け入れてきた(笑)それぐらい適当なのに。これはAudibleが声だけで作品すべてを味合うから起こる現象なのか??
*wikiによると2024年1月から本名の柴﨑 祥さんの名前で活動されているとのこと。