パリオリンピック開会式と渋谷サクラステージとレベルデザイン
パリオリンピックの開会式が素晴らしかった。
26日午後7時半(日本時間27日午前2時半)からおよそ4時間。
船に乗って、各国の選手団がセーヌ川を進んでいく。
アナウンサーが「選手団の入場が、いや紹介が続いています」と言い直していた通り、「入場」じゃないのだ。
いままではスタジアムという場に入ってきていたのだが、オープンな場所を選手団が進んでいく。
川沿いの建物や、屋根や、橋や川岸で、パフォーマンスが繰り広げられる。
それを観る人たちも、橋の上や、川岸、川沿いのレストランなどにいる。
ストリート(リバーというべきか)で行われる初の開会式だ。
このコンセプトを成功させたことが、なんというか、文化的な余裕というか、凄みだと思う。
オリンピックの開会式にときに感じてしまう文化的威圧感がなかったのも、このコンセプトによるところも大きいのではないか。
7月25日オープンした日に、渋谷再開発最後のピースと言われている「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」に行った。
そこで、開会式の感慨とシンクロして感じたことがある。
渋谷サクラステージに行ったのは、4階にある「404 Not Found」という場所の「404 GAME SELECTION」というイベントで、『はぁって言うゲーム』『あいうえバトル』等の米光ゲームを置かせてもらっているからだ。
どんなもんかなーと様子を見にいったのだ。
最初、目的地に一直線に行こうとしたため、迷ってしまった。そういう作りになっていないのだ。
えーと、こっち?と移動してると思わぬところに出てしまう。自分が何階にいるかもちょっとわからなくなる。
これは、作りが悪くて迷うのではなく、ましてや、買い物をさせるために遠回りさせるような意図ではない。
ちょっと迷うようにレベルデザインされているのだ(レベルデザインというのは、ゲーム用語で、マップ配置、つまり、地形や、敵や、イベントの配置をすること)。
パリオリンピックの開会式のコンセプトと似ている。
施設そのものが、ストリートなのだ。
長いテラスがあり、さらに(すべてじゃないけど)階段やエスカレーターがオープンな場にあるので、移動するときに半分外へ出た感覚になる。
いま、ビールフェスをやっている「にぎわいSTAGE」も、屋根はなく半外だ。
そのステージを抜けると公園になって(そこも半外だと思ってたら)、完全に外へと通じる。坂であることを利用して、不思議なところから外へ通じる空間に構築されているのだ。
404 Not FoundやBLOOM GATE ZONE Aといったステージも、通路からオープンになっていて、それを隔てる壁を取り去った作りになっている。
オープニングイベントが、ストリートサッカーとストリートバスケのチームのバトルであることも象徴的だと思う。
404 Not Foundの隣のTSUTAYAを、本を眺めながら進み、ぐるーっと回り込んで、細長く作られていているマンガのコーナーを抜けると、404 Not Foundの横に出てくる。
知らない路地を通って進むと、パッと開けた場所に辿り着き、思わぬところに出てきた感覚。
何か所か、そういう作りになっていた。
404 Not Foundでは、現在「404 GAME SELECTION」というインディーゲームとインディークリエイターが作る作品をを集めた展示会をやっているので、ぜひ遊びにきてみてください。
そして、ゲームに興味ある人、特にレベルデザインに興味がある人は、「Shibuya Sakura Stage」を中心に、あちこち迷うように歩いてみるといろいろな発見があるよー! オススメ。
そして、2024年7月30日19:00から、
「Shibuya Sakura Stageからボードゲームを発信する方法」というテーマで、
『JELLY JELLY CAFE』の白坂翔、
「ドロッセルマイヤーズ」の渡辺範明、
『はぁって言うゲーム』の米光一成(おれ!)、
『Divee! ダイビィ!』の刈谷圭司、
「渋谷あそびば制作委員会」の石川武志、
で、トーク&パーティーするので、ぜひ遊びに来てください。
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