大学生時代、北海道帯広市で40日夏季開拓伝道(1968年)
家庭連合は1960年代は大学生や青年を中心に広まっていった。当時学生運動の吹き荒れる中、暴力で社会を変革するのではなく、愛と真理で世界をひとつにする統一運動は若者に希望と幸福と平和の未来を提示した。人生の目的を見出せず真理に飢えていた学生や青年達は宗教と科学を一つにする統一原理に触れて水を得た魚の如く、別人の如く蘇り、燎原の火の如く日本全国に広まって行った。その原動力となったのが学生の夏休みを利用した夏季40日開拓伝道であった。見知らぬ都市に大体2人1組で片道切符で聖書と原理講論を持って出かけて行った。勿論寝る場所も何も決まっていない、正しく開拓伝道だった。経済問題も自立で解決しなければならなかった。主に午前中は伝道資金を稼ぐために経済活動を行い、午後は服を着替えて路傍伝道や訪問伝道を行った。この40日夏季開拓伝道は大きく分けて二つの目的があった。第一の目的は統一原理と言う真理の伝播、いわゆる伝道である。神様が予定している人を探し、出会ったら自分の子供の如く愛し、尽くして、統一原理を講義して真理を聞いてもらう。第二の目的は本人の成長のための訓練であった。いくら真理に出会って感動しても実践してみなければ観念的で神様の心情まで理解できない。例え幼くて経験も自信も無くても実践することにより、神様の愛を実感し、真理を実感するものである。
私の最初の任地は北海道帯広市
高校一年生の終わりに統一原理に出会って、北海道酪農学園大学に進学した大学一年生の私と下関市立大学2年生の学生さんと夏休みを利用して帯広に開拓伝道に行った。帯広の場合、全くのゼロからの開拓では無くて既に一軒家を借りて開拓教会があった。そして信仰深くかつ理知的な女性の教会長がおられたので彼女の指導の元に40日開拓伝道を行った。午前中は汗水流して経済活動を行なった。当時の経済活動の主流は廃品回収だった。各家庭を回って青少年の健全育成の為などの主旨を説明して古新聞、古雑誌、空瓶を提供して頂き、リヤカーに積んで集まったものを古物商に持っていって測ったり数えたりして現金を頂く。それが伝道費用となった。午後は服を着替えて訪問伝道をし、夕方には路傍伝道をして新しい真理の到来を人々に告げた。いい人に出会えば教会に来て頂いて講義を聞いて頂くか、もしくは伝道対象者のお家を訪問して講義をした。
創価学会の家庭で1人対30人で宗教論争
帯広の女性教会長は私達2人の開拓伝道に来た学生を鍛えるために課題を与えた。三日間伝道路程を設け、この期間教会に帰って来てはいけないと言うもの。訪問伝道して伝道者の家に泊まらしてもらうか、野宿かだった。1日目は野宿だった。2日目も一生懸命家庭訪問して伝道に回った。そうすると熱心に私の話を聞いてくれる御夫婦がおられて、あなたは若いのに素晴らしい、2人だけで聞くのは勿体無いので人を集めておくので夕方いらっしゃいと言われた。当初この御夫婦がどんな背景を持った方かよく分からなかった。でももっと話を聞きたい、さらには人も集めてくれると言われるので心が弾み、神様に熱心に祈り、心の準備をして行った。さて夕方になり招待されたお家に行くと驚いたことに玄関には靴がビッシリと並んでいた。数人を集めてくださると思ったら、少なくとも30人は集まっておられた。
それは創価学会の座談会の集まりだった。1960年代の創価学会はものすごい勢いで伝道、いわゆる折伏(しゃくふく)を強烈に行なっていた時代だ。一人折伏対象者を見つけると3人が1組になって対象者が折れるまで同意するまで追い続ける位の強烈なものだった。それが今日はこちらが1人に対して相手の創価学会の側は30人にもなる。30人で私1人を折伏しようと意気揚々、自信満々だ。統一原理がキリスト教を土台にしているものだからキリスト教に関する質問が多かった。キリストが救い主ならどうして十字架にかかり自分自身を救えなかったのかとか、神様の存在証明、罪の原因など様々の分野に論争が及んだ。こちらも絶対に負けないという自信があったので1つ1つ丁寧に答えていった。論争は夕方から夜の11時ごろまで及び、簡単に折伏出来ないと思われたのか、時間が経つにつれ1人去り2人去り最後に残ったのはこの家のご夫婦2人と私だけになった。結果的にこちらも折伏されなかったし、相手も統一原理に納得してもら得ず、勝負つかずの引き分けに終わった。御夫婦は頑張った私を労い、晩御飯を食べて行きなさい、そしてもう夜も遅いので今晩泊まって行きなさいと言われもてなして下さった。暑い夏の夜の開拓伝道で経験した一コマでした。
帯広での40日夏季開拓伝道を行った時の女性教会長さんは、この期間ある宗教団体の女性教祖さん宅を頻繁に訪問され教祖さんに統一原理の講義をされていた。
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