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【映画】きさらぎ駅

 プライムビデオのトップページでそのタイトルを目にした途端、思わず観てしまいました。
 ついに、あの都市伝説が映画になったのか、と。

「きさらぎ駅」という都市伝説を知ったきっかけは、怖い話や都市伝説を掲載しているホームページだったと思います。
 これが書き込まれたという掲示板は、実は1度も見たことがありません。
 その後、YouTubeで怪談朗読の動画を観る、もとい聞くようになってから、様々なチャンネルで触れる機会がありました。
 中には後日談なるものもあったりと、本当に印象深い都市伝説です。

 今回は映画『きさらぎ駅』に触れつつ、ジャパニーズホラーというジャンルについて思うことでも綴ろうかと。

 さて、まずは『きさらぎ駅』。
 正直なところ、エンタメホラーでした。
「きさらぎ駅」という都市伝説を題材にしたエンタメホラー。

 主人公の大学生・春奈が卒業論文のために、「きさらぎ駅」の書き込みをした投稿者・はすみの下に訪れるところから始まって。
 はすみがどんな経緯できさらぎ駅にたどり着き、そして現実世界へと戻ってくるまでの経緯が語られました。

 回想が始まった序盤までは、ホラー映画を観るスタンスで構えていたんですが。
 電車の中の光景が一変したあたりから、「おや?」と。

 はすみ以外に人がいます。
 制服姿の女子高生。
 スーツ姿のサラリーマン。
 派手な格好した若い男女が1人ずつと、地味な印象の若い男性が1人。

 元々、きさらぎ駅にたどり着いたのは、はすみだけなんですが。
 そこはまあ、映画だし、登場人物がたった1人だけだと内容がかなり薄くなってしまうから、仕方ないのかな、と。
 怪談朗読でも、30分かからない程度の尺ですし。

 とはいえ。
 そこから始まったのは、いわゆるパニックホラー。
 唐突に不可解な死を遂げる人物が出たり。
 絶叫が上がったり。
 死んだ人物がゾンビみたいになって襲ってきたり。
 どこからともなく現れたおじいさんが追いかけてきたり。

「きさらぎ駅」の通り、トンネルを抜けたら車に乗せてもらえることになったものの。
 その後、はすみがどうやって現実世界に戻ったか、ですが、一応オチなので伏せておきます。

 そうして回想が終わるわけですが。
 それまでずっと、「どういうスタンスでこれを観ればいいんだ……?」と苦笑いをしているような気持ちで眺めてました。

 後半からは、今度は春奈がきさらぎ駅にたどり着くことになって。
 そこから始まったのは、例えるなら主人公TSUEEE。

 はすみの時とまったく同じ状況で、きさらぎ駅に到着。
 その後の展開も同様で、お化け屋敷の中で起こることを事前に知っている、みたいな状態で話が進んでいきます。

 時折イレギュラーがありつつも、私が個人的に期待してるようなホラー感はありませんでした。
 むしろ、ほとんどの要素がコミックリリーフみたく見えてしまって、だからタイトルや前述でエンタメホラーだと書きました。
※コミックリリーフ:緊張を和らげるための人物や場面

 ここ数年、時折ふと思うことがあって。
 いかにもジャパニーズホラーな国産ホラー映画を見かけなくなったな、と。
 ジャパニーズホラーに対する私の個人的な定義としては、作品を挙げるなら『リング』が最たる例でしょうか。
 不穏、不気味な雰囲気。
 じわり、じんわりと迫ってくる恐怖。
 そんな中で、主人公はじめ主要人物達が、怪異や不可解な現象の謎に迫るストーリー。
 派手な演出こそないものの、息を呑む展開と終幕後の重くて沁みるような余韻。

 映画館で映画を観るわけでもなく、あくまでプライムビデオにある作品を観つつ、という、かなり狭い視野での意見にはなりますが。
 ここ数年、『リング』みたいなジャパニーズホラーを見かけなくなってきたな、と。
 その『リング』から派生した『貞子』作品も、傾向としてはパニックホラーに思えてしまっていて。
 どんどん、CGによるキャラクター造形やエフェクトが凝っていったり、つんざくような絶叫が増えていっているせいでしょうか。

 その他、最近の作品で言えば。
『事故物件 怖い間取り』がすごく惜しいと感じました。
 2020年の作品です。
 終盤手前までは割と好きだったんですが、クライマックスの展開に、「えぇー……」とうなった憶えがあります。

 都市伝説を題材にした作品もいくつか観てきましたが、私の思うジャパニーズホラーとして仕上がっているタイトルはなかなかなくて。

 そんな中でも割とよかったのは、『テケテケ』。
 ストーリー構成が『リング』とほぼ一緒で、B級ホラーなところがあるものの、ジャパニーズホラーとして仕上がってる感があります。
 まあ、だいぶ前に見たきりなので、もしかすると記憶になにかしら補正がかかってるかもしれませんが。

 さておき。
 もし本格的なジャパニーズホラー作品を望むのなら、映画よりも怪談朗読の方がいいのかもしれません。
 視覚的な楽しみはまったくありませんが、身に迫るような恐怖感を覚える話が結構あるので。

 ……と、『きさらぎ駅』を観て不完全燃焼に駆られてしまい、少し長々と書いてしまいました。
 いつか、『リング』に原点回帰したようなジャパニーズホラー映画が作られることを願って、締めようと思います。

 では。

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