【映画】セッション -ハードなストーリーと鮮烈なクライマックス-
先日、プライムビデオの見放題終了作品の一覧に『セッション』を発見しまして。
まさかこれがあったなんて知らなくて、見つけたその日にすぐさま観ました。
ジャズドラマーと音楽学校の教師のぶつかり合いを描くヒューマンドラマなんですが。
普段の私なら、もしおすすめに挙がってきても見向きもしなかったかもしれません。
なんせ、ジャズというか音楽をテーマに据えた作品には興味がないからです。
このタイトルを知ったのは、小説の執筆をメインに創作活動をしていた頃、カタルシスについて調べていた時でした。
カタルシスというのは、抑圧された感情の解放、みたいなニュアンスの概念で。
『セッション』はカタルシスと、それに至るまでのストーリー構成が素晴らしいと、どこかのサイトだったか書籍だったかで目にしていました。
だから、このタイトルを見つけてあらすじを読んだ時、それを思い出して、「ここで観ておかないと損だ」と直感しました。
見放題終了が間近だったので、2回観ました。
さて、この『セッション』。
プライムビデオではあらすじというか、概要欄でほぼネタバレしているようなものなので、あえて書きますが。
クライマックスの、ジャズドラマーの主人公と指揮者(音楽教師)のセッションがすごい。
こういう形のクライマックスは、他の作品ではとても見られません。
鮮烈です。
そこに至るまでのストーリーが窒息するほどシリアスで、シビアで、ストレスフルで。
ゆえに、クライマックスでのカタルシスが鮮烈に際立っているな、と。
ストーリーについては、一貫して主人公のアンドリュー・ニーマンの視点で展開します。
脚本術的な観点から言えば、
第1ターニングポイントで上がって、
ミッドポイントで下がって、
第2ターニングポイントにかけてさらに下がって、
フィナーレで大きく上がる、
という構成になっています。
序盤こそ若干いい感じに上がりますが、その後はとにかく下がります。
下げられていく、と言ってもいいかもしれません。
ニーマンは音楽学校の教師であるテレンス・フィッチャーに追い込まれて、自分自身すら追いやっていってしまいます。
その音楽教師・フィッチャーが、とにかく鬼教師で。
昨今の時世的に言えば、パワハラ・モラハラがえげつない。
侮辱や人格否定といった罵倒に怒号、物を投げつける、ダイレクトな暴力と、純粋に見るとストレスがえげつないです。
ニーマンもまた、ストーリーが進むにつれて見ているのがつらくなる。
ハイテンポなドラミングの繰り返しで手の皮が剥けて出血する、なんてのはまだ序の口。
自身のパートを守ろうとして危うく死にかけたり、それまで押さえ込んで溜め込んできたフレッチャーへの怒りを爆発させたりと、落ちぶれていくような有様が重なっていきます。
そんな感じで、特にストーリー中盤はハードです。
9分以上にも及ぶクライマックスのセッション場面は必見とか、カタルシスとそれに至るストーリー構成がすごい、という事前情報がないと、なかなか観ているのがつらくなります。
が、しかし。
前述で何度も書いたように、クライマックスが鮮烈。
カタルシスがすごい。
とても明確に言い表せない感慨と言いますか、余韻を味わうことができました。
プライムビデオで、見放題が終わる前に出会うことができてよかったです。
では。
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