「紙の国(1)」 はらまさかず


 風の強い日。
 マンションの3階から、ともちゃんとお父さんは、紙ひこうきを飛ばして遊んでいます。
 いくつも飛ばすうち、一つがぐんぐん風にのって、見えなくなりました。
 「紙の国に飛んでったあ」
 ともちゃんがいいました。
 「紙の国? それ、どんな国?」
 「なんでも紙でできてる国。草も木も家も人もみんなぜーんぶ」
 「ふーん。風にのった紙ひこうきは、そこまで飛んでいけるわけだ」
 「そう。世界中の紙ひこうきが飛んでくの」
 「でも、紙の国には、紙ひこうきがいっぱいとんできて、めいわくじゃない?」
 「そんなことないよ。みんな窓をあけて、紙ひこうきが飛んでくるのを待ってるんだよ。たくさん人が住んでるから、自分のとこに飛んでくるなんてラッキーだよ。それで、きれいで、かわった色で、よく飛ぶひこうきなんかきたらね、みんな大喜びするわけ。だって、紙ひこうきの国の人は紙でできてるでしょ。だから紙ひこうきの上にのって飛んで旅ができるんだよ」
 「なるほどねえ」
 「どう、おもしろい?」 
 「おもしろいよ。」
 「じゃあ、お父さんにこのお話あげる。」

 <作者のことば>
 これは、実際に子どもと一緒につくったお話です。
 シリーズで続きますので、お楽しみに。
 ぜひ、この機会をつかって、子どもと大人で、いっしょにお話をつくってみてください。とってもおもしろいですよ。


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