「喫茶ギンガ」 はらまさかず
そのお店は、夜中だけ開いています。
何時から何時までなのかは知りませんが、ねむれない時、いつ行っても開いています。
今夜も、そう。
お店に入ると、ゆっくりと動く銀河の模型がむかえてくれます。お店の半分はガラス張り。
「ひさしぶり。いつもの?」
と、マスター。
「うん」
しばらくして、テーブルにはクリームソーダ。
「ねえ彗星見た?」
ぼくがきくと。
「だめ」
と、マスター。
「梅雨だもんね」
ぼくは、さくらんぼを食べました。
「次来るのは、6800年後らしいよ」
マスターが空を見ていいました。
「残念だな」
と、ぼく。
「でもさ、気づいてないだけで、いつだって、何千年に一度の特別な日なんだよ。きっと」
マスターはそういうと、キッチンにもどっていきました。
(喫茶ギンガ 第1話)(絵・きよはらえみこ)