「雨の日の喫茶店」 はらまさかず
毎日、雨ばかり。
いやですね。
いやですか?
せっかくなんで、雨を楽しみましょう。
久しぶりの喫茶ギンガ。
「いやー、よくふるねー」
と、ぼく。
「よくふるねー。 コーヒー?」
「うん。 あれっ。マスター、なにこれ?」
ぼくが、きくと、
「なんだか、はまっちゃってさ」
と、マスター。
お店のテーブルには、水の入った鉢がならんでいます。
鉢のなかには、種のようなものが。
種からはニョキニョキと芽が出ているものや、葉が茂っているものもあります。
「これはアボカド。こっちはマンゴー」
「マンゴー? マンゴーって芽がでるの?」
「出るんだよ。食べたあとの種を割って、そのなかにあるのを水にひたしておくとね、全体が緑色になって、芽がでてくるわけよ」
「ふーん、ふしぎだねー」
ぼくは、芽を出しているいろんな種を眺めながら、
この子たちには雨の日が似合うなあと思いました。
(喫茶ギンガ 第10話)