「ホワンさんの不思議な話(1)」 はらまさかず
ぶたのホワンさんは、おじさんです。
おしゃれなマンションにひとりで暮らしてます。
ホワンさんはお話を書くのが仕事です。
だからなのかどうか、ホワンさんの身の回りでは不思議なことがしょっちゅう起こります。
たとえばホワンさんのクローゼットの中には、いつ買ったのかまったく覚えていないシャツが一着あります。ホワンさんはずっと一人暮らしですから、誰かが買ってくれたわけでは決してありません。でもどう思い出してみても、買った覚えがないのです。もちろん、だれかにもらったわけでもありません。
ところで、そのシャツはデザインも着心地もとってもよくって、ホワンさんのお気に入り。ついつい、そのシャツを着てしまいます。そんな時、ホワンさんは、(このシャツ、一体誰が買ってきたんだろう)なんて思いません。
今日も、また、ホワンさんはそのシャツを着て出かけました。
一体誰が買ったんでしょうね。
買ったわけでも、もらったわけでもない。いつのまにかあって、いつも身につけて、お世話になっている。そういうものを、あなたも持っていませんか?
(2023年7月7日 修正)