「タッくんのながぐつ」 木村研
「やだなあ。タッくんったら、すぐ裸足になっちゃうんだもん」
「それにさ。すぐに、あーした天気になーれって、ほうり投げるんだから。この間、屋根にひっかかって大変だったんだから」
玄関にぬぎすてられたタッくんのくつたちが話しあっています。
すると、げた箱の中から、
「いいなあ」
という声がしました。
ながぐつです。
だって、まだ一度もはいてもらったことがなかったからです。
* *
しばらくして、雨になりました。
タッくんのながぐつが、タッくんといっしょに、元気に雨の中にとびだしていきました。
(作者のことば)
子どもたちって、長ぐつが好きですね。天気のいい日も長ぐつをはいてる子をたくさん知っています。だって、水たまりにはいれるもんね。でも、もう少し、うちの中で遊んでいてね。